Kenwood TL-922へ50MHzバンド追加に挑戦(May 18, 2012〜)
はじめに
Kenwood製リニアアンプTL-922のHF機能を丸ごと撤去して50MHz専用に変身させる話は良く聞く。 ネット検索すると幾つかの改修事例にヒットする。
しかし、物持ちの良さをモットーとするオーナーは、せっかくあるHF機能を簡単にバラしてしまう気にならない。 と言うより、メーカーのオリジナリティは尊重されるべきとする考えを持っている。
それで、50MHz専用ではなく"HF+50MHz"に拘ったTL-922の改修に挑戦する。 この引き金になったのは、
FL-2100Z
や
FL-2100B
へロシア管GU-74BをGGで組み込み、併せて50MHz機能を追加し好結果を得たことにある。
左は改修したFL-2100Z/BとオリジナルのTL-922。下は+50MHz改修を行ったTL-922。
50MHz専用に至らしめてきた要因etc
@出力回路ストレー容量の増大
3-500Z固有の出力容量(4.7PFx2=9.4PF)以外に、プレートVC(150PF)の最少容量、タンクコイルのストレー容量、配線によるストレー容量…等がプレート同調容量として加算される。
現状で同調させようとすると、非常にHi-C(高容量)のプレート同調容量となる。
負荷同調容量はプレート負荷抵抗(数KΩ)から負荷抵抗(50Ω)への変換比率で決まるが、ストレーを含むプレート同調容量を減じることは難しく、現状ではタンクコイルのインダクタンスを減じるしか共振の手立てが無い。
これで仮に同調できてもHi-Cが招く低プレート負荷Zは、3-500Zの適正負荷には程遠い値となり、期待する効率が得られない。
そこで現状のタンク回路の中でプレート同調容量の低減手法を試み、プレート負荷Zを可能な限り上げる工夫をする。
一番ネックになるのがプレートVC。
ロータを抜き切っても最少容量が10数PF以上残ると思われる。
これを50MHz時のみプレートVCに直列Cを挿入し(真空リレー切替)、HFではスルーする。
さらに、プレートVCの回転角180度に50MHzバンドが程好く収まるように直列C値を設定する。
タンクコイルの50MHzタップは、プレートを適切なRで直接負荷し、出力側にSWRアナライザつないで、プレートVCとロードVCを調整しながら決める。
この時SWR=1に調整できれば、改修後の運用でその再現性がある。
A出力回路ストレーインダクタンスの増大
HFでは気にならなかったが、HFタンクコイルとバンドSWのショートバーにより経路がストレーインダクタンスになる。
この経路を極力短くしながら50MHzコイルへ導く必要がある。
FL-2100シリーズは、28MHzコイルが21MHz以下コイルの延長線上(真横)に置かれている。50MHzを考慮すると、28MHzコイルは最短でプレートVCへつなげ、バンドSWからの経路も最短にしたい。前述のFL-2100Bの改修事例では、28MHzコイルを垂直に取り付けてこの課題を解決している(バンド切替は真空リレー)。
TL-922の場合は元よりハイバンドコイルは垂直設置で、この目的に最適。
しかし物理的に経路長は存在するので、集中定数的な共振の他に分布定数的な共振があることを意識する。
B入力回路ストレー容量の増大
入力容量はGU-74Bの50PF比し圧倒的に少ない8.3PFx2=16.6PF。したがってフィラメントRFCの自己共振に注意すれば、非同調回路でも実現できる可能性がある。
手っ取り早く非同調でドライブした時のSWRを確認する。
必要があれば50MHz用整合回路を経由する。 いずれにせよ出力側の真空リレーに連動したリレーで入力回路をHFと切り替えれば良い。
場合によってはスルーかもしれないし、また場合によっては50MHz用π回路かもしれない。
どのような回路に落ち着くかは楽しみでもある。
C箸にも棒にも掛からないとき
その時は諦めオリジナルに戻す。
TL-922を覗くと
@結合C(高圧DCブロック)とタンクコイルをプレートVCから切り離せるか?・・・プレートVCステータに金属金具が固定され、その下方に結合CがVCステアタイトと共締め、タンクコイルは金具上方に固定されている。金属金具の形を変更すれば切り離し可能。
AプレートVCステータに真空リレー接点と直列Cを挿入出来るか?・・・プレートVCのローター側はアルミアングルで真下の筐体へ接地されている。このアングルをガイドに真空リレーと直列Cの組込みが可能。
Bタンクコイル巻き数は?・・・28MHzで3.6T。希望的にはインダクタンスは周波数比が50MHz/28MHz≒2なので、同調Cと同調Lは半分ずつになるのがベスト。しかし現実には同調Cを実測してみないと何とも言えない。
C見た感じのストレー・・・FL-2100Z等に比べゆったりとした作りを感じる。問題はバンドSWとタンクコイルのタップ等で構成される一群のストレーや自己共振。目的周波数以外にも同調周波数をもたらしそうな感じがしなくも無い。それは直列CによりプレートVCの可変範囲を極力抑える事で逃げる。以上写真参照。
出力バンド切替え方法
左はFL-2100Z改修コーナーで案内している出力タンク回路の50MHz切替え回路。 真空リレー(VRL)のメイク接点をコイル切替え、ブレイク接点をプレートVC同調Cのスルーに使用している。
コイルはホット側からショートするため、やや気が引けるとする向きもあるかも知れない。それに前後にショートリングを構える造りにも・・・。下はTL-922用に書き替えたもの。
出力タンク回路の最大共振周波数
現状で何処まで同調周波数を上げられるか確認する。プレート負荷抵抗に2.2KΩ(手持ちの関係で)、ロードVCにSWRアナライザBR-510D(50Ω)をつなぎ、28MHzバンドでプレートVCとロードVCを調整してSWR=1に同調させる。
次にプレートVCを一杯抜き、アナライザ周波数を上昇させ、ロードVCを可変させながら同調点を探す。その結果、
31.5MHz辺りまで同調
する事が判明。
この状態からタンクコイル(28MHz=3.5T)をプレート側から1Tずつショートさせ、ロードVCとアナライザ周波数を調整し最大周波数の同調点を探す。ショートには3〜4mmのビスを使うと良い。その結果
1Tショートで39MHz、2Tショートで45.6MHzを確認
(写真左・下)できた。
これは50MHzで実績のあるFL-2100Zより大分良好な値。プレートVCが直列Cにより減じられれば、適正プレート負荷抵抗内で容易に50MHzの同調を得られるものと思われる。
プレートVCの切り離しが容易ならば直ぐにでも50MHzで確認ができるのだが、ビスやナットの上から半田を流すなど構造的課題があり苦慮している。(2012.06.03)
入力回路はどうする
TL-922の入力回路はπ型で低Qだが共振に依存している。
50MHzもその考えに基づくと、入力側にもバンド切替え機能が必要になる。
手抜ではなく、もっとシンプルな方法を考えるとLPFの力を借りたい。
50MHzと28MHzを同一のバンドと見立て、例えば60MHzカットオフのLFPで受けて3-500Zを駆動する。
作業としては現在の回路をLPFに置き換えるだけ。
左はSVCfiltで算出したLPFの定数。
3-500Zx2で入力容量は16.6PF。
これにバンドSWから3-500Zまでの同軸ケーブル(約20cm・・・ここでは同軸Zなど考えずCのみに注目)の容量20PF、そして既に3-500Z側に装荷されている22PF。さらにALC用RFピックアップ47PFと15PFのシリーズ11.3PF。
これらを合算すると69.9PF。
この値を5素子LFPの出力側C5に置き換えるが、装荷分の22PFを14PF程度に置き換えると約56PFとストレーC。
まぁ何とか行けるかも・・・3-500Zx2側は60Ω前後の見込み。
LPFは多段にした方がエキサイタ側から見たSWR低減が図られる。(2012.06.04)
ところで実際の入力π回路定数は
ところで、ネットで拾ってきた回路図を見ると28MHz入力π回路の入力Cは150PFとなっていた。出力Cは22PF+ストレー。
ところが、国内で購入したTL-922の回路図を見ると、入力Cは28MHzが100PF、150PFは21MHzだった。これは現物と一致していた。
メーカーさんの輸出仕様も複数存在するので気を付けたい。左は国内販売されたTL-922の入力π回路の定数。
数字から分かるように負荷Q(=1/ωCZ)を計算すると、0.8〜1.6と非常に低い。
ところで表の数字に疑問を持たれる向きも多いのでは。即ち7と3.5のCinが周波数に連動していない。3.5より7の方が容量が多いとはどう言う事か・・・。答えをお持ちの方のご教示をお願いしたい。
(2012.06.10)
これまでをオリジナル回路へ追記する
