第214回 平成26年11月30日
兼題: 神農祭 冬めく


  利孟
 神農祭銀の匙持ち七味売り
 落ち葉焚き火を撫で寄せて竹箒
 干し大根山積みJA直売所
 夜廻りの夜光ベストの乱る列
 抱き上げてなだめる園児冬めける

  昭雄
☆赤頭巾換へて冬めく百地蔵
△大太鼓据ゑて燈を待つ神農祭
・みちのくへ向かふ汽笛の冬めけり
・冬めくや首に般若のループタイ
・冬めくや軒端に薪の高香る

  巴人
☆神農の虎の睨みて薬務室
・初辰の鳥居の影の冬めけり
・稚拙な感じはあるが素直な句です
・冬めくや金のなる木につく蕾
 那須を背に冬めく木立迫りくる

  比呂
△木枯しや振り向けば鳴る首の骨
・二人して増える持薬や神農祭
・日に風に乾く甘さやつるし柿
・冬めくや早々点きし山家の灯
 時雨雲ふつくら赤き太鼓橋

  ミヨ
△猪いでて荒ぶる果ての朝の畑
・ルレットで押し切るピザや降誕祭
・鳥渡る内外房を一望に
・夜半の冬救急棟のこうこうと
 冬はじめ鳶の野小屋を見下ろして

  良人
△梢吹く風に冬めきプラタナス
・神農の虎の往き交ふ道修町
・列車往く鉄橋の音冬めきぬ
 筑波嶺を富士と見紛ひ冬めきぬ
 端の草途絶え冬めく石地蔵

  聖子
△冬めくや反古裏使ふ勤務表
・冬めくや旗で誘導献血車
・冬めくや西日に長き己が影
 冬めくやケーナのロビーコンサート
 冬めくや携帯片手に吸ふ煙草

  木瓜
△神農の虎子供らと先走る
・冬めきていささか重き眉の先
 軽き身の思ひは深し枯れすすき
 冬めくや口に手をやり山ガール
 神農祭虎も駆け寄り薬のむ

  信子
・日和下駄の乾びた音や冬めける
・秋刀魚喰ぶ焼き皿刺身皿並べ
・雨しとど十一月のひもすがら
 神前に立ちて二拍手冬うらら
 神農の虎持ち替へる道すがら

  敬子
・遠来の客の畏み神農祭
・生涯を和服の母や石蕗の花
 さはさはと白根山麓すすき原
 竪琴のしづかな音色冬ぬくし
 冬めくや仄と紅さしリハビリに

  輝子
・冬めくや暖炉の火影ゆらめいて
・冬めくや鍋を囲みて曇る窓
 旗なびき浪花ひよつとこ神農祭
 冬めくやニットで散歩顔半分
 陽溜まり隅へ集まり落葉かな

  健
・病み臥して祈る回復神農祭
 神農祭腕白どもが低頭し
 冬めいて吐く息白くなりにけり
 冬めくや衣も変はる街の色
 冬めくや白紙洗い貼り変える