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201 Min. 劇映画
出演者
John Jarratt
(Mick Taylor - オーストラリアの荒野に住む男)
Shannon Ashlyn
(Katarina Schmidt - ドイツ人バックパッカー)
Philippe Klaus
(Rutger Enqvist - ドイツ人バックパッカー)
Ryan Corr
(Paul Hammersmith - ジープの英国人)
Shane Connor
(Gary Bulmer Jr. - ハイウェイ・パトロール)
Ben Gerrard
(ハイウェイ・パトロール)
Gerard Kennedy
(Jack - 老夫婦の夫)
Annie Byron
(Lil - 老夫婦の妻)
見た時期:2014年3月
★ 続編
2006年にファンタに参加したウルフクリーク 猟奇殺人谷が制作から9年を経て続編を出して来ました。監督と主演が続投。監督は第1作がデビュー。原題は地名。
ふれこみでは実話だそうです。別に実話だと断わらなくても、あんな広大な土地を警察が管理できるわけは無く、悪漢がやりたい事をやりたい放題やって見つからない可能性は大。こういう事件にしろ、別な事件にしろ、とんでもない事がばれずに起こり得ます。
第2作では毎年行方不明になる人の数、発見されない人の数(約1割)がテロップで出ます。きっと第1作ウルフクリーク 猟奇殺人谷にも出たのでしょう。
第1作と似て、バックパッカーが襲われ、生きている人は監禁され、逃げ出してもあたりは広大な砂漠という話のようです。
私は2006年のファンタでは首尾良くウルフクリーク 猟奇殺人谷を避けたのですが、春のファンタは一旦参加すると全部見なければならず、逃れる事はできません・・・。で見る羽目になったのですが、見たくなかったんです・・・(笑)。
春のファンタ1日目の1番最初の作品。出す順序は良かったです。この日の最初の2作は弱い感じで、そういうのを先に出すのは正解。
私は見終わって、プンプン怒っていたのですが、主催者の紹介ぶりからもそういう結果が行間ににじんでいたなあと思いました。
ストーリーは3つぐらいに分かれていて、冒頭の3分の1は、初めて見た人にも全体がどういう話か分かるように、典型的な犠牲者の作り方が紹介が行われます。1番最初の部分は2003年のファンタに出たコメディー、You can't stop the murdersへのオマージュっぽい展開。でも、嫌になるほどえぐいです。比較的短時間にそのシーンが終わり、そこからはドイツ人のバックパッカーが2人ひどい目に遭う話です。
そのドイツ人の描き方が間抜けスタイル。一方では英語圏の人からドイツ人はこいう風に思われているんだなあと思い、他方、こういうドイツ人は70年代、80年代にはたくさんいたなあと思い出し、その名残が現在の若いドイツ人にも残っているのかも知れないなあと思いながら見ていました。
ドイツ人自身はなぜか自分自身をドイツ人から切り離して見る事のできる人が多く、怒るわけではなく、笑っていました。主催者は観客に気でも使ったのか、「出演しているのはドイツ人ではない」と一言断わりを入れていました。
これが俳優かと思えるほど芝居が下手で、そこはドイツ人でも笑えます。主催者は「俳優がドイツ語で何を言っているのかは英語の字幕を見て察してくれ」と言っていました。
★ 本編
冒頭のオマージュ的なシーンと、ドイツ人がひどい目に遭うシーンは言わばイントロで、中盤が本編。英語圏の若者がジープでオーストラリアの人っ子一人いない道路を走っています。アメリカにもこういう場所があるようですが、オーストラリアの映画で、オーストラリアの現実の景色が延々出て来ます。都市への人口の密集度を考えると、あのようなほとんど人のいない場所がかなり大きいんだろうなあと思います。
ここまでに第1作の犯人ミック・テイラーに出くわすとどんな目に遭うかを2作目しか見ない人にもたっぷり紹介しておいて、本編へ。
ドイツ人カップルの女性が発狂寸前になりながらもかろうじて生き残り、たまたまジープで通りかかった英国人に助けられるのですが、ミック・テイラーは2人の乗ったジープをスピールバーグの激突の乗りで追い掛け回し、そのさなか彼女は銃弾に当たって死んでしまいます。かろうじて生き残った英国人ポールは、捕まり、監禁され、何とか逃げ出して、民家に救われても、その家が襲われ助けてくれた老夫婦は死んでしまい(老夫婦の演技は絶妙で、ミックの仲間かも知れないという不安を観客に抱かせます)、ミックの隠れ家に連れ戻され、指を切られ、変なゲームにつき合わされ等々、ポールと観客はミックの狂気につき合わされます。
★ 後半
心身共に消耗し切ったポールはドイツ人バックパッカー同様切り刻まれるか、他の犠牲者のように死体を放り出され腐敗しているのかと思ったら、ミックは突然「お前は敗者だ」と書かれた紙切れと共にポールを解放します。気を失っている間に下着姿で町に運ばれ、命は助かりますが、当局からは犯人扱いされ、本人は精神に異常を来たし、英国へ送還されます。
監督はポールが被害者というスタンスで映画を作っており、土地勘の無いポールが犯人と考えるのは無理があり、また、彼のような目に遭って気が狂うのも納得が行きますが、実話では一応彼は犯人扱いのようです。
映画の主人公ミック・テイラーはまだ生きているので、恐らくは続編が作られるでしょう。
★ 感想
私はこの種の作品は大嫌いで、評価はとても低いです。仮に実話だとしてもいい加減にしてくれという気持になります。
ただ、2つの怖さは出ており、ファンタ向きの映画だと言われれば納得せざるを得ません。1つはオーストラリアという土地の怖さ。ファンタのまとめの中にオープン・ウオーターの地上版と書きましたが、こんな広い場所で車が故障したら、ミック・テイラーに出くわさなくても怖いです。似たような土地はアメリカにもあり、北アフリカやアラビアでは当たり前。ただ、アフリカやアラビアでは砂漠に入る前から砂漠がどういう場所か承知している人が多いですが、アメリカやオーストラリアでは町を通り過ぎ暫く走っているうちに左右に家も森も何も無い所に来てしまうんでしょうね。その怖さは良く出ていました。バックパッカーをドイツ人と英国人にしたのは、もしかして地元の人はそういう事を承知しているからなのかも知れません。ドイツはどんなに走ってもこれほど人のいない所はありません。無論森の中に迷い込む危険はありますが。
もう1つの怖さは後付けなのですが、ミック・テイラーを演じている俳優。彼の別な写真を見ると、普通の中年のおっさん。善良にすら見える普通の人。その彼がミック・テイラー役になると物凄い怖さを出します。前の出演から10年弱経っているわけで、前の作品でどうだったのかは知りませんが、あの普通の顔で写っている写真と、映画の中のミックの違いには驚きます。オーストラリアの俳優は英国式の教育を受けている人もおり、大して名が知られていなくても演技力がしっかりした人がいます。そういう1人なのかもしれません。悪役とは言え、俳優としては名を残せるかなと思いました。ジェイソンとフレディーに続け!
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