回路図をクリックすると拡大表示されます。回路図は国内向けTL-922(J)の取扱説明書をコピーさせて頂きました。
上:最終バージョン…入力回路の28MHz(π)/50MHz(60MHzLPF)をリレーで切替
中:中期バージョン…入力回路の28MHz(π)回路へリレーでC&L装荷
下:初期バージョン…入力回路を60MHzLPFのみに依存。(2012.06.13〜2012.09.8))
7エレメントLPFでSWRを見る
7エレメント・チェビシェフでLPFを組みSWRを確かめる。測定はBR-510/SWRアナライザ、同軸長約2.3m、負荷51Ω金属皮膜抵抗。周波数は書ききれないので20MHz以下はグラフからカットした。
HF〜60MHzの間でSWRのピークは18.5MHz付近にあってSWR=1.29程度であった。また60MHzを超えると一気に悪化する。61MHzでSWR=1.15、65MHzでSWR=2、70MHzでSWR=6overとなる。
グラフでは42〜43MHz辺りにもピークがあるがこれはSWR=1.1程度。目的とする周波数は28MHzバンドポジションで24MHz(WARC)・28MHz・50MHzであるが、いずれも良好なSWRを示している。24MHzバンドを含みオリジナルのπ回路より良好かも知れない。
ひょっとしたら入力π回路は全撤去できるかもと考えたくなる。ただこれが3-500Zx2のGGにどうマッチするか・・・早くつなげてみたい。
試みに
ロードを51Ωx2パラ(25.5Ω)にすると、50MHzでSWR=1.8、28MHzでSWR=1.6。51Ωへ47PFをパラにすると、50MHzでSWR=2、28MHzでSWR=1.12
となった。印象としては負荷変動に対して以外と余裕がある雰囲気だ。
こうなると早く組み込んでドライブしてみたくなるのが人情・・・さてどうする。
写真は平ラグに組んだLPF。Lは6mm棒へ1mm錫メッキ線7Tスペース巻き(0.183μH)、Cは56PF、GNDは銅シール処理、抵抗は51Ω。(2012.06.26)
実装はどうするか
TL-922の28MHz入力π回路のLは実測すると0.17μH程度ある。コア入りなので0.18μHへの調整が可能と思われる。したがってこれは実験したチェビチェフLPFに使える。このコイルにバンドSW(入力側)から配線されるリード線を切り離しそこへ別の0.18μHを挿入する。Cは56PF及び56Px2を適宜配線する。取りあえず5エレメントで組込み様子を見る。(2012.06.27) 写真は久し振りに取り出して電源を入れたTL-922。実は壊れていて復活されるサイドストーリーが出来てしまった。
3-500Zの状況を観察するために上蓋を外し、インターロックSWトップにビスを捻じ込み、半田の重みでSWオンにしている。次項参照。
いよいよTL-922を取り出す・・・ところが
TL-922へ
7年振りに電源投入
。パイロットランプが灯りフィラメントが輝いた後10数秒で音も無く電源が落ちた。AC200Vラインの15Aヒューズ2個の内1個が断。交換して再トライするが、どうも不規則なフラッシかGKタッチが発生している模様。スタンバイ状態なのに時々ピンクのフラッシュとIpスケールアウト。騙し騙し動かし(フラッシュの頭で電源オフを繰り返す)、何とか使える状態に持ち込んだ。しかし、RFドライブを上げている最中に強烈なフラッシュ。高圧リターン回路の部品が破損(IpメータシャントR・バイアス用ツェナーD)。何とか手持ち部品で復旧させ、球もAmpelexに変更、ようやくRFチェックが出来る環境になった。本当に「TL-922は手が掛かる」。 さて、当初の構想では入力LPFは一つにまとめて入力バンドSWで切替る予定だった。ところが5エレメントLPFで試すと、無視していた同軸の分布定数が災い(単純なCにあらず)し、50MHzでSWR=2overと暴れる。エキサイタATUのチューニング範囲を超えるため、十分な駆動が出来ずここで一工夫。 LPFを入力バンドSW切替えと、3-500Z入力の2ケ所に分割。前者はオリジナルの28MHzコイルが約0.17μHあり流用、Cは設計値56PFとした。後者は同軸端のスタンドオフ碍子を利用し3-500Z駆動C(0.01μF)の間へ挿入。LPFの入力Cは56PF、出力Cは3-500Z入力容量とその他ストレーC。これにより28/24MHzはもとより改善、50MHzでSWR=1.5程度を無調整で得た。回路図は修正済み。 そこで28MHzタンクコイルを2Tショート、プレートVCを抜き切ると何とか50MHzに共振。当然適正負荷Zではないが、この状態で
200W超を出力
している。 プレート同調容量を減じ(プレートVCへ直列C挿入)適正負荷抵抗範囲で同調できれば、容易に500W超を得られると思われる。(2012.07.01)
入力LPFの仮設状況
左・・・入力LPF。左下コイルが28MHz用。この前後に56PFマイカを仮設。左下の101(100PF)シルバードマイカは28MHzオリジナルだが、ホット側を外してある。
右・・・3-500Z駆動LPF。同軸エンドのスタンドオフ碍子から駆動C(0.01μFセラミック)を外し、その間にLPF用Lを挿入。Cは同軸側に56PFマイカを追加、3-500Z側は球の入力容量やストレーで対応。オリジナルの22PFセラミックはホット側を外してある。
50MHzで・・・3-500Z側でCの追加が必要かと思っていたが、現状から予定の10〜15PFを追加するとSWRが悪化する。また同軸側にオリジナルの22PFを追加するとSWRが若干改善する。この状態で70W程度でドライブするとSWR=1.4、出力は230W程度。プレート負荷Zがかなり低いので効率が上がらずグラファイトのプレートは真っ赤になる。これまでの動作はほぼ予想通り。早くプレートストレーCを減じ、プレート負荷Zを高い値でテストしてみたい。(2012.07.04)
プレートVCに直列Cを仮接続・・・出力600W超
プレートVCへつながるDCブロッキングコンとタンクコイルの接続金具を折り曲げてVCから外し、そこへ直列容量15PF(5PF/3KVセラミックx3パラ)を挿入。SWRアナライザで50.1MHzでSWR=1になる様にタンクコイルのタップを決める。何しろKenwoodさん、ビスに半田を流してあり容易に外せないため苦肉の策。
これで70W程度でドライブ(入力SWR=1.5)すると容易に出力600Wが得られた。パワー計は上記も含め古びたDAIWAのCN-720Bなので精度は?。
プレート同調容量が減少し、負荷Zが1.5倍程度上がったと思われ3-500Zの適正負荷Zに近づいた模様。
直列Cを更に減じれば負荷Zは上げられるが、チューニング範囲が狭くなる。現状のプレート同調範囲は2MHz程度あった。
なお15PFセラミックの特性なのか、ショートビス接触部の発熱なのか若干温度特性がある。ショートビスは色が変わるほど発熱している。接触面積が少ないので当然で、発熱と言うよりは焼けていると言うべき。
またロードVCはHFハイバンド容量をそのまま使っているので、操作がややクリチカルだ。
ところでドライブ電力はエキサイタのメータに依存してきたが、Bird43で読むと70W、出力は650Wに達していた。(2012.07.06)
その他の不具合(備忘録)
これまでに発生しているその他の不具合を忘れないために記す。
@出力側とGND間に入っているC45(47PF/3.15KV)
出力を上げている最中に焼損・・・このC45は回路図中ではDC漏洩保護チョークL18(1mH)に並列につながっているが、実際はタンクコイルL5の出力側から最寄GND。
当初はRL1による線路Zの暴れの補償Cかと思っていた(それ以外に考えられない)が、この位置だと完全に出力ローディングVCの補助C。VHF的に見ると出力側の配線はイマイチ理解に苦しむ部分がある。
C45が何らかの共振要素に組み込まれてしまったものと推測している。そして想定外の電流が流れ焼損に至ったものと思われる。現在C45は撤去している。
Aプレート同調Cの焼損
これは手持ちの関係で止むを得ない話。5PF/3KVと3PF/3KVのセラミックが多数あったので、これらをパラって15PFを構成しテストしていた。ところが出力の上昇に伴い、景気良く閃光を放ち焼損。
現在は、暫定的に100PF/7.5KV(TDK)を挿入している。100PFではいかんせん大き過ぎ。プレート負荷Zを下げる初期の目標を果たせず、20PF程度のモノを発注する予定。(2012.07.07)
VRL(真空リレー)を組み込む
VRLはお馴染みKilovac/HC-1を使う。これをプレートVCのロータを接地しているアルミアングル(20mmx20mm)に丸穴を開けて固定する。
アングルは取り外さないと作業が出来ないので、VC背面のビス3本と接地部のセルフタップビス1本を緩める。
