第284回
令和2年9月27日
兼題 月 子規忌
日々の薬ありて緩解獺祭忌
大花野手つなぎ老いて道祖神
薪足して滾る大釜走り蕎麦
詰め襟の女子の団長運動会
月白や石組ゆるむ烽火台
比呂
◎魚籠揺れ止まず尺鮎の胴震ひ
◎天の川西土東土へ絹の道
○満月や補陀落渡海熊野より
△柿を剥く律の横顔子規忌かな
△子のプール干すダリの時計のやう
信子
○仏塔の真白く月の丘の上
△蝉しぐれ森のどこかが破れさう
△折り紙の舟の船頭夕月夜
△鉛筆をきれいに並べ子規忌かな
△獺祭忌介護のベット上げ下げて
○濁り酒仕込む大釜土間の闇
△茶臼岳の薄き噴煙後の月
△藍染の壁掛揺すり秋の風
△供華を手に句碑を尋ねて獺祭忌
△雨風に荒びし袖垣雁来紅
美恵子
○石蔵の小さき天窓黍嵐
△灯を消して月見の二人静かなり
△夜空へと尾灯の消えて萩の坂
△瑠璃瓦乗せた看板秋袷
天高し幟はためく定食屋
良人
○山城の白壁てらす望の月
△月明かり路地の奥へと届きけり
△夕月の薄き明かりのすぎなみき
△子規の忌や宿下駄で行く道後の湯
雲が飛ぶ月下の街の車の灯
○背表紙の剥げし歳時記月明かり
△月明かり道連れにして夫帰る
△図書館に日がな籠りて子規忌かな
子規の忌の暮れて夢よと逝きし人
通夜帰り仏のやふな月明かり
英郷
△盆の月親しき友と共にゐて
△子規忌かなそれでも吾の捻りし句
△山の背に三日月白くかかりけり
△月白や声なき鳥の過ぎる影
朝寒しだんだん消える星明かり
木瓜
△警醒のコロナウイルス熱帯夜
どつたりと我が子のように肩の月
色変へぬ松ひと肌脱ぎて今来たる
色変へぬ松や九十九代首相
子規の忌や東菊の画しよんぼりと