映画のページ

007/慰めの報酬 /
Quantum of Solace /
James Bond 007 - Ein Quantum Trost

Marc Forster

2008 UK/USA 106 Min. 劇映画

出演者

Daniel Craig
(James Bond - 英国秘密諜報員、殺しのライセンスを持つ男)

Judi Dench
(M - ボンドの上司)

Jeffrey Wright
(Felix Leiter - CIA)

David Harbour (Gregg Beam - CIA部長)

Giancarlo Giannini
(Mathis - ボンドの協力者)

Jesper Christensen
(Mr. White - 大物テロリスト、クウァントゥムのメンバー)

Olga Kurylenko
(Camille - 謎のロシア人女性)

Glenn Foster
(Craig Mitchell - Mの直属の部下、クウァントゥムのメンバー)

Neil Jackson
(Edmund Slate - ミッチェルとハイチで接触していた男、クウァントゥムのメンバー)

Mathieu Amalric
(Dominic Greene - 環境関係団体グリーン・プラネットの長、クウァントゥムのメンバー)

Anatole Taubman
(Elvis - グリーンの腹心の部下、クウァントゥムのメンバー)

Joaqui'n Cosio
(Medrano - ボリビアの将軍)

Gemma Arterton
(Strawberry Fields - 英国大使館員)

Simon Kassianides
(Yusef - ヴェスパーの元ボーイフレンド、クウァントゥムのメンバー)

Stana Katic
(Corinne Veneau - カナダ人エージェント)

Rory Kinnear (Bill Tanner)

Tim Pigott-Smith (外務省の男)

Guillermo del Toro (声の出演)
Oona Chaplin (受付嬢)

見た時期:2008年11月

技術的な問題が生じてアップが遅れました。書いたのはドイツ公開の翌日です。

要注意: 全部ばれます!

見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

イギリスの公開は11月1週目となっていたのですが、変更になり10月末日。ドイツはたいてい木曜日が初日で、ボンドは11月6日でした。来週大きな映画館の懸賞に当たっており、その券を持ってボンドのホールに忍び込もうかと考えていたのですが、その前に別口でボンドに当たってしまい、忍び込む必要がなくなってしまいました。せっかくなので他の作品を入れる予定を変更して、今日はボンドで行きます。

★ ドイツ語圏から出た監督

マーク・フォースターというのは英米系の名前に聞こえますが、本人はドイツの南端の生まれ。作品数はまだ10本以下で、ボンドのお金はアメリカから出ています。比較的小規模の作品が多いですが、それなりに名の通った俳優を得て作っています。受賞には至っていませんが、オスカー他有名な賞にノミネートされた作品にも関わったことが何度かあります。

生まれは南ドイツの国境に近い町で、両親はドイツ、スイス人。育ちはスイス。作品はかなり厳選する性質で、後に仕事が他の監督に回って大ヒットした作品でも断わっています。その甲斐があってか、オスカーにノミネートされたりしています。

ですからボンド映画の監督を引き受けるというのはちょっとした驚きです。ストーリーもこれといった特色がありませんし、全体に007/カジノ・ロワイヤルより落ちます。ドイツの映画雑誌やフリー・ペーパーに「ある超有名な監督が一度もブロックバスター的な作品を作らなかったことを悔いているのを知って、自分はやってみようと思った」という監督の考え方が載っていました。1度経験を積むためにやろうと思い立ったらしいです。

★ ドイツ人の恋人がいたクレイグ

ダニエル・クレイグは 007/カジノ・ロワイヤルを引き受ける直前までドイツのスター、ハイケ・マカチと一緒に住んでいたという人で、今度の監督はドイツ語圏の人。今期の007シリーズはちょっとドイツ語圏に関わりがあります。

★ 時代に合わせ柔軟になるのか

007シリーズというのはエンターテイメント作品ではありますが、政治を全く抜きにしては考えられない作品で、これまで監督は大英帝国に関わりのある国から選ばれていました。今回初めてそれ以外の国からの選択です。それも第二次世界大戦の敗戦国に片足を突っ込んだ人なので、国策映画にしては意外な展開と言えます。