VRLの外周がアングルの上面に揃う位置が配線に最も適している。VRLはフランジで固定すると配線長が長くなるため、VRLのネジ径サイズのスリーブをアルミ板で作りフランジ部を浮かせる。
配線は2芯シールド線で行う。シールドはアングルのVC固定ビスでラグ板で共締め。配線ルートはタンク回路ステージの横溝経由でシャシ前面へ引き込み、DC100Vリレー電源回路の配線用端子台の空き端子へ半田付け。
一方28MHzバンド情報は、バンドSWシャフトカップリングの締め付けビスでマイクロSWが動作する細工で得る。VRLは26V/330Ωなので、100V電源をR(約1KΩ)経由で供給し、外部SWで50MHz/28MHz切替えを行う。外部SWは自照式で50MHz時に点灯する(回路図修正)。
写真上はVRLをプレート背面に取り付け制御側の配線と、暫定直列C(100PF/7.5KV)を取り付けた様子。まだタンクコイルのタップは配線していない。これは再びSWRアナライザを使ってタップ位置を探す予定。
右は取り外したプレートVCアングルにVRL用穴(15mmφ)を開けた様子とKilovcのHC-1。
なおこれらの作業で側板のダイキャストを外したついでにシャシ上を洗浄した。購入から既に四半世紀経過しており、エアの吸入口になるロードVCの背面には相当量の埃が付着していた。
また下記COFFEE BREAK2に記したように、出力タンク回路から3-500ZシャシへのRFリターンルートの強化を行った。(2012.07.08)
VRL経由でタンクコイルのタップ出し
VRLの組み込みに伴いタンクコイルの50MHzタップ位置を探った。現在はプレートVC直列Cが100PFなので暫定である。
写真は約50MHzに同調させたタンク回路の様子。プレート負荷抵抗は2.2KΩ、SWR=1。
VRLによるタンクコイルのショート回路の線材は、タンクコイル程に太くは出来ず相応のインダクタンスがある。したがってショート回路と言うよりはショートインダクタンスと呼ぶべきであろう。
これを機に回路図のショート経路にコイルを追記した。
現状ではプレートVCを一杯に入れると約42MHzまで同調点が下がる。写真では抜ききれていないので、一杯に抜くとプレートVC+100PFによる可変周波数範囲は10数MHzあると思われる。理想は後述の+20PFで6MHz・・・20PFではチョッと不足かも知れないが。
プレートVC直列Cの100PF(暫定)は余りにも大きいので、本日困ったときのFAL頼みでファインアンテナ研究所のN氏にお願いして20PF/7.5KV(NPO)を送って貰う事にした。
このCの到着を待ってタップを固定する予定だ。(2012.07.09)
プレートVC直列容量20PFでの同調範囲を確認
プレートVC直列容量を20PFに変更し、昨日のタンクコイルタップ&リード線でプレートVCの同調範囲を確認する。
暫定的に取り付けていた100PF/7.5KVを調査用の20PF/500Vシルバードマイカに交換。
プレート負荷は2.2KΩ、アンテナアナライザ周波数を可変してSWR=1の同調範囲を確認すると49.5〜57.5MHzと8MHz幅の範囲にあった。
これって中々の数字。タンクコイルタップをややプレート側へ移動すれば48〜56MHz辺りに納められそうだ。負荷の状態変化もあるのでこの程度の余裕がベターかも知れない。 さぁ、明日には20PF/7.5KVが到着するだろうから楽しみだ。(2012.07.10)
プレートVC直列C組み込み
昨日7月11日、FALより20PF/7.5KV/NPOが届いた。諸般の事情で組み込みは本日夜になった。
届いたドアノブコンは国産の村田製作所製だった。両端に卵ラグをビス締め、プレート側はラグ同士の半田付け、コールド側は2mmスズメッキ線を利用した。
プレートに2.2KΩを負荷しSWRアナライザでコイルの適正タップ位置を求めた。
20PFだと可変範囲が8MHz程取れるが、可変範囲を狭め回路をLow-C/Hi-Lにしたい願望がもたげてくる。
例えば15PFにすれば可変範囲は狭まるが、タンク回路はよりLow-C/Hi-L方向に向かうため効率が得やすい。
タップはVRLより2mmのスズメッキ線でリード。ほぼポイントが決まったのでリン青銅板でタンクコイルへタップを儲け、VRLへもリン青銅板で結ぶ予定。
ちなみに上蓋を閉じると同調周波数が約2MHz低下する。これも考慮してタップ位置を決めている。
なおVRL電源は、DC100Vからの給電を行うと電力ロスが6W程度になるので、パイロットランプ巻線と追加巻線を利用して26V電源を構成する予定(回路図修正済み)。(2012.07.12)
ところでプレートVCの実装容量はいかほど
プレートVCの直列容量Cがビス締めになったので、これを外してプレートVCの実装時の容量を測定してみた。
オリジナルは出力側にRFCがGND間に入っているためLCメータでは測定できなかったが、今回の改修でVCが回路から切り離され測定が容易になった。
その結果、
最小容量=31.5PF、最大容量=164PF
だった。
これは思いのほか大きい値だ。この最小容量に3-500Zx2の出力容量(4.7PFx2=9.4PF)が加算されると、出力容量は41PFにも達する(タンクコイル等のストレー容量もある・・・)。これを直列容量の挿入で1/2〜1/3に減じることで相応の効果が期待できる。
VC単体は150PFなので実装により14PF増加していることになる。したがって最小容量は17.5PF程度と思われる。(2012.07.13)
タンクコイルタップ・リード最終とVRL電源
左はVRLとコイルタップ・リードの最終形態。リードはリン青銅板一枚でタップからVRLまでを結んでいる。タップ側はコイル母材へ巻き付け2.6mmのビス・ナットで締め付けている。
右はVRL28V電源を追加した様子。パイロットランプ用電源のAC8V巻線へ5Tのエキストラワインドで得られた2.5Vを直列合成、10.5Vを得て半波倍電圧整流し約28Vを得ている。配線は低圧トランス周辺の空きラグを使用した。VRL電圧は26Vであるが、外部制御箱内のLED点灯用に2Vを見ている。追加部品は、エキストラワインド用耐熱電線、ケミコン2個、シリコンダイオード2個。
50MHz切替え
左上は28MHzバンド情報を得るためのマイクロSWと配線状況。VRL巻線コールド側はこのSW経由で外部へMini-Jack経由で引き出され外部制御箱により50MHz制御を行う。リード線の処理に銅シールを使っているがアルミシールの方が美しくベターだろう。
右上はTL-922のバンドSWと外部制御箱の様子。28MHzバンドの時のみ50MHzへ移動できる。前述のマイクロSWが機能し、他のHFバンドポジションからは絶対に移動できないロジックになっている。この制御箱は
FL-2100Z改修
で使用してたモノ。
右はTL-922背面。ファン・受電電圧設定箱は取り外している。薄緑色のMini-Plugが50MHz制御端子。元々GND端子ネジが有った場所だがMini-Jackに変更している。GND端子は背面の他のビスを利用する・・・大型のビスは必要ない。なお、オリジナルの黒アルミパンチ板は撤去され、変わりにダイアプレスネットが外側から張られている。<2011.07.15)
可笑しいぞ!・・・出力タンクコイルとバンドSW
650W程度の出力でチューニング動作やバンド切替を楽しんでいたところ妙な現象に遭遇。突然50MHzの同調が出来なくなり出力が激減した。
可笑しいとHFの動作を確認すると28MHzと21MHzも同様でNG、14MHz以下はOKだった。実際にドライブすると14MHzまでは1KW超を容易に出力するが21MHz以上は全くダメ。念のためロードVC側へSWRアナライザをつなぎ、プレートに2.2KΩダミー抵抗を取り付けて同調操作を試みるが、こちらもまったくダメ。神頼みでGDMをタンクコイルに近づけ周波数を加減するが辺りにはディップ点が見当たらない。
それではとロードVCとプレートVC間にLCメーターをつなぎ、バンド毎のインダクタンスを測定する。するとどうだろう、1.9MHzで約20.8μHを示し、3.5MHz:9.6μH、7MHz:4.7μH、14MHz:2.2μHと、倍の周波数変化に対し、インダクタンスは綺麗にほぼ半減して行く。当然の話だ。しかし、21MHz・28MHzではそうならず、両者共に写真の如く7.5μH程度を示した。
なーんてこったぁ!。これは明らかにバンドSWの接触不良と思われるが、目視しただけでは確認が出来ない。またバンドSWとコイルは電線でリードされているのでテスターの抵抗レンジでは容易に確認できない。困ったものだが、やはりバンドSWだろうか・・・。 現段階で気になる点・・・
@50MHzでタンクコイルの出力側とバンドSWを結ぶスズメッキ線が高温になる・・・バンドSWに影響か?
