第215回 平成26年12月21日
兼題: 歳の市 一茶忌
歯を剥いて笑ふボス猿風花す
前垂の隠しの小銭年の市
塩引きの塩のひと切れ一茶の忌
自転車の前後に積まれフードの子
木枯しや赤い鹿子の髪飾り
比呂
★一斗缶の薪爆ぜ年の市の朝
★雪五尺終の栖の菰二枚
・粉雪や逝きたる人の年かぞへ
八卦見の居る暮れ市の端の端
一掴み冬菜抜き来て一人の餉
昭雄
★音花火轟き街の年の市
・句碑を訪ひ辿る古径や一茶の忌
・一茶忌や雀が覗く潦
一茶忌や撫でゐる句碑のくづし文字
干支の絵馬高々と来る年の市
★早起きの米寿の椀の寒蜆
・抽出の祖父の句帳や一茶の忌
・年の市あれもこれもと袋づめ
数へ日や生き方上手の新刊書
マラソンは波長のごとし銀杏散る
一構
・朝靄に響く羽音や一茶の忌
・天然の鰻盥に年の市
霜柱踏みゆく先の石仏
螺鈿師の笑顔の金歯年詰まる
木のかをりほつと一息冬至風呂
信子
★束の間の売り子の昼餉年の市
・一茶忌の塒へ帰る夕鴉
スカイツリー輝くビル街年の市
一茶忌の鍋に焙ろぐ煮転がし
年の市大荒れ続く裏日本
★軽々と石を持ち上げ霜柱
カサカサと音立て崩る霜柱
霜除けに守られ育つ野菜かな
寄せ鍋や幼きころの人思ひ
久方に家族が揃ひカルタ取り
木瓜
★幾万の句詠みて行くや一茶の忌
侘助にちょちょいのちょいと話しかけ
年の市笑みて福売る小商ひ
苦楽をば束ね振り向く年の市
毎晩を妻と数へる一茶の忌
良人
・つかへては流る人波年の市
・一茶忌の畔田に遊ぶ群雀
・デパートに連なる車年の市
高々と鳥居の立てり年の市
人人の神田明神年の市
・一茶忌のふくら雀の一羽二羽
・一茶忌や温とい部屋の蹌踉け蠅
また一つ老の坂こす年の市
古鏡しばし映りしボロの市
賑やかに手締めを決めて飾り売り
健
・年の市売り子の声にせかさるる
年の市願掛けに買ふ縁起物
走馬灯ページを綴る年の市
信濃路を歩けば浮かぶ一茶の忌
そこのけとベビーカー行く一茶の忌
ミヨ
木障下ろし寝そべる牛の小屋小春
杉木立文目も分かず三十三才
黒姫山仰ぎ礼なす一茶の忌
賀状書く齢の杖の一里塚
年の暮れタペストリーの獅子の柄
夕映えのカレードスコープ風花す
心急く夕餉の支度一茶の忌
冬の夜の宴のダンス影深く
迂回する道人だかり年の市
冬霞筑波の山の裾揺らす