第２３８回 平成２８年１１月２３日
兼題： 小春 色鳥
小春日に白を晒して紙の里
霧笛谺す津波遺構の廃船に
色鳥や駅には限定土産物
神嘗や御柱香る新社
海の風海の日差しや掛け大根
ミヨ
★色鳥や池塘は空の色を溜め
・子授け駒納め参りて亥の子餅
・散り初めし銀杏のかげり夕汽笛
雀らの縮める間合庭小春
赤かぶらくぐもり育つなだれ畑
比呂
▲胸高に腕組む歩荷草紅葉
▲小春日や破れ網を縫ふ竹の針
色鳥やカイゼル、ダリの髭くらべ
牧終ひトラックへ押す牛の尻
着ずつぱりの浄瑠璃人形菊人形
▲小春日やからくり時計踊り出す
・人の寄るゴリラの檻や園小春
・四阿に届く瀬の音色鳥来
見渡せる関東平野野分あと
色鳥や防災予行の空晴れて
昭雄
▲襖絵の虎の這ひ出す小春かな
・小春の日真っ直ぐに刺す畳針
・色鳥や神父の襟の白カラー
色鳥の枝より移る躙り口
色鳥やけふの日記に影こぼす
一構
・秋入日金山跡に石の垣
・七色に光る蜘蛛の巣秋麗
そぞろ寒手帳に友の逝きし日を
フォワードのシュート一閃小春かな
秋麗探しあてたる古都の店
・小春日や社殿欄間の眠り猫
・蹲に水浴ぶ鳥や小六月
水面蹴り飛び立つ鳥や茜雲
颯爽と揃つて出かける小春かな
秋小鳥群れて泳ぐや空無限
良人
・空泳ぐ如く色鳥空に舞ふ
群れ遊ぶ色鳥の声空に満つ
小春日や南の方にのぞむ富士
色鳥の遊び荒れ田に色散らす
小春日や青き大空近き嶺
木瓜
・小春日や頬にほのかに陽の光
雲羽織りゆらりと大き冬の月
色鳥の鳴き声高く翳す羽根
日向ぼこ過労閻魔のひと休み
水涸れて思ひもよらぬ事ばかり
縁側で毛繕ふ猫小春かな
靄の川一途に鮭の上りゆく
鳥居脇霧の羽衣朝紅葉
かつ散りて沢の草葉で照る紅葉
手をかしてつづらなる坂小春風