AそのバンドSW側とGND側に挿入されたC45/47PFの焼損・・・このCの目的は?ロードVC補償?同軸補償?
Bやたらと長いタンクコイルロード側の配線引き回し・・・随所にストレーインダクタ
C出力同軸はタンクコイル端とロードVCを結ぶスズメッキ線の途中から取っている・・・VHF的には辛い
DハイバンドロードVCセクションはタンクコイル端より遠いセクションを使っている・・・普通は逆
E回路図と現物を比較すると部品の取り付け位置が異なる(保護RFC、C45、出力同軸取り出し点・・・上述)
FPS抵抗が焦げる・・・ひょっとしたら基本波で、PSコイルが大きすぎる?
・・・などなど見ていて不可解な作りや現象が目に付いている・・・しかしますます面白い。
写真はLCメータを突っ込んで出力タンクコイルのインダクタンスを測定している様子。
現在のバンドSWはローターのステアタイトが割れてしまったものを
紐で縛って補強
したもの。何れは交換を考えていたので潮時かもしれない。交換する場合はオリジナルより大型の
Multi-Tech Industries社
のモノを使う予定。(2012.17.19)
ついに出力バンドSW交換
出力側のバンドSWをMulti-Tech Industries社の"Model 80 Switch P/N R802G1130003"に交換した。支援中のJA1IIV窪寺氏頒布のSWでも良かったが、ロード側配線の温度上昇が気になり質量のあるこのSWを使用した。これは友人の
N6WK/Gorodn
の勧めで昨年彼が購入し送ってくれたもの。
発熱があった部分はリン青銅板に変更し、質量と表面積の増加で不要な発熱から逃げている。効果はてきめんで、この部分の発熱は解消された。元のSWは発熱によりコモン接点のバネ圧が殆ど無くなり、接触不良を起こしていたと思われる。写真下はその接点部のクローズアップ。ヘタっている感じが分かるだろうか。ちなみにコモン接点を交換すればこのSWは復活する・・・ただローターステアタイトが割れ紐で縛っているシロモノ。(2012.07.21)
安定動作継続中
安定とは50MHzの出力電力のこと。翌日と翌々日、恐る恐る電源を入れエキサイタから駆動すると何も触らなくても700W程度を出力した。ドライブは70W位だろうか。10dB程度の電力利得だ。 実はプレート直列コンデンサの温特で同調周波数がずれるのかと思ったが、同調の取り直しは必要なかった。
それから気が付くとPS抵抗が焦げる匂いがしなくなった。ひょっとしたら燃え尽きてしまったのか。これがV/UHF帯の寄生発振によるものか、単純に基本波によるものなのか調査する必要がある。
TL-922のPSコイルのインダクタンスは結構大きい感じがする。単純に50MHzの通過で発生したRFが抵抗で消費されているような気もしなくはない。何しろ700Wだから・・・。
ところで記述が大分遅れたが、Ipメータの振れが可笑しい。フラッシュした時に幾度も振り切れているので壊れたか?。1/3程度しか振れていない。Ipシャント抵抗は1Ωなのでテスターで様子を見ることにする。
写真は作業中に割れ交換したフィラメントCHのホット側に挿入されたメガネコア。材質は#43材。これが50MHzでのインダクタンス確保に一役かっているかも。フィラメントCHは何処に直列共振が有るかわからないのでそれなりの効果ありか。やや闇雲の感ありなので要調査だ。ドライブCの配置は入力SWR改善のためにオリジナルから変更・追加している。(2012.07.23)
プレートVC直列コン・VRLのリードを改善
プレート直列CとVRLのリードをリン青銅板に変更。
VRLコモン〜DCブロックコン〜からプレートVC直列コンを結ぶラインを1枚のリン青銅板に変更。
またプレートVC〜プレートVC直列コンもリン青銅板へ変更。
やや窮屈そうに見えるが安定感が増した雰囲気だ。
PS抵抗が焦げ尽きてしまった。もう少しPSコイルのインダクタンスを減らして挑戦する予定。
ちなみに0.5Ω/5Wのセメント抵抗に取り替えると意外とまともに動作する。ちなみにL分は0.1μHオーダーだった。
なにぶんにも抵抗のリード線が細いのでロスが多く、前述と同じ条件で出力は700W弱だった。
この様な作業をしていると、何となく3-500Zアンプの概念が分かって来て面白い。まさに戯れている感じだ。
この後、PSを
QRO Tecnologies
のタイプに変更する予定。以前から気になっていたが、TL-922のPSはやたらとLが重く、Rが軽いと思うが如何だろうか。(2012.07.26)
TL-922の固有共振周波数とPS対策
50MHz動作を試しているうちにPS抵抗を焼損し。最初は焦げ臭く感じたが、どうも臭覚が悪く直ぐ慣れてしまうようだ。カミサンが後方で騒いでいるのに殆んど気がつかない状況だ。写真左はその「RF調理」されたPS抵抗(47Ωx2)、そしてコイル。DCや商用ACによる焼損と違い「調理」と言う言葉が似合う。実に巧妙に焼け、ボロボロで一部は灰になっている。PSコイルは実測すると0.084μH。これをTL-922へ戻しGDM(DELICA DMC-470S)でプレート回路の固有共振周波数を診ているのが写真下。90MHz、155MHz、276MHz付近に強烈なディップ(他に多数の中小ディップ)がある(プレート・ロードVCは50MHz同調)。155MHz付近は特に強烈で、GDMの発振を止めてしまう程だ。実はこの周波数、50MHzバンドの約3倍でどうみてもトリプラになる。またPSコイルを1Tショートすると共振周波数が8MHz上がる。しかしバンドSWでは殆んど変化しない。このことから、PSコイルを減じ共振周波数を50MHzx3倍から外したPSを組み込む。28MHzなら凡そ6倍に相当するからオリジナルの造りにも疑問。RFドライブまたは送信制御(カットオフバイアス解除)をトリガにこの周波数帯で発振を誘発しても可笑しくない。(2012.08.28)
50MHzバンドに対応したPS
50MHzバンド500W超運用でもPS効果が期待でき焼損しないPSを組み込む。
前項の調査のごとく・・・
@50MHzバンドの整数倍にならない固有共振周波数
AHF動作に影響を及ぼさない
を意識して製作・実装したのが左の写真。0.3mm厚10mm幅リン青銅板を1T巻きにしたコイルに100Ω/3W酸化金属皮膜抵抗を3パラ接続している。
PS抵抗は100Ω/3=33Ω/9Wとなるが、600W程度で送信すると燃え出さないまでも相応な発熱がある。
コイルのインダクタンスは約0.04μH。このコイルにすることにより固有共振は180MHz台へ逃げることが出来た。
なおこの作業で、プレートVCの位置がVCを入れる方向にずれた。現在プレートVC直列コンを10PF/7.5KVとしているが、15PF程度が望ましい方向だ。 写真下はPSとVRL周辺の様子。(2012.07.28)
50MHz/600Wで30分のCW連続キーイングテスト
作業も佳境になってきた。COFFEE BREAK5に記した様に、Ipメーターの振れ僅かで可笑しく、その対策で回り道をするハメになった。予期せぬ時間を復旧にとられてしまった。結局メーター本体が不良で、内部抵抗が18.2Ωまで低下していた。これ以上のことはメーターを分解しなきゃ分からない。そこまで時間は割けないので倍率器1.5KΩを33Ωへ激減させて対応した。
さて、安心を得るために出力600Wで30分間のCW連続キーイングを行った。このくそ暑い最中、扇風機しかない部屋の温度は深夜とは言えうなぎ上り。30分過ぎる頃はムンムン状態だ。TL-922+50MHz改修機は大した変動もなくテストを終えた。
その際レーザー温度計を使い、部品の温度を確認。高圧トランスは80℃にもなったが、VRLとその周辺の部品は60℃オーダーで落ち着いていた。
ところでIpを読めるようになったのだが、有りモノの部品(抵抗)で対応したため相応の誤差があると思われる。それでプレート入力を見ると1.5KWに近い。今までIpがまともに読めなかったので気にしていなかったが、600〜700W出力じゃひいき目に見ても大分効率が悪い。何とかしたいが・・・。
写真はCW連続キーイング中のTL-922+50MHz改修機とレーザー温度計(CUSTOM/CT2000D)。外部リモートSW箱で50MHzを選択している。半田巻きはインターロック解除用のウェイト代わり。(2012.07.29)
Bird43/1000Aで現状の実力を見る・・・50MHzで出力1KW確認
