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2002 UK 88 Min. 劇映画
出演者
Sacha Baron Cohen
(Ali G. - 英国の小さな町の若者)
Charles Dance
(David Carlton - 大蔵大臣)
Michael Gambon (首相)
Kellie Bright
(Me Julie - Ali のガールフレンド)
Rhona Mitra
(Kate Hedges - 大蔵大臣の秘書)
見た時期:2002年7月
英国人のユーモアには時々驚きます。以前イビサボーイズ GO DJ! を見た時と似たような驚きでした。
Ali G. in da house はその青年版。どきつく、ど汚く、えげつなく笑い飛ばすところは、同じ手法です。むろん年が行っているので、出て来るジョークは子供向けではありません。その上マリワナ茶が大手を振って登場するので日本では公開できないかも知れません。警察関係者と PTA は喜ばないでしょう。茉莉花茶ではありませんから、念のため。イビサボーイズ GO DJ! を見逃したら、英国の重要な文化を見過ごしたという気持ちになりますが、イビサボーイズ GO DJ! を見てしまうと Ali G. in da house の方はまあパスしてもいいかとも思います。
両者に共通しているのは、カルトに近くなったテレビ・シリーズがベースになっている点です。ははあ、英国人はこういう番組を見ているのか、と驚きもしますが、世の中が変わり、流行が変わり、私でもラップを聞くような時代ですから、ドーバー海峡の向こう側の英国人が紅茶を飲む物静かな紳士淑女でなくなっても、それは別にかまいません。
驚いたのはあのチャールズ・ダンスとマイケル・ガンボンを連れて来たことです。こういう役者がここのところで必要だというのは話の行きがかり上分かるのですが、よくあの2人が出演を承諾したなと口をあんぐり。日本での知名度は分かりませんが、ガンボン氏は The Singing Detektiv のフィリップ・マーロウです!最近では白髪になってスリーピー・ホロウとゴスフォード・パークに出ています。キャリアは恐ろしく長く、色々な所で賞をもらっていて、果ては本人が喜んだかは別として女性の国家元首から称号まで貰っています。いいかげんな俳優ではありません。物静かな老人の役に向いているわけです。Ali G. in da house でも英国首相を演じているので、確かに物静かな老人、失礼、中年をやっているのですが、アリと全然合いません。そのミスマッチが監督の目的だったのでしょう。
ダンスもプランケットとマクリーンやゴスフォード・パークに出ていた人で、たとえ裏で陰謀を企てていたとしても、表向きはやはり時代物などに出て来る物静かなおじさん、というのが似合います。女装して腰を振りながらダンスという柄ではありません。もっともスペース・トラッカーズに出演しているから、ちょっと傾いているのかも知れません。ドイツ語で schräg (傾ぐ)と言うとクレージーというような意味です。
驚きついでですが主演・脚本担当の Sacha Baron Cohen がケンブリッジで歴史学を修めている上、雑誌の記事によると英国の移民マイノリティーの言語も勉強したとか。そういった成果が作品の至る所に生かされていますが、アリG からは教養のかけらも見えないところは演技賞もの。
アリの汚いジョークのネタにされたのは、各国の元首、ちょっと前の映画の下品なシーン、映画のシーンと同じ状況で最近本当に首になった教師などさまざまで、いろいろな階層、話題をカバーしています。ガンボンに称号をあげた女性の国家元首も餌食にされました。汚いジョークを売り物にしている人では大分前にハワード・スターンのプライベート・パーツも見ていますが、英語圏に住む子供はケビン、ぺリー⇒アリ⇒ハワードという風に大人になっていくんでしょうか・・・!?
参考作品: イビサボーイズ GO DJ!(少年向き)、ハワード・スターンのプライベート・パーツ(成人向き)
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