現代だけを見ても英国は政治上EUの中では異色な国で、大陸側の国々と馴染まない事が時々表にも出て来ます。自ら選んだ道で、独自路線を選ぶことが多いので、ドイツの車が使われたり、今回のようにドイツ語圏に関わりのある人物がキャストやスタッフに出て来るのはちょっとした変化です。

重要なレギュラー・メンバーの方ですが、原作には女性の秘書はいても、女性の上司というのはいませんでした。しかし英国の大女優ジュディー・デンチが新しく上司になっているのは皆さんご存知。彼女は以前のシリーズから続投しています。既に10年以上。実際の役所でも女性がかなり上まで行っているそうで、その辺は現実に合わせているようです。

ボンドに関わりの深い CIA のエージェント、フェリックス・レイターも以前の典型的アングロサクソン・タイプから巾を広げています。レイターの役はこれまで実に見事に新作ができるごとに俳優が変更になっています。しかし 007/慰めの報酬ではジェフリー・ライトが続投。私もこの役は1人に固定した方がいいように思います。

★ ボンド映画

これまでのボンド作品に比べおちゃらかトーンが無くなったのは事実。ショーン・コネリーの時代には《ボンドの世界》というのがわりときっちり定義されていて、その中で非現実的なシーンもあるというルールがあり、楽しく見ていられました。当時のボンド・ガールは今考えても魅力にあふれていました。音楽もわくわくする趣向。そして衣服、車、酒、備品など色々な商品が紹介され、それが映画公開後商業的な成功を収めるという新しい動きも出ました。1つの時代を作ったと思います。

その後のボンドは私の目には没落と映りました。何本か見ましたが、悪党がどんどん漫画的になって行く、主演にインパクトが無い、女性は徐々に中性的なトーンを深めて行く、見終わってストーリーが記憶できないなど私には劣化の一途とたどるように思えました。

コネリーの後長く主演を努めたロジャー・ムーアもサイモン・テンプラーが天賦の職で、ボンドで出て来ると違和感を抱いていました。ボンド役は英国の国益にも関わるので、本来英国を代表するような人を採用すべきでしょう。アメリカにはバットマンスーパーマン、スパイダーマンといった架空のスーパーヒーローがたくさん存在しますが、英国の架空のヒーローはボンドで、彼が一国を背負って立つ感があるからです。

ブロスナンも自分が選ばれた意味を理解していたようで、スキャンダルを起こさないようにして役職を務めていました。彼は非常にまじめな人だったようで、努力は私も高く買っています。ただ、ムーアと同じで、彼にもボンド以上に合いそうな役が他にあり、実際いくつか見たことがあります。

小説のボンドとのイメージがずれるという問題点もありますが、それはある程度目をつぶることができます。コネリーが選ばれた時候補に挙がっていたと言われているのがパトリック・マグーハン。私もあの時なぜマグーハンにしなかったのだろうと訝ったものですが、本人が役を避け、コネリーを推薦したそうです。

この決定が大きな岐路だったわけで、コネリーの大成功を見ると、それはそれでいいかという気になります。まあ、紆余曲折の結果現在はクレイグになったわけですが、「マグーハンがやっていれば多分こうなっていただろう」と思われるようなお遊びの少ない作品に仕上がっています。映画の元祖ジェームズ・ボンド Version 1 がコネリーだとするとマグーハンは Version 0 です。ジョージ・レーゼンビーが Version 2、ロジャー・ムーアが Version 3、ティモシー・ダルトンが Version 4、ピアース・ブロスナンが Version 5、そしてクレイグが Version 6 です(パロディー版を除く)。ダルトンはちょっと気の毒で、製作側としては原作に近づけようとし、作品としては成功したようなのですが、興行成績がふるわず長く続きませんでした。ようやく今世紀に入り、おちゃらか作品は止めようという方向になり、クレイグ・ボンドのような作品にシフトしたようです。