測定ベンチからパワーメータ(DAIWA/CN-720B)まで5D-2Wを3m程引き回している。ダミーロードは更に3m程先。気温は30℃を越えているが、5D-2Wを握るとこれが更に熱い。ロスが容易に想像できるため、TL-922の出力から50cmの5D-2WでBird43/1000Aを挿入。すると出力表示が上昇!。エキサイタ出力を調整して900W出力時の入力を確認すると115W。更に入力を140〜150Wまで上げ再同調すると出力は1KWに達した。
これなら安心して50MHzの1KW申請に使える。900W/1KW出力時の各電圧・電流・入力を以下に記した。
Input:115W Ep:2450V Ip:700mA Ig:175mA Output:900W
Input:150W Ep:2400V Ip:760mA Ig:195mA Output:1KW
やはりプレート負荷抵抗がHFに比べ低いのでIgの割りにIpが流れ気味。このレベルになりようやくプレート効率は50%を越えた。
写真左はTL-922上に仮設したBird43。写真下は1KW超を示すBird43。
事のついでに1KW出力時の高調波特性を取った(基本波:50.1MHz、帯域:500MHz、サンプラ:Bird4275-020、ダミーロード:Bird8890-300、スペアナ:ADVANTEST R4131A)。
出力はπ回路だからこんなモノか。4275-020の結合量は+6dB/octなので、スペアナ表示は周波数2倍で+6dB、1.5倍で+3dB多いので注意。運用にあたっては相応の減衰量を持つLPFで2次高調波以降を押さえ込む必要がある。
200MHzが自然に落ちていないのは、プレート回路の固有共振周波数がこの付近にあるからと思われる。
送信制御がかかった瞬間の波形の現れ方は自然で、寄生発振の発生も確認できない。(2012.07.29)
Bird43/5000Aで見る・・・50MHzで出力1.3〜1.4KW確認
Bird43/1000Aでスケールアウトするのが気になり、久し振りに5000Aを取り出してきた。5000W(25〜60MHz)のエレメントだ。
事のついでに、エキサイタはIg=200mAになるように調整すると、丁度200Wドライブとなり出力は1.3KWに達した。
Ipが流れEpも電圧降下があるため3-500Zの動作としては内部Zが低下方向。このため、HFより低Zの50MHzタンク回路は、3-500Zから見ると良い方向に向かう。この結果効率は65%に達する。
以下はその時の各部の状況。
Input:200W Ep:2350V Ip:850mA Ig:200mA Output:1.3KW
ちなみに
Ig=250mAでドライブするとIpは900mAを越え出力は1.4KW
に達する。
HFに比し低プレート負荷Zのため利得が少なのが惜しい。
3-500Zx2から見たらイレギュラーな負荷なのに、この数字はひょっとして驚異的かもしれない。(2012.08.01)
50MHz/1KW PEP出力時のTwoTone波形を見る
写真はエキサイタのモードをSSBにして変調入力にTwoToneを入れたもの。上下3Divの位置が約1KWのライン。
オシロスコープ:Tektronix475、TwoTonGene:icom118-TN(4番Key)、ダミーロード:Bird8890-300、エキサイタ周波数:50.1MHz。
クロスの前後が直線ではなく弛みがあり先端が細く感じる・・・Bias不足か?。CWなら気にしなくて良いのだろうが、SSBの場合は気にし出すと気になる。
しかし50MHzの1KW運用って、法的に海外通信に限られるだろうから、SSB/1KWって非現実的?・・・と勝手に思っている。
ところで、さり気なくBird43/1000Aをスケールアウトする速さは中々のモノ。
なおエレメント1000Aより5000Aの方が表示が若干多めに出ている。
現時点での課題・・・タンク回路のHi-L化。プレートVC直列コンを10PFにすると、一杯に入れて凡そ50MHz(抜くと52MHz)に同調する。 これを1PFでも抜く方向にするためにL分を増やす。タップ位置の変更は難儀なので、タップリードにインダクタンスを持たせ目的を果たす。ただ、リードはVRLまでを狭い所を通るので長さを稼ぎ難い。さりとて線材は細くしたくない。VRL位置を遠方へずらしリード長を稼ぐ手もある・・・。数PFの減がHi-L化に効き、負荷Z上昇に影響し利得増が期待できる。これが最後の闘いか?。 (2012.08.02)
プレートVC直列コンデンサと同調範囲の調整について
現在の50MHzTapとリードで、プレート直列コンを10/15/20PFと入替えてプレートVCの同調角度を見る。 50.0MHz同調時のプレートVC角度・・・
10PF:0度付近・・・バンドエッジにクリアランス欲しい、約2MHzカバー
15PF:90度付近・・・アマチュアバンドのカバー範囲が狭い
20PF:135度付近・・・アマチュアバンドのカバー範囲が非常に狭い
上記から、10PFを採用しHi-Cになるのを1PFでも抑え、代わりにリードにインダクタンスを持たせて微調整するのが最良の調整方法と思われる。
写真はテストに使った高圧ドアノブコンデンサで、全て耐圧7.5KV、温度特性NPO。 左は10PF/HEC HT50(米Surplus Salesより購入)。中央は15PF/MURATA DC510、右は20PF/MURATA DC510(ファインアンテナ研究所より購入)。 (2012.08.04)
ところが実際にタップリードやVRL周辺を覗くと難しい。過去に記したが、絶妙な位置関係で部品配置されているからだ。暫く眺めていると、ショートするコイルのピッチを広げれば50MHzコイルとの結合度が減り50MHzでのインダクタンスアップが期待できそう。それでプレート側から2.5ターンの間にマイナスドライバを挿入しピッチ拡大。すると、プレートVC直列コン10PFで、50.0MHzが45度付近に来た。万々歳だ!。(2012.08.05AM)
タンクコイルTapに半田を流す
タンクコイルの50MHzタップはリン青銅板を巻き付けビスとナットで締め付けていた。
十分な締りを見せているのだが、大事を取って接触部に半田を流した。
多少のロスが有るのかと期待したが、変化は確認できなかった。
写真はオリジナルのハイバンドコイルへ巻き付けた50MHz用タップに半田が流し込まれている様子。
ちなみにオリジナルのタップはロウ付け(半田より融点の高い銀ロウと思われる)されている。
余談だがTL-922の最大の特徴は、このハイバンドタンクコイルと言ったら言い過ぎだろうか・・・。
このコイルの存在が、50MHz/1KW出力を容易にしている。
1.3KWチューニング中にDCブロックコンが焼損
普通ならややショッキングな話。出力1.3KWでチューニング中にDCブロックコン(C34)が焼損。 これ、MURATA製1000PF/TV15KV/WV10KVだが、手元ではスペックの全貌が分からない。色々と楽しませてくれる。
写真左は取り外したDCブロックコン。手前の端子はプレートVCに残ったまま(端子のネジに半田が流され容易に取り外せない)。プレートRFC側を外すと焼損でヒビが入り型崩れしているため簡単に外れる(壊れる)。
ヒビの間から火と黒煙が噴出し周辺の部品を黒化していた。熱により電極と端子間が崩れアークが飛んだのではと推測される。コイルタップリードはその上部にあるので、あぶられて変色していた。
剥き出しで黒化した電極と反対側の端子間をLCメータで測定すると900PF程度の静電容量がある。
これって電流不足の様な気がする・・・15KVなら電圧不足とは考え難い。あるいは固体の不良で端子と電極のコンタクトの問題?・・・しかし本当のところは良く分からない。
写真右は早々に代替品をプレートRFCとタンクコイル間へ最短で挿入した様子。こちらはJUNKで入手したものだがDF-25と称するK.C.K.の1000PF/15KVDCのモノ。動作は安定している。
ところで写真左の奥にはスズメッキ線リードがあるが、これプレートRFCへつながる。このループってVHF的に見ると嫌らしいと思ってきたがこれでオサラバかも知れない。(2012.08.05PM)
課題の整理
@高圧ブロッキングコンの強化・・・HFよりRF電流大
AロードVCの前セクションと後セクションの入替え・・・リードインダクタ軽減(Hi-Bandを後ろへ)
B50MHz入力タンク回路の修正検討・・・π型で利得を見る
C28/50MHz切替の修正検討・・・Bで改善があればリレー切替検討
D入出力コネクタの完全シールド化・・・剥き出し同軸コネクタを変更
E入出力・スタンバイリレーの統一・・・LY4に変更、統一でT/Rタイミング改善
Fタンク回路底面にシールドパンチ板・・・隙間だらけを改善
Gリレー制御の光化・・・光MOSスイッチへ変更
Hオンディレイ制御・・・AC入力にタイマーリレー挿入
IロードVCの原則・・・バーニア機構の追加
