第240回 平成29年1月15日
兼題: 初筑波 礼者


  利孟  
 鳳凰の舞ふを探して初茜  
 大阿弥陀仏の背負ひて初筑波  
 風除けの垣に隠れて遠筑波  
 大寒波空の底まで透きとおり  
 先づ上がれいやこれにてと礼者かな  

  比呂  
★米一つかみづつ十二社に初詣  
★筥迫の飾り緒娘礼者かな  
・若水や井戸に注連縄張り佃島  
・初鶏や餌漁る声も清らなる  
・二峰の間に朝日や初筑波  

  昭雄  
★玄関の下駄や草履や初礼者  
・初筑波四六の蝦蟇の目覚むかな  
 飛石を跳んで鈴鳴る賀客かな  
 初礼者里の蕎麦屋の盛二枚  
 初筑波杓よりこぼす二、三滴  

  健  
★四五軒を回りほろ酔ひ礼者かな  
 山肌にさしたる朝日初筑波  
 初夢の句作に悩む夢中吟  
 意気込みの闘志抱きて去年今年  
 曇天の雲間の影絵初筑波  

   良人  
・白土塀の屋敷町行く門礼者  
・双耳峰の分ける光や初筑波  
・初筑波関東平野一望す  
・長屋門くぐり母屋へ礼者かな  
・初筑波北に加波山西武甲山  

  信子  
・風の中青みて遠き初筑波  
・子の誇る父のトラック初荷かな  
・年詰まる巫女の手に手に竹箒  
・口添へて手話の賀客へ手話の礼  
 鏡餅昨夜の野州のつむじ風  

  聖子  
・青空に赤きクレーン初筑波  
・積み上がる名刺役所に初筑波  
・ほろ酔ひの口上もつる礼者かな  
・新しき国旗県旗や初筑波  
 受付に数多メモ書き初筑波  

  青樹  
・朝靄の晴れて気高く初筑波  
・五歳にて女礼者を真似来たる  
・礼者来て酒宴またまた盛り上がり  
・初筑波空にJAXAの星巡る  
 夫婦峰遠景穏し初筑波  

  敬子  
・寒星や父の日記にある朱線  
・僻地校のオルガンの音や七日粥  
・新年の祖母は明るき白寿かな  
 初筑波奇想天外の景に立つ  
 共に生き視覚楽しき年の餅  

  ミヨ
・初日の出炎痕の残る煉瓦窯
・屋号呼び合ひふだん着の礼者かな
・初市や手締太鼓のきはやかに
 蝦蟇口上根づく土地柄初日の出
 天井扇ゆるり木の香の冬館

   美恵子
・かしこまり受ける盃礼者かな
・点袋振り分け髪の礼者来て
 初筑波板東一の日の出かな
 一の重礼者の語り長々し
 初筑波福来陳皮の香を啜る

  木瓜
・老いてなほ覗いてをりぬ初鏡
どんど焼不意の魔性の破裂音
 小正月旨酒要らず美句に酔ふ
 麓にて友が掌合はす初筑波
 険し伯父礼者たりけり額に入る

  輝子
・一年の無沙汰をわびて年賀状
 言祝ぎに白白明けて初つくば
 立ち待つる懐真っ直く初日の出
 両親の見送り姿初つくば
 絶へずして車窓に見ゆる初筑波