第318回 令和5年9月30日 ZOOM
兼題 とろろ 白露 新米 月見酒

  利孟  
 尺の鉢胡坐で抑へ擂るとろろ  
 月見酒グループLINEに来る訃報  
 白露かな剪定鋏の発条仕掛け  
 赤く染まる長期予報図白露かな  
 宅配の専用函の今年米  
 新米や鳥屋の卵を拾ふ籠  
 月見酒西域渡りの玉の盃  
 三たての蕎麦に小鉢の生のとろろ  

  比呂  
☆風鎮のことりことりと月見酒  
☆藍瓶の終のうす青つづれさせ  
○天の川にじり寄る児を抱き寝かせ  
○ほつほつと点く山家の灯夜の秋  
○秋祭まつげに綿の綿菓子屋  
・植ゑはなす菊に這ふもの曲がるもの  
・新米のこれが極上塩むすび  
・白露や空の書かれぬ世界地図  
 ひげ根焼きぽつてりとする山の芋  
 口下手の夫の語計り紫蘇の花  

  信子  
☆堰越える水穏やかに秋彼岸  
○木の家の木戸を引く音とろろ飯  
○数かぞへ白露の朝の深呼吸  
○泣き笑ふ四コマ漫画夜の秋  
○月見酒影の彩なす切子杯  
・本堂に遠く手合はせ秋彼岸  
 新米を研ぐややさしく指使ひ  

  ミヨ  
○ヘルメット揺らし走る子小六月  
○二頭身の土偶の鎮座秋日中  
・秋の日をあびて出土の土偶かな  
・秋の日に干す珈琲豆の麻袋  
・残る菊全てを供へ位牌堂  
・納屋奥の昼なほ暗く鉦叩き  
 波打てる轆轤の陶土鉦叩き  

  美恵子  
○揺れ遊ぶてるてる坊主月見酒  
○白露けふ母の薬湯冷ましやり  
・一年の労に手合はせ今年米  
・作業着のままに掻き込みとろろ飯  
・初紅葉競ひ見つけて姉妹  
 電線に稔り田見張りゐて鴉  
 大笊に山盛りにして摘み棗  

次回予告
第319回 令和5年10月28日13時から
兼題 十六夜 小六月 青蜜柑 夜長