JプレートVC・ロードVC・バンドSWのサーボ制御・・・プリセット制御機能追加
*色々あって書き切れない・・・(2012.08.07)
ロードVCの前後セクションを入替える
TL-922のロードVCは5連であるが、前3連と後2連がVC内で並列結線されている。 ローバンドでは両者とも使われるが、7MHzから上は後者が切り離される。
バンドSWは後2連の奥にあり、前3連への配線は相応に長くなる。私的には、よりバンドSWに近い後2連を7MHz以上で切り離してしまうのは実に勿体ないと感じている。
実験的に2連にしても7MHzで同調範囲にあることを確認し、前後を入替えることにした。
配線長による悪戯、ハイフレとして見たVCの品質、50MHzローディング操作改善
・・・等を鑑みた作業である。
写真はTL-922のロードVCを側板を外して撮影したもの。まだ暫定配線だが、前(左)セクションへの配線を後(右)セクションのところで切断し、入替えを行っている。
この作業により7MHz以上でロードVC容量は従来の2/3となるが、実運用ではまったく問題にならない。 リードストレーインダクタと大容量ロードVCの関係はHFならまったく気にしないが、50MHz辺りになると妙な共振を点を作るのでなるべく排除しておきたい。(2012.08.08)
50MHz/1KW出力でCW連続キーイングを試みる
1KW出力に調整してエキサイタの自動キーイングを行う。
ところが約20分を経過したところでサーモSW(TH2)が働き送信制御が停止。
高圧電源トランスのコアにレーザー温度計を当てると約80℃を示した。
代替投入した高圧DCブロッキングコンは60℃前後で安定している。
焼損したオリジナルの高圧DCブロッキングコンは現在調査中。
Bird43の出力側ケーブル(5D-2W)は40℃に達していた。
ただでさえ暑い時季、工房は23時半を回るのに室温34℃に達していた。
写真は散らかり放題の工房。とてもキーボードを叩ける状況ではない・・・だいたい何処にあるのかも分からない。
左にTL-922+50MHz改修機。上にBird43。その足下にGDMとSWRアナライザ群、その右にスペアナとオシロスコープ。机の下にオールドPC2と2.5KWダミーBird8890-300。机上は半田ごてやLCメーターが見えるがあとは良く分からない。エキサイタはIC-756+IC-PW1。(2012.08.09)
高圧DCブロッキングコンの不良を考察する
焼損して黒化した高圧DCブロッキングコンを薬品で洗浄し汚れを落とした。
またロードVCに残ったままだった端子ロッドを回収しこちらも洗浄した。
ロッドの先には4mmのネジを切ってある。VCのステアタイトを貫通してナット締めされたビスへこのロッドがネジ込まれ更に根元へは半田が流されている。
保守性を考えるとここまでやる必要は無いと思うのだが・・・メーカーさんの考え方なんだろう。
この半田を溶かしてロッドを緩める作業が意外と大変。半田ごての熱が回り難く、仮に半田が溶けても締め付けられたロッドを回すのに苦労する。
これらについては
高圧DCブロッキングコンの不良について
として別項にまとめた。
写真は中央がコンデンサ本体で内部の凸凹が顔を出している。右が電極を外に導くピカピカの端子ロッド、左は圧力で飛び出したモールドの一部。(2021.08.11)
アンプスルー時と入力SWRのチューニング・・・そう簡単ではない
アンプスルーで、エキサイタからの同軸長を変えたら変。エキサイタから見たSWRが高く出力制限がかかってしまう。SWRはレッドゾーン。たまたま同軸長の効果で低SWRが実現していたに過ぎなかったようだ。入出リレーはRF用ではないので同軸間に入れる場合はちょっとした工夫をが必要だ。受信時に入出力コネクタをスルーする系統、すなわちリレーのブレーク回路に補償コンデンサをぶら下げる。経験的にLY4程度のパワーリレーだと20pF程度だが、TL-922は大型のため47PF程度でSWR=1が実現した。
同様に、アンプの入力SWRも変動をきたしている。エキサイタATUで吸収も可能だが、再び最初から状況を確認した。写真は初期の実験に使用した7素子の60MHzLPF。これを3-500Zの入力へ接続。容量素子は56PFなので、3-500Z側は不足するため33PFで補完。これを入力リレーを介さないで直接エキサイタ駆動してSWRを確認すると複数のSWR測定ポイント(IC-756・IC-PW1)でSWR=1を示した。この状態で電力利得を見ると80Wのドライブで800W程度出力、すなわち10dB程度だった。
ただ入力バンドSW回路を経由させると、ストレーやリードインダクタンスの影響で状況がまた変わる。暫く調整を続ける事にする。このLPFで1.9MHzで駆動すると容易に1KWを出力した。電力だけみればこのLPF方式でマルチバンドが組める。ひょっとしたらその方向に進むかもしれない?。(2012.08.12)
入力π回路をスルーしてLPFのみにすると
ちょっと興味があって、上記写真のLPFのみ残して入力バンドSWをスルーしてみた。
50MHzと10MHz以下のSWRは良好であったが14MHz辺りから暴れだしHFハイバンドはイマイチ。これは別の機会にトライすることにして早々に元に戻すことに・・・。
私見だが・・・TL-922は入力バンドSWでπ回路を切替後、20数cmの同軸ケーブルで3-500Zx2本をドライブしている。
3-500Zは2本で16PF程度の入力容量がある。オリジナルでは同軸の端に22PFを装荷して、ハイバンドでのSWR悪化を抑えている。
同軸を単なる静電容量とみなせるローバンドでは問題ないが、VHF帯になるとこの部分は分布定数としてみないとつじつまが合わない。
同軸長と先端静電容量を含めがZが周波数によりどのように展開するか確かめておく必要がありそうだ・・・ちょっと視点を変えて。(2012.08.13)
オリジナル回路へ戻し動作確認後方針決定
気が多くて方針がイマイチはっきり定まらないので、一旦入力π回路と3-500Z駆動回路をオリジナルに戻した。
3-500Zを駆動する同軸ケーブル端の22PF小型セラミックコンは余りにも貧弱なのでマイカコンに変更。
ロードVCのセクション入替えは一部WARCバンドで容量不足が発覚し、これもオリジナルに戻した。
そもそもTL-922の場合、入出力タンク回路はWARCバンド用は用意されておらず、直近上位バンドを併用するから当然と入れば当然の話なのだが…50MHzでのロードノブ位置は、目盛り6が7になった(戻った)。
なお、元々グリッドRFCはショートして直接接地していたが、他のPinも全て(4ヶ所)接地処理を施した。
現状で28MHzバンドの動作を確認すると80Wのドライブで1KWを出力する。
なおこの作業中に高圧印加せずに多量のIgを流してしまい、Igメーターが殆ど振れない状態に陥っている…まったく色んなことが起こるものだ。
さてここで入力回路の28/50MHz切替方法について考察する。元々LPFを利用し切替スイッチ無しで対応する予定であった。ところが、28MHzの入力π回路の定数や、駆動同軸ケーブルと同軸端22PFなどの処理に手こずっていた。
HeathKit/SB-220の回路図と比較してみるがどうも納得行かない。TL-922はSB-220を参考にしたと見られる定数が随所に感じられる。そしてこの同軸端(3-500Z)側の22PFはTL-922でも踏襲しているのだが、取り付けてある場所が同軸前のπ回路側でバンドSW内(TL-922は全バンドSW外で全バンドに影響)。
これをどう見るか議論が沸きそうだが、ローバンド的に見ればただのCで終わりそうだが、VHF的に見ると同軸長と先端22PFとの関係はチト複雑になりそうだ。また試みに28MHzコイルにGDMを近づける(負荷状態で)と以外や以外、50MHzで急激なディップも発見。ディップがはっきりしない28MHzより格段の違いだ。
それで28MHzバンドオリジナルの状態から、π回路同軸(C無装荷)にリアクタンスを装荷することで、50MHzで低SWRを得られないかカットアンドトライで調査。その結果100PF+セルフリードインダクタを装荷する事で、ドライブ経路の各SWRポイント(IC-756/IC-PW1)で低SWR(1.3程度)が得られることが分かった。
DC26Vリレーを使い、50MHzバンド時に100PFをつなぐ操作を行うことにする。LPFその物をそっくり切替えてしまえば良いのだが、簡単で、スペースをとらず、作業しやすい方法を採用することにした。
ベンチテストではこれで50MHzで利得10dBが得られ、80Wのドライブで800Wを出力する。(2012.08.15)
インプット28/50MHz切替えリレー実装・・・終盤へ
