第239回 平成28年12月18日
兼題: 霜柱 餅搗き
利孟
霜柱踏み登校の列乱る
初氷羽毛の吹かるる畦の鷺
猪鍋や宴闌け銃の自慢など
餅を搗く襷掛けして禰宜と巫女
仏壇と神棚に灯をクリスマス
比呂
★警策を受けて合掌初みぞれ
★古井戸の柱に小幣竜の玉
・語り合ふかに鳴く鴉枯野原
・強霜や布一枚の観世音
餅丸む臼に溢るる湯張りして
敬子
・初孫の朱色の手形実千両
・笑ひ声上げて餅搗く異人かな
・霜柱垣根に猫の出入り穴
・西国の岬巡りや石蕗の花
病状の晴れや曇りや枇杷の花
ミヨ
・幾臼も餅搗く僧の藁草履
・石畳先の居留地冬薔薇
ショベルカー震る都度崩る霜柱
枯野牛群れて何処も日のまだら
筑波嶺の空落ちかかる夕焚火
良人
・餅を搗く朝のしじまに杵の音
荒き息吐きて力士の餅を搗く
霜柱故郷遠く下駄の音
霜柱畑の盛土に斜め立つ
納屋陰に霜柱立ち残り居り
信子
・駒を打つ音の響きや霜柱
カクテルとけだるきジャズとクリスマス
枯葦の踏ん張る川の細れ波
餅搗きや昭和の表裏通り
若冲の鶏の出を待つ年の暮れ
昭雄
・えいおうの気合山伏餅を搗く
霜柱覗きてこぼるネックレス
霜柱蹴上げ少年大車輪
良寛の掛字背や餅の音
霜柱ぎつしり詰る詩の欠けら
美恵子
・峡の里餅搗く者と囃すもの
霜柱塩で大根の樽封ず
霜柱昨夜に洗ひし野良着干す
両の手に息をふきかけ霜柱
餅搗きや蒸籠の数の湯気上がる
輝子
・腕まくり飛び交ふ気勢餅を搗く
石蹴りの小石が崩し霜柱
光散る宙に蹴られた霜柱
餅の音杵を見上げて「よいしょ」かな
餅搗きの合間挨拶せはしげに
木瓜
・麦の芽や汽笛一発出航す
明快な言の葉探し落葉掻く
やることはやつて一服小晦
餅搗やパパの掻く手は大丈夫
霜柱踏まれて鋭利掉尾の音
青樹
・餌を漁る親子の鴉霜柱
久々の杵の重さや餅を搗く
餅つき器仕掛けてしばし茶を汲めり
餅を売る店の賑はふ年の暮れ
捏ね取りの居て搗き上がる餅配り
一構
山道の日陰に光り霜柱
朝未だき犬と行く土手霜柱
縁日のおかめひよつとこ霜柱
笛太鼓祭の夜に霜柱
犇くや庭の芝生に霜柱
健
霜柱落ちた一葉の光るなり
踏む音と崩るる音と霜柱
餅搗きや蒸米試し食ひをして
餅搗くや夫婦阿吽の呼吸もて
田園のお色直しや六花