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テッド・バンディ 全米史上最高の殺人者 /
Ted Bundy

Matthew Bright

2002 USA 98 Min. 劇映画

出演者

Michael Reilly Burke
(Ted Bundy)

Alexa Jago (Betty Bundy)

Tiffany Shepis (Tina Gabler)

Boti Bliss (Lee)

Steffani Brass (Julie)

Marina Black (Kate)

Renee Madison Cole
(Mariam Cutler)

見た時期:2002年8月、ファンタ

2002年 ファンタ参加作品

この手の映画には、いわゆる猟奇物と、まじめな物の2つ種類があります。例えばハーベイ・ミルクを暗殺した男の物語 Execution of Justice は、予算その他の点で規模の小さい作品ですが、まじめに作ってありました。暗殺の犯人を演じた主演俳優は、かなり事件を研究していたようです。

テッド・バンディ 全米史上最高の殺人者は予備知識なしに見ると B クラスの、連続殺人物に見えます。しかし犯人の使用する車、私生活の状況、犯行の手口など、事実にかなり近く作られています。映画を見るまで、ただの有名な連続殺人犯の1人だぐらいに思っていたのですが、ファンタに行くちょっと前にインターネットで見たら、なんと彼がこういう手口の連続殺人の元祖みたいな扱いで、その後の事件は常にバンディーと比較されているそうです。

バンディーを論じるのは新しく殺人犯のコーナーでも作ってからにして、こちらでは映画の方を扱います。主演のマイケル・ライリー・バークはリアルで、1度こんな役を引き受けてしまうと、後で困るのではないかとこちらが心配するような巧みさで、明るいサニー・ボーイと、セックスに狂った殺人鬼を演じています。明るい時の顔はトム・クルーズかと言うような人を引きつける笑顔。ちょっと年の上の女性、おばあさん、人の世話を好んでするような女性を一瞬に魅了してしまう表情です。役をよく研究しています。

事件が起きたのはまだ現在ほど警戒心を持った人が多くない70年代。映画を見ていると窓を開けっぱなしにしていたり、用心が悪いなと思うのですが、当時はそういう時代で、テッド・バンディーの事件の後、皆用心し始めたということです。そのあたりの世相もよく出ています。大金をかけず、特殊効果などは無し、派手なロケーション、カーチェースなども無しで、怖い話を語っています。

この映画を先に見てからアレックスを見たので、まだ見ていられましたが、これが反対の順序だったら、見ていられなかったと思います。テッド・バンディ 全米史上最高の殺人者が手加減しているわけではありません。女性にはかなりきついと思われるようなひどい扱い方をしているテッドの様子が出て来ます。それでも従来の映画では暴力シーンなどが手加減して描いてあるんだなと思わせるほどアレックスの方はきつい映画です。何か事件が起きるたびに映画の影響だと言ってシーンをカット、中止させてしまいますが、私にはまだ止めた方がいいのか描いた方がいいのか結論が出せません。手加減表現の映画を見て、痛くも痒くもない、遊びと変わらないんだと考えて実行してしまう人も出るでしょう。 だからといって毎回アレックスのような描写をされては困りますが。

テッド・バンディ 全米史上最高の殺人者中のバンディーの行動を見ていると、彼のやる暴力・殺人以上に、他人を誰一人本気で尊重していない様子が分かります。主演の演技に寄るところが大きいですが、怖さはそのあたりからにじみ出て来ます。そういう人が英雄になってしまうというところが怖いです。

この映画が軽々しい連続殺人犯の猟奇物で終わっていないところは、最後の部分に出ています。さすがのバンディーも死刑直前は蒼白。早く死にたいと言って死刑の日を待っていた最近の有名な死刑囚と違い、最後は怯えています。そして世間にはあまり知られていない死に至るまでのプロセスが描かれています。死刑反対積極的に訴えているわけではありませんが(彼を英雄扱いで生かしておいたら、犠牲になった人たちは浮ばれません)、デッド・マン・ウォーキンググリーン・マイル などと合わせて見ると、ちょっと考えさせられるような現実的な面が見えて来ます。

死刑反対のテーマの参考作品: 
  アラン・パーカーに物言いライフ・オブ・デビッド・ゲイル(内容紹介)

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