入力28MHzπ回路に50MHz切替えリレーを組み込む。リレーは手持ちの金属封入型DC26.5V/750Ω2回路2接点を使う。
取り敢えず1回路を使い、もう1回路は拡張用にとっておく。前項の如く100PF(マイカ)を28MHzπ回路の出力側へリレーでつなぐ。
100PFのリード線がもたらすインダクタンスが微妙で、入力SWRを確認しながら長さやループ径を調整する。この調整でSWR=RedZoneが1.3〜1.5程度に低減する。
写真は組み込んだリレーと入力π回路のLC群。中央のコイルが28MHz用で、オリジナルではその左端に100PFが実装されている。しかし右端には何も無く3-500Zの入力容量と22PFセラミックそして同軸ケーブルが同調容量となる。この右端に100PF+リードインダクタをリレーで装荷する。
なお50MHzでの整合状態の解析は等価回路を基に検討を加える予定。
以上でTL-922のオリジナル機能はそのままで50MHz機能をKWで追加する目的がほぼ果たされた。 バンドSWで28MHzを選び、リモートSWで50MHzをとればLEDの点灯と共に50MHz機能が生きる。減速機構のないロードVCチューニングのし難さはあるものの、HF〜50MHzがオール・イン・ワンのリニアアンプは真に快適である。 (2012.07.16)
Igメータ振れ激減の原因…Ipバイアスは増加
この原因を調査するために電源を入れ送信状態にすると妙。Ipバイアスが何時もの倍程度振れる。ドライブしてもIgの振れは極僅か。
Ipバイアスの増化はツェナーバイアスの減、すなわちツェナーD2の短絡。そすてIg振れの激減はD7の短絡と推定。テスタを当てるとドンピシャだった。やはりEp無しでドライブした結果だと思われる。
特にD7は手持ちの関係で順方向電流1Aの物を使い、間に合わせ的だったことを悔やんでいる。
実はこの両者、作業当初に3-500Zのフラッシュでお釈迦になったと思い部品を交換していたが、実は後で分かったのだがこれらの部品は問題なかった。取り外してあったツェナー(RD9D)とシリコンダイオード(UO5B)を実装し無事全面復旧。(2012.08.17)
いよいよ終盤…上下蓋を取り付けデータ取り
50MHzのデータ取りを行おうとしたときに後述(CoffeeBreak6)の如き放電がロードVCの前セクション中央で発生。復旧させた。
以下は28MHzと50MHzで1KW出力を得たときのドライブ電力他のデータ。
28MHz・・・Input: 80W(SWR=1.1) Ep:2640V Ip:640mA Ig:180mA Output:1KW
50MHz・・・Input:150W(SWR=1.4) Ep:2400V Ip:760mA Ig:195mA Output:1KW
なお50MHzについては入力SWRの低減が図られると約10dBの利得が得られる。(2012.08.19)
オールバンドでデータ再取得
HFローバンドを含めた現状データを再取得した。ドライブ電力80W(アンプスルーで出力側に挿入したBird43の表示)時に最大出力に同調させたときの出力他を測定したもの。 測定日時により商用電源電圧が異なったり、過去データと不一致の部分があるがご容赦願いたい。(2012.08.21)
気になる入出力リレーのSWR暴れ再び
スタンバイ時(入出力スルー時)のSWRの暴れはブレイク接点回路に47PFを装荷して補償した。
ところが送信時については未補償のままだ。50MHzで入力SWRが劇的に落ちない一因にそれが関係しているように思える。送信系については、入力側と出力側それぞれに暴れがあるから、夫々に相応のコンデンサが必要になる。
リレーを低SWRのモノに交換してしまう手もあるが・・・悩ましい。
もう少し気の利いたリレーが搭載されておれば楽なのだが・・・余り騒ぐと「50MHzは適応範囲外」だとお叱りを受けそうだ。(2012.08.22)
最後の仕上げ・・・入出力コネクタ完全同軸化とRL-1交換
初期から入出力コネクタからのノーマル系輻射が気になっていた。いよいよその入出力Mコネクタを完全同軸化する。当初は現状のMコネクタにシールド円錐管を内側から当てる方法を考え部材を用意した。
ところがMコネと一緒に外側からビスで共締めしようとすると円錐管の直径が大きく収まらない。それでNレセプタクルの登場となった。今年のハムフェアでテフロン同軸RGU-400を含めて購入した部品がありこれらを投入した。
写真はその様子。なおRFメーター用の取り出しはリレー側で行うことにした。
RL-1はオムロンMM2で接点剥き出しの電力用。長時間放置すると接点が酸化して微弱電力の取り扱いには不向きだ。多くのOMが受信障害に悩まされたと思う。これを樹脂封入型のオムロンLY4/DC100Vに変更し、1回路は入力、2回を出力、1回路を開きで使う。規模はスタンバイ/パイロット表示用のRL-2近似と見て両者を並列駆動する。動作速度とタイミング、そして騒音は大幅に改善される筈である。(2012.09.04)
最後の仕上げ・・・RL-1交換投入と周辺の同軸配線
写真左はビス締めされたNレセプタクルN-PJ118(NMC製)。
前述の様にMコネでこのタイプがあると助かるのだが、現状では円錐管との組み合わせによるものしか存在しないと思われる。
円錐管はN-H-3(DDK製)が秋葉ラジオデパートの斉藤電気に置いてあったが、既に品切れでメーカーも製造しないらしい。
折角の同軸関係を、芯線とシールドに分離して回路を構成すると、芯線からの不要輻射はもとより、シールド側でも高周波のリターンルートにリアクタンス成分が介在することになり、効果的な接地は期待できず不用輻射を招く。
写真左下は、RL-1を交換し、同軸をRGU-400に交換した様子。右下のドアノブコンはリレーとのクリアランス確保のため約10mm奥へ移動。
RL-1はOMRONのLY4/DC100V。ソケットを利用しているがシャシへの固定は行っていない。その代わり、入力π回路の貫通端子へソケットを直に半田付けしている。
RFメーター信号は、減衰抵抗R11/68KΩでリレーから取り、追加した貫通端子で取り出し検波回路へ導いている。
リレー交換はこの2者の半田付けを外すことで実現する。
写真下は同軸処理の様子。リレー4回路の内2回路をパラって出力に、1回路を入力に使い、間の1回路を空きにしている。
TL-922はご丁寧にスタンバイとオンエアのランプ表示をリレーで切替えているため、送受切替えに4回路必要になる。3回路で済めばこのリレーに統合できたのだが・・・ランプのことを失念し叶わなかったHi。
同軸のシールド側は入力コネ・出力コネ・π出力の3社をリン青銅板で括り半田付け。むやみに接地して同軸関係を崩さない方が懸命。π側シールドもリード処理ではなく直接地する。
スタンバイ時のブレーク経路のSWRは無補償でSWR=1(50MHz)。当然送信側も改善されている筈。なおRL-1交換によりV3は撤去。
深夜JA2FGLとQSO中このプロジェクトの話になる。初めてアンテナをつなぎ500Wで試験運用、リポートは問題無く上々の出来!。 (2012.09.08)
28MHz/50MHz入力専用回路をリレー切替
懸案だった入力回路。28と50は独立するべきと内心は考えていたが遂に重い腰が上がった。
SVCFilterの新VerでLPFを計算すると、L=0.15μHでC=47PFで60MHzのLPFが構成できる。バンドSWを含み同軸で3-500Zまで引き回す経路長は無視し、単純にCだけを考えてこの定数でLPFを組み込んでみた。入力側のみ47PFを取り付け、3-500Z側はやや大きいが同軸とストレーに依存。切替は既に実装済みのリレー(2回路2接点)を使う。
写真はその様子。配線がやや長くなったが効果はてきめんだった。
50MHzのデータは以下の通り。
Drive=100W、Ig=220mA、Ip=750mA、Ep=2.4KV、Output=1020W、Input SWR=1.1
入力SWRは大変良好で、その結果が電力利得10dB超に現れている。最初からこの方法にすれば良いのにと言われそうだが、紆余曲折こそノウハウの泉とやせ我慢。
ひょっとしたらこのLPF定数で28MHzの低SWRが実現できるかも知れない。切替なしで28と50カバーは魅力的だから何時か試したい。
これで初期の目標は果たしたと思う。久しくTL-922と闘ってきたが、ひとまずここで幕としたい。
左は28/50MHz切替リレーの配線イメージ。
下はSVC Filter Designer 2.12が計算表示する画面。画像をクリックすると拡大します。(2012.10.02)
COFFEE BREAK with TL-922・・・Wow!
