日記のフリ 日記というよりは、気になったこと、興味のあることを忘れないようにメモしてる、ってほうが正しいので「フリ」。
日付ごとにアンカー付けています。e.g. http://www5a.biglobe.ne.jp/~nanatsu/diary0411.htm#20041101
2004年11月
読・観・聴・その他
11/26(金)
昨日の帰り道、小さな男の子が私を見上げ「なにしてきたの?」と話しかけてきた。少し驚いてから「映画みてきたの」と答えた。まだ何か問いたそうにも見えたけど、私もそれ以上何も話しかけることができなくて分かれ道まで一緒に歩いた。
村山由佳「天使の梯子 第ニ回」「小説すばる 10月号」。最終回が残っているけれど『天使の卵』より好きかも。
原リョウ『愚か者死すべし』早川書房,2004(Amazon)を読み終わる。“読み終わってしまいました”と言いたくなるなあ。傑・作。日本語で読めることの幸せをかみしめる。粋な文章だらけで、書き抜いていたらきりがない。平静と冷静の違いに思いを馳せながらもう一度読み返すほうを選ぶ。蛇足ですが、電話応答サービスのいつもの女性のファンなので、ちゃんと登場してくれて嬉しい!(出番少ないけど…)
11/25(木)
ジョニー・トー/ワイ・カーファイ『ターンレフト ターンライト』(香港=シンガポール・2003)(公式サイト)@シネマミラノ。とことんすれ違う二人。電話があったって、相手につながる「数字」がなければ、たどりつけないもどかしさだけが残る。にしても、それぞれを好きな異性の存在がウザくて映画自体を頭の痛いものにしてしまってる。住居侵入罪で訴えたいよ!
というか、金城武もジジ・リョンも部屋に入れるなよー、もっとハッキリしようよー。ああいう風に相手のテリトリーを侵害してゆく人たちの頭の中が本当に理解できないし嫌悪感いっぱいで気分が悪くなった。なので、この映画の評価は低くする。ジョニー・トーは恋愛映画に関わらないでアクションだけのほうがいいかもしれない。『Needing
You』でも感じたけれど、いまいちダサいの。ただ、金城武が出る映画はあまりみたことがなかったので、素直に彼を素敵だと思いました。それは収穫。
原リョウ『愚か者死すべし』早川書房,2004(Amazon)と、「BRUTUS #560 好きな映画について語らせろ」マガジンハウスを買う。長塚圭史と大森南朋が載っていて嬉しい。
11/24(水)
「田島貴男2004年
オレの5大ニュース(予定)」。はりきりぶりが面白い。確かに、「ッハハハハ!」って笑うんだよね、思い出して笑ってしまった。
『グルダ/モンペリエ・リサイタル 1993』は、正直言うと後半のグルダ編曲が始まってからが好き。「クラシック」というジャンルに留まらなかった/留まることができなかったグルダが好きなのだ。観客の声にピアノでこたえている感じがして素敵。グルダ自身によるアナウンスにお客がパチパチーとする間も待たずにさらっと弾き始めたり、終わりと思ったらオマケをつけたり。時々お客がどっとウケるところがあるんだけど何をしたんだろう。ブラームスの子守歌まで来ると「もうじき終わりか……」と思って少しさみしくなってくる。それもまた良し。グルダ作曲の「アリア」で本当に終わり。涙が出そうになる。
最近「晩年物」(?)が気になっている。16日に書いたアラウもそうだったし、バックハウスの死ぬ1週間前のライヴってどんななのかな、とか。実は最近ホルショフスキのカザルスホールライヴ(→参考:Amazon)を手に入れることができて、聴くことができ幸せです。運を使い果たしたような気分もするくらい素晴らしいです。このとき95歳。どんな顔かっていうとこういう顔です。おじいさん好きな私としては、たまらないものがある。内容はそれ以上にたまらなかったですが。
ピアノ曲を含めて「クラシック」を聴くようになったのは最近のことなので、今になって慌てて追いかけても好きだなあと思った人が大抵は亡くなっていて、CDで聴くことしかできない。曲も知らなければ知っているピアニストも偏っている。高校まで習っていたピアノの曲以外ほとんど知らなかったし興味もなかった。何か弾きたい曲があって習っていたのではなくて、なんだろう、現実逃避だったり嫌なことがあっても弾いているときは忘れていられたからだと思う。
私はピアノを弾くのが特別好きなわけじゃない、というか、うまくも熱心でもないけれど、年を取ってもピアノを弾くことができて自分のなぐさめになったらとは思う。何を弾くだろう。今の狭い世界の中ではシューベルトかバッハかな。
11/23(火)
9時半に起きて午後2時から6時まで昼寝した。昼間は良く眠れるのよ。
こっこちゃんとしげるくん「SING A SONG 〜NO MUSIC, NO LOVE LIFE〜」(→TOWER)、そして、『グルダ/モンペリエ・リサイタル 1993』(→TOWER)(→今、HMWのほうが安い)が届く。グルダのこれ、DVDで出たら良かったのに。ベートーヴェンの31番ソナタを弾いている時に上空を飛行機が通過。私はこういう一回性、好き。びゅーん。
11/22(月)
