第226回 平成27年11月15日
兼題: 神無月 七五三


  利孟
 稔り田を行く気動車の薄煙
 桃割れのおでこの産毛七五三
 うそうそと人工関節さわぎ冬
 谷間の空に潰れて木守柿
 作務僧の膝の継当て冬に入る

  昭雄
☆神無月杉山杉の秀をきそひ
☆黒猫の金の双眸神無月
○少女はや女の仕草七五三
 神無月馬場に乱れし蹄跡
 七五三母を見上げる三才児

  ミヨ
○北風を受けてはためき舳先の帆
○朝粥の吹く音にのり尉鶲
○ 新しき足袋先余る七五三
○瘤撫でて拝す神杉神無月
 秋茄子焦げし金網郷近し

  輝子
○神無月飛行機雲のいづこまで
○ぽつくりの鈴の音唄ふ七五三
○父の背で揺れる簪七五三
○神無月草木に埋る地蔵尊
 神無月夕日に眩し点滴棒

  巴人
○天つ風四手の波立つ七五三祭
○七五三六方踏んで男坂
 雲走る夕間の麓神無月
 神の留守阿吽の睨む社哉
 七五三熨斗目袴にあやつられ

  敬子
○十月の歌麿道中舟で行く
 柿好きの夫に枝ごと供へけり
 とんぼうの飛び交ふ中に六地蔵
 走る子のセーター星の模様編
 七五三母手作りの絞り染め

  信子
○人星へ移り住む夢神無月
 冬近し投げ餌取り合ふ鯉と鴨
 どの子にも今日の青空七五三
 犬ころの尻尾打ち振る菊日和
 神留守の車に緩きハワイアン

  比呂
○神無月一の鳥居は街の中
 秋黴雨末社に供ふはだか銭
 紐付けて履かせる草履七五三
 仏具屋の淡き灯や秋夕べ
 葬儀屋の模擬葬式や神無月

  木瓜
○ラグビーに大和魂初トライ
 老ゆる度日記買ふ時早まれり
 忙しさの前に静まる神無月
 生と死の狭間安らぐ日向ぼこ
 七五三父のカメラに激ポーズ

  良人
 神無月山の端映えて入る夕日
 神無月光の簇の街夜景
 宮参り鳩に戯る七五三
 街路樹の梢に古枝神無月
 淅淅と鬼怒川に吹く風神無月

  健
 七菜の祝ひの膳の七五三
 両親や目には涙の七五三
 神無月旅の行き先出雲なり
 行く秋や四百年の東照宮
 千歳飴提げる袋の地に触れり