ハイレベル(パワー)AF-HYBの製作(Oct 7. 2008)
一つのスピーカーを2つの受信機出力で共用するHYBを製作する。受信機相互間の影響は最小限に抑えるためHYB構成とし、電源やアンプなどを使用しないでこれを実現する。
回路と製作
山水ST-67BをHYBトランスに見立てて構成した。山水STシリーズと言うとTr用の小型の物をイメージしてしまうが、ST-67Bは8Wの電力容量が有り、真空管ラジオの出力トランスをイメージさせる大きさである。取り付けもビス留めになっている。
ケースはタカチ製。コネクタは6mmΦフォーンJackとした。接続は全て不平衡としコールド(シールド)側は全て接続している。サイドトーン(側音)キャンセルVRは8Ωの固定抵抗(3W)とした。VRで調整するのがベターだが、使用環境で抵抗値が決定したら固定抵抗に置き替えると良い。
写真にフロント面と内部の様子を示した。ST-67Bの大きさが良く分かる。レタリングは半透明粘着シートにプリントアウトした文字列を貼り付けた。適正なレタリングは操作性を上げ不要な混乱を排除する。
所 見
無線システムの組み方によってはどうしてもGND回路を結合できない場合がある。その場合はAポートのトランス巻き線を平衡回路として取り出しフロートさせれば良い。
サイドトーン調整は各ポートに標準負荷抵抗を接続し、A⇔Bポート間での漏えいが最少になるようにR値を調整する。バランスが取れると劇的に漏れが減少し感激する。またA/BポートとCポート間のf特もフラットになる。ただ実際には純抵抗である場合は殆どなくリアクタンス分を含むので実負荷で再調整が必要になる。
回路を見て分かるように、Cポート(スピーカー)と同等にRが調整されると回路がバランスする。これはT1の「0-4と4-16」及び「RとAポート負荷」のブリッジ回路である。
この手法は非常に原始的でシンプルな作りであるが、実用的でありHYBの理解にも役立つと考えている。
手前味噌だがこのHYBは単身赴任先(福井市)でIC-756とKWM-2Aの受信出力を合成し、516F2内臓スピーカーを良好に鳴らしている。狭いスペースでシャックを構成する場合のツールとして有効である。
関連情報
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ハイレベル(パワー)AF-HYBの考察・・・動作原理など。
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