頑張れオールド・シグナルジェネレータ(SG)・・・旧式信号発生器と出力混合について(Aug 5, 2006)
受信機、特にミキサの特性を見るために手持ちの旧式信号発生器(URM-25D/URRとTG-515C/日本通信機)が何とか使えないものか確認してみた。URM-25DはNov 12,1971に整備されたとするシールが貼ってある。TG-515Cは1966年製のVHFスイープジェネレータ。
この時代のSGは、出力レベルと上げていくと高調波はもとより、近傍のスプリアスが急に発生するポイントがある。そのレベルを-70dBm程度に維持すると、出力レベルは凡そ-20〜30dBmとなる。この信号源を混合して2信号源として使えないか試してみた。
写真はR-390A/URR等の軍用機のメンテナンス用として有名なSG-85/URM-25DとTV-Txの調整などで一世を風靡したTG-515C。
URM-25Dはオークションで格安でゲットしたものだが、3.5MHz受信の局発(IF=455KHz)に使っても殆ど周波数が動かないのでビックリする。しかし、スプリアスやハーモニックスは今流のSGには遠く及ばない。
後者は無線仲間の故落合氏(JA2CWU)が遺されたものをご家族から譲り受けたもの。さすがに40年も前の製造であることと、スイープジェネレータに重きを置いた造りである事もあって、周波数安定度は時代を感じさせる。ただステップ式のATTの精度はさすがである。
この両者を混合しIM3が-70dB程度になる出力を探る事にした。
(1)URM-25D & TG-515C with Resistance Mix Pad
URM-25DとTG-515Cの出力を18Ωx3本のY-Padによる抵抗ミキサで混合した信号をスペアナ(R4131A)で観測した様子。Y-Padは3個の各ポート間にアイソレーション特性が無いので互いに信号の出入りが出来てしまう。また3ポートが全て終端(負荷)状態でないと整合が崩れスペアナの表示レベルも変わる。Y-Padミキサはクリックすると拡大する。
(2)URM-25D & TG-515C with HYB Combiner
URM-25DとTG-515Cの出力を50Ωx3本のU-PadによるHYBで混合したもの。U-Pad自信は平衡回路であるので両入力ポートは1:1の伝送線路トランスでフロートさせ不平衡(BNC)に変換している。一方出力側はシングルエンドにして不平衡(BNC)にしている。
このHYBの効果はてきめんで、2つの入力ポート間にアイソレーションが得られ互いの終端状況に影響されない。したがってSGがSGの負荷になったりすることが無いので安定な動作が期待できる。ちなみにトランスはフロートバラン方式にして平衡-不平衡変換をしても良い。
前項のY-Pad方式では入力レベルを-30dBmとしているが、ここでは10dB高い-20dBmとしているので注意。1次信号の谷間に見える成分がY-Pad混合では見えないが、これは各SGの出力レベルを10dB上げた事による歪みと考えられる。U-Padミキサ(HYB)はクリックすると拡大する。
ちなみにHYBのアイソレーションは0.5〜50MHz間で-53〜-36dBと非常に良好(出力50Ω終端時の入力ポート間減衰)。
HYBのアイソレーションがどの程度のものか気になりデータを取ってみたのが左下のグラフ。手持ちのSGの関係で50MHzまでしか診ていないが、機会を捉えてもう少しハイフレの状況も測定する予定。
しかしこんなモノでも50MHz辺りまで全く問題なく使用できる。特に1MHz以下では無調整でも-50dBのアイソレーションが確保できている。更に追い込みたい場合はU-PAD部分の50Ωを可変抵抗にすれば良いが、今度は可変抵抗器のf特が出てきてハイフレの特性が劣化するかも知れない。
いずれにしてもこのような旧式SGでも動作環境を整える事によりIM3=-70dB程度の信号源を得ることが出来る。但し、出力は-20〜30dBmが限界であるので、外部に低歪みのNFアンプ等が必要である・・・そのとき果たしてこのIM3レベルを維持できるかは?。
Dレンジの高いDUTには?だが、Tx系のチェックには十分使えるものと思われる。但しこのスパンでは見えないが、高調波が有る事を忘れてはいけない。
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ハイレベル(パワー)AF-HYBの考察・・・動作原理など。
ハイレベル(パワー)AF-HYBの製作・・・スピーカー出力混合。
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