第253回 平成30年2月12日
兼題 梅の花 寒明け


 瀧凍てゝ水にねむりの刻もどる 重次







  利孟  
 大きめに上る制服春立つ日  
 菓子箪笥に納める干菓子春まだき  
 梅開く天神様とよぶ祠  
 高貴なる血の色の月睦月尽  
 雲水の焚く破れ草鞋寒明ける  

  比呂  
☆埋め置きし葱立ち上がる日和かな  
○名ばかりの女人結界野梅咲く  
△有り無しの風芳しく牡丹の芽  
△寒明けや漫ろ歩きて菓子屋へと  
△どんど火や村の小さき消防車  

  信子  
☆夕餉の菜洗ふ水音寒の明け  
△就寝に点す豆球梅月夜  
 寒明けのまだ空事の空の青  
 何処までの林暗夜の梅の花  
 パンダ舎の人人人や寒明ける  

  ミヨ  
☆間伐の樵り積む音や寒明ける  
△探梅や尊徳堀の堰とどろ  
 銅山の辺の寸土あまさぬかぶら畠  
 土割って光まぶしき野水仙  
 室花や古マジョリカの壺の青  

  昭雄  
○文豪の墨跡香る梅の寺  
△大地震の地にも人にも梅真白  
△百段の先は社殿や梅開く  
 鳶一つあげて里山寒明くる  
 寒明けの馬場に乱れし蹄跡  

  良人  
△筑波嶺の裾野そこここ梅林  
△寒明けの風に誘はれ行く山路  
 寒明けの夕日に染まる茜雲  
 やはらかき風梅が香を運び来る  
 やはらかき日を浴び香る梅一樹  

  巴人  
△盆梅の手入れや昼の酒少々  
△梅が枝を剪る緋袴の白き指  
 妖精の降る空しずかな寒の明  
 梅花節万歳三唱背筋伸ブ  
 東北線の窓梅どころどころ  

  青樹  
△捨て置かれ幹の老いたる梅真白  
△山鳩の鳴く声響き寒明ける  
 梅の香にふと佇めば昼の月  
 寒明けてなほ霜柱重ね立つ  
 犬吠埼の霧笛響けり寒明けて  

  清泉  
△梅香り子と手を繋ぐ帰り道  
△コンビニの花やぎチョコと恵方巻  
 川堤超えて香りぬ梅の花  
 本命のチョコ選ぶ瞳は輝けり  
 蒼き空輝かせたり屋根の雪  

  敬子
△人住まぬ故郷となり寒椿
 生き方は人それぞれや梅蕾
 梅の花犬をつなぎて立話
 遠回りして紅梅を確かめる
 やはらかき土の弾みに梅の花

  美恵子
△スキップの子のランドセル寒明ける
 陽の当たる窓より今かと梅の花
 日向ぼこ畳に伸びし陽を追ひて
 梅の花熊本野菜の若き色
 寒明けや雀の燥ぐ瓦屋根

  聖子
△寒紅梅父に幾たび抗ひし
 寒明けやリズム奏でる軒雫
 未婚同士の利き酒の会寒明くる
 つぎはぎの縄文土器や梅の花
 組合のビラ配らるる寒明けて

  木瓜
 力込む向きはあちこち梅蕾
 春めくやそっと襟先立てにけり
 春の海静かに波の歩み寄る
 寒明ける指の先までよく伸びて
 のんびりとゴール目指して二月尽