第314回 皐月例会
令和5年5月27日16時 Zoom

  兼題 葦切 春深し 茎立ち 麦笛




  利孟  
 捨て畑の隅の一畝茎立てり  
 麦笛や背ナの隠れるランドセル  
 春蔭や肌の黒ずむ木地佛  
 行々子騒げば葦を風わたる  
 春深し空細切れにビルの窓  
 型枠に突き出すボルト茎立てり  
 柵越えのボール点々行々子  

  比呂  
☆葉桜や鞍馬天狗の呼ぶ白馬  
○麦笛や池の澱みに亀の浮き  
○梁を組む太郎と呼ばる大蛇籠  
・春祭り農馬しつかと飾り上げ  
・春深む永代供養の経読まれ  
・よその子の育ちの早さ葱坊主  
 葭切や人咎めては咎められ  

  信子  
○麦笛を吹けば乗れさう雲の舟  
○空を割り局地雷雨の来て広野  
○鮎解禁百の竿へと日の飛沫  
○トーストのカリッと焼けて五月来る  
・木漏れ日の影校庭に春逝ける  
・茎立の丘にイタリアレストラン  
・葭切や循環バスの戻る坂  
・葭切や関東平野茫茫と  

  美恵子  
○姉妹麦笛競ひ帰る道  
○春深し透明絵の具を塗り重ね  
○春深し餌ねだる鳩の手に肩に  
○葭切や沼E茫とひろがりて  
・茎立に寄れば小さな白き花  
・麦笛や銀髪の友手を振りて  
・春深し三年ぶりの同窓会  

  ミヨ  
○丁字路に残る番小屋春夕焼け  
○春深し通学バスのベル押して  
○麦笛を吹きつつ畔の水加減  
・綿菅の野に馬車道の轍跡  
・大水門葭切の声切れ切れに  
 包丁をせはしく使ひ茎立菜  

  英郷  
・葭切の声騒がしく夕暮るる  
・翡翠にカメラ放列姿川  
・春深しシャツの袖口まくり上げ  
・時忘れ鳴らす麦笛日の暮れる  
・茎立のさみどり色の笑ふごと  
・しもやけの痕も薄れて春深し  
 麦笛を吹き鳴らす技ありにけり  
 三番菜すつかり伸びて茎立ちぬ