第319回 令和5年10月28日13時 Zoom句会
兼題十六夜 小六月 青蜜柑 夜長
青蜜柑ならぬ、多聞庵の酢橘
十六夜や角打ち酒に缶開けて
榾を足す風呂の残り火夜長かな
竹馬のアルミのポール小六月
行く秋や流れにまかせ下る船
雪虫や御者舌鳴らし馬を追ふ
小六月娑婆を隔てて高き塀
バイバイの後は駆け出し青蜜柑
掘りてもぎ洗ひて茹でて落花生
信子
☆むらさきに暮るる連山青蜜柑
☆蓮は実に志功「蓮華」といふ墨書
○十六夜の雨やバス降りひらく傘
・予備鍵にみな鈴つけて小六月
・幾何学模様に折れあひて
・ティータイム隣りの紅葉愛でながら
・青蜜柑採らずおいても青蜜柑
・長き夜の推敲一ミリボールペン
☆読みさしに挟むヘアピン晩夏光
☆大亀に乗り行く太郎秋の海
○三度引く神占御籤神の留守
○花終へて茎凭れあふ彼岸花
○散り紅葉子をなし猫の太々し
○神饌の魚乾ききり神還る
○膝に置く骨壷温し秋の風
○卓袱台を広げ夜長の針仕事
○法螺話続き煮詰まり牡丹鍋
・十六夜や短き夫の置き手紙
・大野分音のつまづくオルゴール
・喪帰りの朧 朧しきや十三夜
窓の曇る列車で別れ青蜜柑
無住寺の苔の卵塔曼珠沙華
☆開墾の苦労話や大根干す
○小六月那須の遠嶺を見渡して
○串の鮎囲炉裏火棚の煤光り
○秋種を蒔きておおひの濡れ新聞
・当たり年風に重たき青みかん
・さび鮎を放ちて生け簀自慢かな
・秋を描くチューブの固き古絵の具
責め上がる水音さはがし下り簗
鮎取りの爺の蘊蓄生け簀船
美恵子
○青蜜柑お手玉にして数へ歌
○十六夜の月待つ昨夕の無月ゆえ
○子の帰へり待ちて長夜の座卓かな
○徒競走転びどんじり青蜜柑
○十六夜や供へし団子焼きながら
・小六月干されし樽の光りをり
青蜜柑酸つぱき幼き日の記憶