彼は外見はブロンドで青い目だったりして、これまでのボンドの伝統からかなり外れますが、キャラクターの描かれ方がシリアス路線で、観客離れは起きていません。私も外見がどうだからということは全然意識せず見ていられます。フェリックス・レイターもその点これまでの伝統は破っていながらストーリーに影響が無く、きちんとした脚本があれば観客はついて来るといういい例です。

★ 出来

これまでのボンド作品の中での評価は上の方です。コネリー・ボンドとクレイグ・ボンド以外は評価をする元気もありませんが、コネリー・ボンドはああいうタイプとして一まとまりに評価しています。クレイグ・ボンドはまだ2作で、実はクレイグは間もなくボンドを卒業するという話もあるので、ちょっと残念に思いますが、ボンド作品のみで比べると、かなりマジで見ていられるなあと、つまりは高い評価をしています。

2つのクレイグ・ボンドの中では、007/カジノ・ロワイヤルの方が「チェーンジ」の新鮮な驚きがあって高く評価しています。007/慰めの報酬007/カジノ・ロワイヤルの結末から始まります。

冒頭に見ごたえのある大アクションがあり、ここでは私も大いに盛り上がったのですが、その前のタイトルがお粗末、音楽に個性が無い、その後のアクション・シーンはちょっと現実味を欠くなど、テンションが後半に行くに連れ下がって行きます。タイトルと音楽はボンド映画の売りの中でも重要部分だったと思うので、ここに強力な物が出て来なかったのは意外です。冒頭のアクション・シーンはボンド映画の名に恥じず、また 007/カジノ・ロワイヤルとも互角の勝負をしていると思います。

そして最後は前回ご紹介した Transsiberianボーン・スプレマシーを足して2で割ったようになってしまい、オリジナリティーが減ってしまいます。と言うか、この作品はオリジナリティーにかなり陰りが見えます。007/カジノ・ロワイヤルには特殊な格闘技が使われ、そのシーンがかなり良かったため、「他と違う」という気持ちが強かったです。

★ 弱いストーリー

前回のボンド・ガールに最後裏切られ危ない目に遭ったボンドは心に傷を負ってしまいます。M に取っては扱いにくくなります。ボンドの行く所死体がぞろぞろ。こんな調子では上司の M にも責任がかかって来ます。

ボンドは冒頭激しいカーチェースを勝ち抜き、007/カジノ・ロワイヤルの白さんことミスター・ホワイトをイタリアに待機していた M と部下の所へしょっ引いて行きます。取調べが始まるのですが、白さんは「俺たちを甘く見るな、仲間はどこにでもいるんだ」とほざきます。その直後に実際 M の直属と思われていた部下がピストルをぶっ放し、再びチェース。白さんはまんまとトンズラ。

直属の部下は死んでしまうのですが、調査の結果ハイチが怪しいということになり、早速現地へ。調査中の行き違いから知り合ったロシア人女性カミラと関わりができます。お人形さんのように可愛い女性ですが、なにやらわけあり。彼女はボンドが追っていた緑氏こと、ミスター・グリーンと接触しています(パルプ・フィクションか!?)。同じ場所にボリビアのメドラノ将軍もいます。ボンドが観察しているとカミラが危険な目に遭いそう。

ここで観客にはカミラの家族が将軍に殺され、因縁があることが分かりますが、ボンドはまだそこまでは知らない。グリーン氏はこの時将軍と何やら取引の話をしています。どう見ても合法的な話には見えない怪しい2人ですが、グリーン氏が欲しがっているのは役にも立たないように見える土地。きっと鉱山とか地下資源があるんだろうとそこにいた人たちは勝手に予想しています。

2人がいる所に直接近づけないボンドはちょっと離れた所から観察していますが、カミラが危ないと思って実力行使。サンダーボール作戦顔負けの海上チェイスが始まります。カミラを離れ、1人でさらに調査を続けるボンドはオーストリーのオペラ公演にたどり着いてしまいます。上演中に離れた場所に座っている取引のパートナーが特殊な通信機で何やら怪しげな事を話し合っています。ボンドはそれを妨害し、雲の子を散らすように劇場を去る取引メンバーをばっちりカメラに収めます。

