第302回 令和4年5月28日 Zoom
  兼題 田植ゑ 夏服 さくらんぼ


象潟九十九島と鳥海山


  利孟  
 苗一人一把の田植ゑ学校田  
 自販機のボトル音立て夏来る  
 毛虫焼くカンダタほどの情も無く  
 儀仗の白服きらめく金モール  
 舌先に遊ばせ無味のさくらんぼ  

  信子  
☆逝く春や汀子、兜太の季語論争  
☆日面に日裏にたわわさくらんぼ  
・下野路行けば植ゑ田の続くかな  
・ノースリーブにママさん給食ボランティア  
・アパートの建ちて田植ゑの田のありて  

  良人  
○象潟や植田に浮かぶ九十九島  
○湯治場の朝の湯船に田植歌  
・山形の旅の家苞サクランボ  
・田植え機の進むを見つめ鷺一羽  
・境木の卯の花盛り田植ゑ終ふ  

  美恵子  
○ビンテージと洒落て野良着の田植ゑかな  
・桜桃の熟れて尾長の襲来す  
・夏服や朝の日を入れブラインド  
・桐の花病窓飾り退院す  
・夏草に覆はれ厚き盛り土かな  

  比呂  
○苗の列乱れ植ゑられ学校田  
・青しぐれバッグの底を弄りて  
・考のイニシャル黄ばみし麻のシャツ  
 余所余所し桐箱入りのさくらんぼ  
 ミネザクラ茶臼山に古き殉難碑  

  ミヨ  
・アマリリス風は子の髪吹き上げて  
・お馬さまの水飲み場跡夏に入る  
・農暦結の田植ゑの日を記す  
・弓なりに積まれた蛇籠上り梁  
 夏の服少し凝らして弥次郎兵衛  
 こけしの頭回して鳴らしさくらんぼ  

  聖子  
○捻り鉢巻きの父の采配田植ゑかな  
○次々と水口切りて田水引く  
・じやんけんで決める手伝ひさくらんぼ  
 

  英郷  
・今年また上ノ山からさくらんぼ  
・逆さ樹の水面に映る植ゑ田かな  
・子育てに奔走皐月の鸛  
 夏服となり幼な児のすまし顔  
 梅雨入り前露寇・コロナ禍に声便り