COFFEE BREAK7・・・CQ ham radio9月号で紹介
手前味噌で恐縮だが、
CQ ham radioの9月号
に当プロジェクトの概要が掲載されました。
96〜99ページに本文、144〜145ページにカラー写真があります。
ただ、原稿と写真は7月24日提出のため、最新情報はWebサイトを参照してくださいと結んでいます。(2012.08.21)
COFFEE BREAK6・・・ロードVCで放電、電極復活作戦
これで取り敢えず一定の区切りと思っていた7月16日。スタンバイ状態の通電を続け、時々エキサイタのPTTで送信制御して50MHz出力の振れ具合を確認していた。
ところが突然ロードVC(前セクション中央VC)から放電音と閃光。危ないと感じ即座に送信を止める。念のため28MHzで確認すると50MHzと同様だ。
完全に短絡する模様で出力がゼロになる。まずい!。半田か線材の屑がVCに舞い落ちたのだろうか、幾度もひっくり返しているから…。今まで安定だったのにややトホホだ。
それで再び終段ボックスを空け、さらに側板を外してロードVCを観察する。ボール紙を短冊に切り、無水アルコールに漬け当該部分のロータとステータの隙間を全て洗浄。
そして注意深くすると前セクションを観察すると中央VCの手前から2枚目のロータの端(rが小さい方)にやや膨らみを発見。サンドペーパーを取り出して小さな短冊を作り、ロータとステータ間に挟み込んで動かし膨らみ削る。相手は放電熱で変形したアルミなので容易に削ることができる。
これで何とか復旧させることができた。やっぱり近傍にVCがある環境では、半田や線材の屑には十分注意したい。分かっていても作業が雑になる…危ない危ない。(2012.08.19)
COFFEE BREAK5・・・Ip Meter Scale NG
通電当初に発生した3-500Zのフラッシュは高圧リターン系統に挿入された部品にダメージを与えている。Ipメーターの振れが1/2〜1/3程度しか無いので、これもやられているかと思っていた。シャント抵抗は交換したので、多分メーターの倍率器抵抗の値上がりだろうと安易に考えていた。ところが倍率器R7/1.5KΩを当たる(ループになるのでメーターの片側を外す)とこれが数100Ω。やっぱりやられていたか。しかし正常な1.5KΩに交換するとメーターの振れが更に落ち殆んど振れなくなってしまった。可笑しい。このリターン系にぶら下がっているその他部品の内D7を診るが正常。あとはC1/0.01μの絶縁低下か?・・・いやこれもOK。じゃぁIpメータが可笑しいの?・・・当たり!。メーターの内部抵抗は18.2Ωと異常な低さ。倍率器1.5KΩは33Ωを並列にしてようやく普通の振れ方に落ち着く。ウーン、これってメーター内部で妙な事になっている感じだ。メーターを取り外すにはノブ類やフロントパネルを外す必要があり悩ましい。1.5KΩを33Ωに交換する苦肉の策でこの場は収束。何とも後味が悪い・・・。
COFFEE BREAK4・・・In/Out Connector Inside & Coaxcial Cable
TL-922の中をのぞいていると疲れる。
随所に目を覆いたくなる様な処理がある。
入力・出力Mコネクタの内側の配線は一体何なんだろう。
同軸ケーブルが芯線とシールド線に分かれてMコネクタへ接続されている。
せっかくの同軸関係がここで途切れている。
仮にSWRは低く問題はないとしても多量のノーマル系輻射が発生する。
これをやるなら終段シールド箱の中で処理して欲しい。
といってもシールド箱も隙間だらけだから・・・見なかったことにしようかと言いたくなる。
写真はシャシ内側から入力(左)と出力(出力)のMコネクタと同軸ケーブル(5D-2V)の処理を見たもの。
やっぱりここは同軸関係を崩して欲しくない。
扱っている信号はオーディオ(AF)ではないし、しかも相手はKW級からμV級までの高周波だから。
COFFEE BREAK1・・・RF Return 1
余談…TL-922プレートVCのステータ側の接地はアルミアングルで行われている。 良く見ると接地先はアルミ板で、それは筐体にビス止めされている(ロードVCも同様)。 すぐ奥に3-500Zを乗せたアルミ板があり、こちらも筐体にビス止めされている。 ぼんやり見ているの見過ごしてしまうが、実はこのアルミ板同士、直接つながっていない。 タンク回路のリターン経路が一度筐体(鉄シャシ・ビス締め)を経由して信号源である3-500Z側へ返っている。 明らかに不必要な筐体駆動と思わうが如何だろうか…。 タンク回路側にはローバンド・コイルがあるため広い幅は取れないが、何らかのショートカット経路がアルミ板間に欲しい。
その後底蓋を開けて観察すると、10mm幅のアルミL金具(写真右)で両シャシ間を渡しセルフタップビス締めする「ジャンパ」を発見。ウーンこれって後から付けたんじゃない・・・と思いたくなる雰囲気だ。
COFFEE BREAK2・・・RF Return 2
いよいよプレート直列Cの短絡とコイル短絡を行うVRLを取り付ける段になって、側面のダイキャストを外した。
すると出力タンク回路と3-500Zベースを結ぶRFリターンが組めそうな構造。程良き位置にビスやセルフタップビス穴。
1mm厚x10mm幅のアルミ板を取り出し写真の様に曲げ取り付けてみた。こちらのサイドは全くリターンルートが無く、鉄シャシかダイキャストに依存するしか無かったから、それなりの改善が期待できそうだ。
この方がRF的に断然美しいと思うが如何だろう・・・。
それにしてもTL-922って隙間だらけだと思わない?・・・と言うよりこの時代のアンプって・・・!。
ノーマルモードもコモンモードも、水がこぼれる様にRFが・・・。(2012.07.08)
COFFEE BREAK3・・・RF Return 3
以前から良く見えていた場所。タンクコイルを固定している金具のビスが、コイルの左手にある。
また3-500Zをドライブする信号を供給する同軸ケーブルを固定するスタンドオフ碍子。これをとめているビス。この間に写真の様にアルミ板を切り出してリターンルートを確保した。
これで3箇所でRFリターンが確保され、タンク回路シャシと3-500ZシャシのRF電位が安定になったものと推測する。
作業しながらTL-922の筐体やフレームを覗くと、このアンプは隙間だらけであることが分かってくる。(2012.07.14)