どう見ても怪しげな事が行われており、MI6 以上の巨大な組織があることが伺われるのですが、これまで1度も捜査線上に浮かんだことのない組織なので、M とボンド以外は半信半疑。

さらにボンドが行く所次々と死体が製造されるので M の立場は苦しくなって行きます。「妙な組織が動いている」と言ってはみても、まだしっかりした証拠があがっていません。その上下手をすると相手にしているのが国家元首にまで届く組織なのかもしれず、M 自身が孤立する危険も生じて来ます。苦しい決断を迫られ、M はボンドを一時停職にすることに決めます。クレジットカードとパスポートを無効にして、大使館から使いを送りますが、ボンドはすり抜けてしまいます。

よく考えてみるとこの時期のボンドは駆け出し。007/カジノ・ロワイヤルで初めて 00 の番号を貰い、失敗もしていました。事件を扱っている最中に恋人に裏切られたという時期からまださほど時間は経っていません。そのためかやる事が粗野で、人を簡単に殺してしまいます。

M との関係を見ていると母親と母親の手に負えなくなったきかん坊の息子と見えてしまい、あほらしくなってしまいました。007/カジノ・ロワイヤルは144分でしたが、退屈しませんでした。それに比べ106分の 007/慰めの報酬ですが、きかん坊に見えたあたりから私は退屈し始めています。

オーストリーを去ったボンドはカイロに行ったように偽装して実はイタリアへ行き、007/カジノ・ロワイヤルにも出ていたイタリアが誇る国際スター、ジャンカルロ・ジャンニーニに会いに行きます。彼は引退し、妻と静かに暮らしていますが、ボンドのために一肌脱ごうということになり、ボリビアについて来ます。

着いたとたんに M が手配していた大使館のエージェントが現われ帰国命令。フライトが翌日なので一晩時間があると言うわけで、まずはこのエージェントを陥落させます。私の目から見るとおよそ魅力の無い女性で、これは《目的のために手段を選ばないボンド》という面を強調したかったのかとかんぐったほどです。その一方でジャンニーニ演じるマティスに調査を依頼。彼は間もなく重要な情報を持って来ます。

なぜかここに現われたのがカミラ。2人で車を運転していると警察がついて来ます。停止を命じられ言われた通りにトランクを開けると瀕死のマティスが入っています。そこで警察とドンパチになり、マティスはボンドの腕の中で息絶えます。聞くも涙の友情物語かと思ったら、死んでしまったら《者》でなく《物》とばかりにドライになるボンド。

それぞれ別な理由で将軍を追うボンドとカミラは連れ立って飛行機を調達し、問題の土地を見に行きます。山岳地域で、これと言った産業も無く、農業すらできない土地。途中パトロールの軍のパイロットに見つかり今度は空中チェース。かろうじて逃げ切り、目的の場所にたどり着きます。そこで真相に気付きます。グリーンが狙っていたのは鉱山や石油ではなく、水の利権。土地の所有の他にボリビア政府から独占的に水の利権を貰うように画策していました。

せっかくそこまで突き止めて町に戻ったボンドを待っていたのは頭から湯気を出している M とゴールドフィンガーに出てきた女性そっくりの死に方をした大使館付きのエージェントの死体。金にまみれて死んだのではなく、石油で真っ黒。とは言うものの M は徐々にボンドの追っている捜査の線に確信を持つようになって来ています。

そのボンドの後を追っているのか、なぜかフェリックス・レイターもボリビアの町にいます。レイターからも重要情報を得たボンドはカミラと共に将軍を追って、砂漠のホテルに向かいます。今ではボンドもなぜカミラが将軍を追っているのかを知っています。

将軍はちょうどグリーン氏と最後の商取引の最中。グリーン氏の「利権をよこせ」という話に不機嫌になりますが、他に選択の余地が無く、しぶしぶ合意。ちょうどそこへやって来たボンドとカミラはそれぞれ目的の人物を見つけ、カミラは復讐成功、ボンドはグリーン氏捕獲に成功。すぐには殺さず、砂漠のど真ん中へ連れて行って、無罪放免。しかしそこに至る前にホテルを大火事にしてしまいます。

