第317回 令和5年8月26日 ZOOM
兼題 秋暑し 流れ星 水羊羹
 


  利孟  
 手花火の火玉ふつふつ滾り切る  
 杉の香の白木の皿や水羊羹  
 手花火を諸手にかざし魂送る  
 秋暑し坩堝の硝子からめ吹き  
 尺玉の地揺すり光空を埋め  
 家鳴りして目覚めて眠り野分過ぐ  
 丑三つを過ぎてたけなは流星群  

  比呂  
☆秋暑しぽつくり寺の抱き柱  
○屈強な影連れ歩く炎天下  
☆奥山に落ちて隠ろひ流れ星  
○堂涼し大和坐りの微笑仏  
○かろがろと語る初恋水羊羹  
○私語めける滴り風に曲吹かれけり  
・土用波寄すや漁り火見え隠れ  
・検定の足らぬ1点秋暑し  
・ガムランに踊り子の指反り涼し  
・瓶の煎餅万屋の氷旗  

  ミヨ  
☆盆踊り櫓明かりに誘はれて  
○百日を過ぎて百花の百日草  
○滴りや崖に彫り込む母子の像  
・送り盆麻がらの灰風に乗り  
・盆踊り高き櫓の宵囃子  
・拝殿に隣り屋台のとうきび屋  
・夏休み百葉箱を子が囲み  

  英郷  
☆秋暑し動き止めたる百足の子  
○燕去り空のからつぽ夕間暮れ  
○流れ星命尽くして闇よぎる  
・光跡の白く輝き流れ星  
・野州路にLRT秋立てり  
 まろやかに水羊羮の舌触り  
 幼な児の顔のくづれて水羊羹  

  信子  
○空使ひ切るも刹那や星の飛ぶ  
○流れ星こころの着地点求め  
・自転車を立たせ残暑の空気入れ  
・四百字程と秋暑の稿依頼  
・雨上がりの庭木のみどり  
・カンナ燃ゆ緩きカーブの続く道  
・ときに佳き風や残暑の畑仕事  

  美恵子  
○秋暑し鉢巻きりと打つ太鼓  
○暗がりのどことは知れず鳴くちちろ  
・鉢巻の五人太鼓を競ひ秋  
・流れ星来るか来ぬかと親と子が  
・献杯の声のくぐもり上ぐビール  
・薄明に野菊の花を二三本  
・体温の日毎の記録水羊羹  

次回予告
第318回 令和5年9月30日 13時から Zoom
兼題 とろろ 白露 新米 月見酒