第246回 平成29年7月30日
兼題 水無月 噴水
夏の海崖に囲はれ耶蘇の寺
水無月の闇へと光り滑走路
とどめ差すやうに連発花火果つ
炎昼や戦闘服に草生やし
噴水の鶴吹き上げた水浴びて
良人
☆水無月や風の通らぬ?の森
・噴水の際よりベンチ埋りけり
・噴水の音に溶けこむ鳥の声
・水無月や上りの続く棚田道
・水無月や竹林の道風通る
ミヨ
△大暑かな銅山に真向ふ溶鉱炉
・舟唄の豊かな訛り青時雨
・水無月や出羽巡礼の檜笠
・夕日中大噴水の水崩る
・蜩や尼の説法たうたうと
△逃水に浮かびて急ぐ救急車
・百四年生きたる名医白蓮
・放牧の赤毛黒牛雲の峰
・夕風にのりし梵音軒風鈴
雨の日の噴水さらに叫びをり
信子
△山揚げや踏んばる百の祭足袋
・噴水や官庁街の昼休み
・支流集めて青水無月の大河
・水湛ふ古代のしじま蓮の池
ビル街の地上地階の辱暑かな
敬子
・目標は日に三千歩雲の峰
・佳き声で空を切りさく夏燕
・水無月や番鳥鳴く冠木門
・噴水の俳句愛せし友米寿
・新緑の森へシルバーカーを押す
・炎天の白球を追ふ砂ぼこり
・水無月の空の青さの深きかな
・噴水の池のほとりに子らはしやぐ
・風鈴や路上ライブの露天商
・噴水のきらきら光る水柱
木瓜
・こち向けと遠雷我の頬撫づる
・完熟のトマト崩れんばかりかな
・天辺で力尽きるとかこの手は多い
・水無月や変色したる誕生日
・球児負けざらり短き髪洗ふ
青樹
・水無月の軒干瓢の白簾
・水無月の田に身じろがず鷺一羽
・噴水の飛沫ベンチの人追ひて
・噴水に紛れ危うく黒揚羽
・噴水の涼を拾ひて昼寝かな
・噴水やコートのライン引きなおし
・噴水を宥めて過ぎぬ通り雨
・水無月の着信音や娘のメール
・水無月や絵巻のやうに山展け
常夏月ガラクタ市にマリア像
一構
・写真展終はり噴水止まりけり
・亡き友の小さな墓や糸蜻蛉
・噴水や天まで届け孫の夢
池の中苔の巖に糸蜻蛉
夕立や静かに話す人と居る
巴人
・水無月祓へうすく化粧の巫女の居て
・吹き水の穂先まどはす町の風
・大暑の日山に雲置く烏山
よもすがら吹き水謡ふ泉町
吹き水のさゝらぐ宮にあそぶ鳩