第265回 平成31年2月27日
兼題 梅 逃げ水
瀧凍てゝ水にねむりの刻もどる 重次
梅見かな天神様に女坂
待春や眼科医暗き部屋にゐて
見上げたる口の白息お松明
逃げ水や外の床几で待つ蕎麦屋
雪に足とられて巡り雪祭り
比呂
☆雲の上に雲の流るる梅日和
△独語してひとり領き日向ぼこ
△地吹雪や魑の声の混ぢるとも
・笹舟の忽と向き変ふ春の川
・帆引舟の帆の大はらみ春隣
信子
△句碑見ては句碑へと仁右衛門島の春
△島になほ島守る一戸野水仙
・梅二月漁港の風の固くして
・満面の媼の笑顔迎春花
・浅春の水練りてゆく手漕ぎ舟
△梅の香をとどめ古城の石の垣
・畑囲む農家の庭の梅古木
・逃げ水のたまゆらの間も定まらず
・山峡を埋めて越生の梅の園
・梅匂ふ月ヶ瀬村の梅の句碑
雅枝
△逃げ水を追うて夕日の三丁目
・蝋梅の香に満ち唐の都かな
・呼ぶ声に振り向けば梅ほのかなり
・白梅の枝は競ひて空を恋ふ
・陽炎や尾を振る犬の影溶けて
昭雄
△逃げ水や相似て放哉山頭火
・梅真白浜田庄司の長屋門
・梅日和会津の街の和蝋燭
・逃げ水に突込んで行き猫車
抱き受けし嬰も紅梅を見上げをり
△逃げ水や鳩の翔ちてはたむろして
・枯葭やダムに沈みし蝦夷の村
・いろは坂を俄かに化粧ふ霧氷かな
手に笏の権現様像梅日和
語らひの木椅子あたたか梅見頃
木瓜
・春陰や息吹きかけて眼鏡拭く
・何気なきことに幸あり野梅咲く
・逃水や語尾の弾める栃木弁
春更くる十二年経て披露宴
うかれ猫居切るこの道前後なし
英郷
・一輪の白梅頬のこはばりて
・逃げ水の車の先へ先へかな
・陽炎の揺らぐ姿に追ひつけず
温もりが辺りに漂ふ梅林
舗装面更に先行く逃げ水に
・逃げ水や前掛重ね地蔵さま
・梅東風や小走りにゆく緋の袴
風少し梅の花弁雨情の地
梅ばやし風雷神の雨うてり
逃げ水や麦のみどりの足もとに
敬子
・天空へひらく紅梅峡の風
・旅の夜の誘はれて撒く年の豆
冬すみれ流れふくらむ巴波川
人生記綴る米寿や雪椿
介護士に頼る飲食福寿草