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2003 USA/D/Cz/UK 110 Min. 劇映画
出演者
Sean Connery
(Allan Quatermain -
ソロモン王の洞窟、
H・R・ハガード作)
Naseeruddin Shah
(ネモ艦長 -
海底二万里、
ジュール・ヴェルヌ作)
Peta Wilson
(Mina Harker -
吸血鬼ドラキュラ、
ブラム・ストーカー作)
Tony Curran
(Rodney Skinner -
透明人間、
H・G・ウェルズ作)
Shane West
(Tom Sawyer -
トム・ソーヤーの冒険、
マーク・トウェイン作)
Stuart Townsend
(Dorian Gray -
ドリアン・グレイの肖像、
オスカー・ワイルド作)
Jason Flemyng
(Henry Jekyll、Edward Hyde -
ジキル博士とハイド氏、
R・L・スティーブンソン作)
Richard Roxburgh (M)
見た時期:2003年9月
ブレード(1)とクレイジー・ワールド(2003ファンタ)のスティーヴン・ノリントン監督だったので、期待して行きましたが、見事期待を裏切られ胴体着陸。この手の作品を見られる物にするのは大変な仕事なのだろうと改めて思いました。似たような境遇で取り敢えずまとめ上げるのに成功したのはブライアン・シンガーのX−メンシリーズ。それほど感激しませんでしたが、ハリウッドからは気に入られ、興行成績も良かったとみえ、3作目が予定されています。しかしこれは例外でしょう。リドリー・スコットにサンダル映画を作らせてみたり、ハリウッドというのは時々とんでもないタイプの作品を合いそうもない監督に作らせる所です。。
リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦いが日本で成功するのかは見当もつきません。なにしろ私の目から見るとひどい出来なのです。まだ見ていないのですが、アラン・ムーアの原作があり、それと映画では多少筋がずれるのだそうです。
一体どんな話かと言うと、世界的に有名な話の主人公をかき集めてティームを編成し、そのメンバーが一丸になって悪と戦うというものです。オーシャンズ(このページは13)、スパイ大作戦、黄金の7人、ミニミニ大作戦など、各界のエキスパートを集めてプロジェクトを敢行する映画は多いですが、リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦いでユニークなのは時代、国、善人、多少問題ありの人物などを考慮せずに寄せ集めた点。 「世界的に有名な」というのはキャストの所を見て下さい。これはまあ、荒唐無稽でおもしろいかも知れません。見ていて腹が立ったのは、例えば海底二万里のネモ船長とノーティラス号の扱い。長年憧れていた海底の大冒険があんなへんてこりんな潜水艦に化けてしまうなんて、あれほどお金使ってセット作るなら、もう少し原作に似せる努力しても良いのに、K-19のセット借りてきた方が良かった、などと文句たらたら。ですから他の作品のファンもリーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦いの描写に違和感を抱くかも知れません。その上政治的なタッチが見え隠れし、現在の政治状況に合わせて筋を決めたのかというへんてこりんな雰囲気が漂います。ノリントンは仕事を貰う代わりに色々な条件が課されたのかと、ちょっと気の毒になりました。
具体的に言うと、1899年、ロンドン、当時としては信じられない武器で武装した集団が突如国立銀行を襲い、金目の物でなく、ある設計図を盗みます。この時は襲ったのはドイツだと信じられています。ところが今度はベルリンが襲われます。これが何か重大な意味を持つらしく、英国政府の MI6 のような部門が調査に乗り出して来ます。誰かが双方を喧嘩させようとたくらんでいるかも知れないのです。似たような筋はトータル・フィアーズにもありました。で、アフリカまで使者をやって嫌がるアラン・クォーターメイン(インディアナ・ジョーンズ)を引っ張り出して来ます。英国の諜報組織は世界大戦が起こることを恐れています。呼び出されたのはクォーターメインだけでなく、透明人間、吸血鬼など出演者のリストに載っている変なメンバー。このグループを仕切ろうというのがこれまた 007 で聞いたような名前の M。M の言う敵がファントムだそうで、確かフランスにそういう怪人がいたなあ・・・またフランスが貧乏籤を引いたのか・・・などと思ってしまいます。フランスはこういう揶揄には構わない主義なのか、柳に風。イタリアで重要な会議が計画されているのですが、妨害工作があるという情報があり、一行は取り敢えずそれを防ぎにイタリアへ向かいます。しかしあまり役には立たず、ベニスの町はかなり破壊されてしまいます。この撮影はどうやらセットだったらしく、本当の町は破壊されずに済んでいます。先日見たミニミニ大作戦(原題は「ザ・イタリアン・ジョブ」といいます)ではかなり乱暴な事をやったとみえ、その後ベニスでハリウッド映画は撮影できなくなってしまいました。この後呆れるようなずさんなプロットで、話はどんどんエスカレート、出演者が気の毒なような話の展開の後、ハッピーエンドです。
もうちょっと工夫すれば愉快な話にすることができたでしょう。リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦いは政治をところどころ交えてチクリ。しかし出資してくれるどこかの国や同盟国をばっさりやるわけにも行かず、批判しているのか擁護しているのか分からず、それなら却って政治は全部抜きにした方が良かったのではという気もします。各国の時代の様子は第1次と第2次世界大戦の折衷のようで、それならドイツは敵。しかしイギリスに喧嘩をしかけたように見えるが実はドイツもやられていたという設定で、両方巻き込まれて被害者。その上イタリアまで破壊されています。ベルヌのネモ艦長は全くインド人などではないのですが、インド風にしてあり、非凡な紳士の同盟に加わっています。その上裏切り者が内部から出ており、 一体誰を信用したら良いのか分からなくなってしまう、そもそも元から裏切っているのなら何のためにこれだけ大勢英雄を集めてきたのか分からなくなってしまうという混乱だらけの筋。やりたい事をやるのならなぜわざわざアフリカまで英雄を呼びに行って自分たちの仕事をやりにくくしたのか不思議に思えてしまうのです。
へんてこりんな脚本を貰ってしまっても、出演者の折り合いが良く、皆で割り切って楽しくやろうと決心すると、ザ・コアのような結果になり、観客は笑いながら満足して映画館から出て来ます。リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦いにもそういうチャンスがあったと思うのですが、どうも出演者がバラバラに見え、今一つティームワークも良くありません。ノリントンの2つの作品を見る限り、出演者をまとめる力のない人とは思えず、リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦いを見終わってただただ不思議に思っています。
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