第339回 令和6年6月28日 ZOOM
兼題 短夜 梅雨 青林檎 若鮎 蝸牛
昨夜に見たままに葉裏の蝸牛
風鈴の鳴れば金魚の絵の震へ
青林檎どっどどどどうど風荒ぶ
梅雨の月式部は筆を止めしばし
若鮎の半身を晒し抜け魚梯
小波の白夜の湖に月の径
店裏で藁が炎を上げ初鰹
ともこ
☆郭公鳴く夕陽真っ赤に染まるまで
△焼き鮎の配られ炉端静まれり
△弁当に二羽の兎の青林檎
△四葩描く筆たつぷりと水吸はせ
・濡れ縁に光る這ひ跡蝸牛
・明易し朝刊配るバイク音
・父の忌の客を見送り梅雨晴間
△身の重さほどに葉撓ひ蝸牛
△梅雨空の透けて七色アンブレラ
△就活の白のワイシャツ青林檎
△平行バー伝ふリハビリ蝸牛
・大声で笑ふリハビリ梅雨晴間
・若鮎の彼誰時を跳ね続け
・短夜やカーテン透かし朝が来る
ミヨ
△朝なさな摘めるトマトの脇芽かな
△雷雲や女峰山男体山引きあひて
・餌を撒く音にゆらぎて金魚の尾
・蹲踞に落ちる水音夕端居
・女峰山より下る坂の辺花キスゲ
スターチスの束を吊して梅雨晴間
前山に落ちる雷香を焚く
△千手観音の遊ぶ御手や梅雨きざす
・少年の皓歯の歯形青りんご
・神童と謂はれし教師かたつむり
・幾度も挑み若鮎堰越ゆる
・明け易し宇治十帖を読みさしに
・高々と湖に網打ち夏に入る
・川の字に寝た子大の字遠蛙
信子
・炊飯の湯気の勢ひや夏至ゆふべ
・汝は汝貫くあゆみ蝸牛
・若葉の夜トリオのアンコール二曲
梅雨の星祈りの曲のピアニシモ
短夜の寝返り難き箱枕
炊きたての飯になめろう梅雨晴間
青林檎置けばこつんと返す音