このホテル、水素で動くエコ・ホテル。そういう危険な物を貯蔵するにはもう少し大きな地下室を作るとか何とかすればいいようなものですが、なぜか簡単に爆発。砂漠のど真ん中ということは夜はとても寒いですが、昼間はかなり気温が高い。そんな場所に可燃性の高い物をこうも気軽に置くんですか。

カミラは目的を果たし、ボンドに別れを告げます。しかしこんな大きな組織を相手にこんな事をして、その後1人でやっていけるのか、ちょっと心配。

さて、ボンドはロシアへ。探し当てたのは外国の情報を得やすい女性をたらしこむことを専門にしている男。この男が 007/カジノ・ロワイヤルのヴェスパーを騙し、現在はカナダの情報局の女性をたらしこんでいる最中でした。彼もグリーン氏や白さんと同じ組織のメンバー。珍しくボンドはこの男を殺すのは止め、MI6 に手渡します。

M からはグリーン氏が砂漠のど真ん中で撃ち殺されていたと報告を受けます。観客はボンドが生きたままグリーン氏を砂漠に残したシーンしか見ていません。検死によると腹の中からは石油が見つかったとのこと。グリーン氏が砂漠でボンドからもらった置き土産は確か石油の缶詰だったような気が・・・。しかしそんなものを飲むんでしょうか。

★ 気が抜ける

最初のボンドが映画化された頃まだ若く、日本は《戦後》という時期を卒業し、オリンピックや万国博で元気づけられ、上向きの時代でした。当時の映画に描かれているようにアメリカが世界を支配するような傾向もありましたが、まだベトナム戦争は泥沼化しておらず、アメリカはそれほど積極的に自国の兵士を到着後即実戦という理由では外国へ送っていませんでした。

原作者のフレミングは実際に諜報関係の仕事に就いていた人で、終戦の頃引退し、40歳台で小説を書き始めています。諜報ではすでに映画エリザベスの頃から長けていた英国ですが、そんな事を知っている人は当時は僅か。私もおもしろおかしい冒険活劇だと思って見ていました。

フレミングが56歳という若さで他界した後40年以上経った今、日本でも英国や米国の世界で果たしていた役割が一般のメディアに載るようになり、フレミングが書いていた事も絵空事ばかりではなかったんだと分かるようになっています。ところがそういう話が伝わってしまうと、新作を見た時に「今更何を言っている」と思えて、ばかばかしくなってしまうのです。

コネリー版のボンド・シリーズが出ていた頃は、正義を裏で支える立派な機関が MI6 で、当時世界で羽振りの良かったアメリカお抱えの CIA とも協力。悪いのは世界制覇をたくらむスペクターだ、ソ連だ、ブロフェルド一味だということになっていました。ところが今世紀に入り、メディアがガンガン世界情勢を報じてしまい、鈍感な人でも、何か変だなあと感じるようになってしまいました。結局諜報などという事に手を染めていると、当初の目的が何であれ、ぐにゃっと曲がってしまうのだということだけは分かり始めています。ってな事情で、今更「自分たちは弱小の機関で、上には上がある、もっと邪悪な組織なのだ、上層部まで広がっている」などと言われても、「じゃ、君たちはどうなんだ」と突っ込みを入れられてしまうでしょう。弱小機関とも上の上の組織とも関わりの無い庶民は白けるのであります。

きちんとした説明のなされていない変な事件が各国でいくつも起きており、欧州でも未だに解明されていない国家元首暗殺事件や未遂事件が宿題として残っているありさま。そんな事を考えながらボンドを見ていると、クレイグの演技やトレーニングの努力には感心するものの、映画なんか作るより「早く説明してよ」と言いたくなってしまいます。

この後どこへいきますか?     次の記事へ     前の記事へ     目次     映画のリスト     映画以外の話題     暴走機関車映画の表紙     暴走機関車のホームページ