第286回 令和2年11月15日
兼題: 秋深し 林檎 七五三
鉦打ちて終る勤行秋深む
湯豆腐や一升瓶の底の酒
袖で艶だし丸齧りする林檎
幣を振る禰宜に目奪はれ七五三
消防団年中募集亥の子餅
比呂
◎雁の棹指鉄砲で打つ夕陽
○収牧の牛の抗ひ天高し
・抱き上げて振らす神鈴七五三
・Vネックに見せるデコルテ青りんご
・崩れ梁淵の昏さの深まれり
聖子
○七五三主役の寝入る食事会
・ほの甘き香りに満ちて林檎風呂
・県庁の花壇植ゑ替へ秋深し
・秋うらら県庁広場の物産展
・日に映えて色で模様の菊の丘
○啄まれ高き梢の熟し柿
・前撮りの親めかし込み七五三
・犬走り落ち葉ころころ秋深し
・ひんがしの冴ゆる夜明けに鳥の影
ひと齧りして顔しかめ青リンゴする
昭雄
・七五三翁媼を先にたて
・勉強の様子見たくて剥く林檎
・秋深し焼おにぎりの濃き焦げ目
・鐘一打故郷の秋深めけり
爺婆のあれこれ用意七五三
信子
・秋耕の背を日にあづけ小半日
・丸かじりすると見定めもぐ林檎
・ヒーローの剣を袴に七五三
深秋の世に未知のもの未知のまま
秋深き眼光怪盗ルパン像
・岩木山迫る実りのりんご園
・単線の線路の軋み秋深し
・りんごもぐ裾なだらかな岩木山
秋深し雨音しずかなる一夜
瀬の音のさやけさ増して秋深し
美恵子
・秋深し箒の音の途切れなく
・甘酸っぱい香り土産に林檎狩り
・白石の参道進み七五三
青天井林檎は低く紅く生り
秋深し郵便受けの一葉かな
木瓜
・青春は酸つぱきものよ青林檎
・筥狭子にテイツシユを入れて七五三
冬菫誰も解かつてくれなくて
幸せはそこにあるはず秋深し
秋深しまだまだ何もしておらず
・冬うらら樋で水引く湯宿かな
神迎へ笛先頭に中社へと
祈ぎ事の経木積まれて秋深む
四つ目垣日の斑よせ合ふ福寿草
髪結うておや畏まり七五三