第320回 令和5年11月25日 Zoom句会
兼題: 狐火 稲架掛け 隙間風 雑炊
狐火の梢を渡る風に揺れ
修学院荘の棚田に掛けて稲架
稲架掛けの稲束緩み実習田
あと一合頼みつよそひ河豚雑炊
ほうと呼べば狐火しばし消えてまた
隙間風客の錠差す躙り口
スコーンとブラックティーと冬薔薇
ミヨ
☆難儀ありと告げる神籤や実南天
○稲襖解けば風のわくところ
○住み慣れし家の何処から隙間風
・稲掛けや慣れし間合ひの夫婦かな
・干し芋茎軒端の色に仕上がりぬ
信子
○サハリンを望む番屋の隙間風
○狐火や太白星の山の端に
・夕稲架や男体山を遠くして
・稲架掛けの香をのせ風の戸口まで
・雑炊の熱さ馳走と言ひながら
・那須の野を渡り来たりて隙間風
雑炊の好きも嫌ひも入れて美味
○届きたる小昼と薬缶稲架の下
○山粧ふ湖に群れなす紅葉鱒
・義経と静のマスク菊人形
・金賞の「思いのほか」の菊膾
・狐火や灯ともし頃の湯治宿
狐火を幾度見んと山語り
かりそめに住みし貸家の隙間風
美恵子
○雑巾掛け競ふ廊下や秋夕日
・頬被りの払ふ藁屑稲架掛ける
・稲架掛けやチェレスタ畔のラジオから
・行き過ぎる足音の消え隙間風
・サイレンと遠吠え響き隙間風
ふぐ雑炊本音にぎやか同窓会
祖母語る昔々の狐火を
英郷
・稲架掛けの太竿運びコンバイン
・救急の手術やうやう牡蠣雑炊
・墓見えし破れ障子の隙間風
・雑炊に玉子が薬風邪の熱
干し物を終へベランダの隙間風
退院を祝ひつ養生ふぐ雑炊
稲束の揺れて重たき天秤棒