ピアノで、私の前の女の子がクリスマスっぽい曲をやっていた。私の番になって、先生に「クリスマスの曲でしたね」と言うと、「それが、楽譜全部忘れたっていうからあるものでやったんですよー」とちょっとぷりぷりして言ってた。確かに、練習してきてそれをあらわすという習い事だから、楽譜忘れただの練習してこなかったのじゃ意味がない。とはいえ、私も中学生の頃、当時の先生に「練習してこなかったわね」とよく叱られてた。
11/21(日)
ルキノ・ヴィスコンティ『山猫』(伊=仏・1963)(公式サイト)@テアトルタイムズスクェア。さみしい。ダンス・パーティでのバート・ランカスター演ずる公爵のたたずまいのさみしさといったらない。喋らないでいて、ただそこにいるだけでさみしい。さみしいというのでは足りないさみしさがある。新しいものと旧いもの、若さと老い、情熱と穏やかさ、上品と下品……それらの対比が共存できずに、しかし敵対することもなく、片方がもう片方を静かに受け入れることがこんなに切なさを伴って描かれていることに参った。装置が絢爛だから尚さみしい。人が多いからって単純に楽しかったり賑やかだったりするわけじゃないもの。
11/19(金)
ベルガモットがいいとはいえ、アールグレイでは代替不可能。
小さな子のお葬式に同級生たちが出席したり、お別れの言葉を言うということがどうにもいやだ。自分の子供が死んでしまったのに、同じ年頃の元気な子供たちが大勢来てお別れ言われちゃうんですよ。残酷だと思う。
11/18(木)
岩塩+ベルガモット+ラベンダーという組み合わせの入浴剤がかなりヒットだった。ベルガモットの香りに酔いしれるー。なんだかとても安心する。気持ちが落ち着く。あまりに気分にしっくりきていつまでも嗅いでいたいので、香りというものはこんなに気持ちに作用するものなのか……と不思議です。眠るときそばにいてほしい。
11/17(水)
ロベルト・ロッセリーニ『アモーレ』(伊・1948)。アンナ・マニャーニが喋りまくる短編2つ。ほぼ彼女の演技があっての映画ということはわかるんだけど、話し相手になったような気分で、ちょっと疲れてしまいました。
PHS使いなので、携帯サイトを読めず、堂本剛の「LOVE FIGHTER」を妹に契約してもらってます。更新されると電話がかかってきて、「じゃあ読むね」と読んでくれます。妹は「私は別にいいけど、情緒ないでしょ……」と申し訳なさがり、私は読んでもらって申し訳なさがりつつ、「そうだね、情緒ないね……」と答えております。
11/16(火)
『アファナシエフ/シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番
変ロ長調 D-960』(→Amazon)。
『ヴェデルニコフ/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第30,31,32番』(→Amazon)。
『ヴェデルニコフ/ベートーヴェン:自作の主題による32の変奏曲
ピアノ・ソナタ 第14,17番』(→Amazon)。
『アラウ/バッハ:パルティータ 第1,2,3,5番』(→Amazon)。
『グルダ/コリア/アーノンクール/モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲
変ホ長調 K.365 他』(→TOWER)。
品切れのものもあります。
日・月・火で、どれもまだ1回ずつ流すように聴いたのみ。でも、特に最初の2つはこれからヘビロテになりそう。アラウのは、4番6番の録音直前で亡くなってしまったという最晩年の録音。それを知って聴くせいか、なんだかとても「天国に近い」感じがします。
オリジナル・ラヴ『変身』(→Amazon)。先日のNHK「夢・音楽館」での忌野清志郎&オリジナル・ラヴがカッコよかった。忌野清志郎のほうが特に。なんですが、久しぶりに「プライマル」を聴きたいなあと思い、入ってるCDを探す。ベスト盤なんですが、アルバム全体が素敵です。
11/14(日)
ジョー・マ『ファイティングラブ』(2001・香港)。ドタバタのラブコメディー。安っぽくて軽い、嫌いな展開。何度か途中でやめようと思った。トニー・レオンがかっこよくないし、サミー・チェンも全然かわいくない(が、だんだんかわいいと思えてくる)。でも、やっぱり、サミー・チェンだったからあの役ができたのかも。
村山由佳「天使の梯子 第一回」「小説すばる 9月号」。『天使の卵』の続編。「青春と読書 11月号」を読んで、連載を知った。村山由佳「十年 『卵』から『梯子』へ」。あれ、なんだ、ちゃんともう単行本になってたのか。知らなかった(→Amazon)。第一回を読んだ限り、なかなかいい感じ。
11/12(金)
アラン・ベルリネール『ぼくのバラ色の人生』(英=仏=ベルギー・1997)。みていてつらい。突如、ベールをかぶったようにブルーがかった色調になってしまった物語を、いつバラ色になるんだろう……と、ずっと思いながらみていた。愛が足りなかったってわけじゃないし、愛がすべてを救うわけじゃないと思う。あんまり好きじゃない。
最近は、『グルダ/即興曲集D899、楽興の時D780、ゴロヴィンの森の物語』(TOCE-55293)(→Amazon)を良く聴いているのですが、ながらく「品切れ」だったのが再発されるみたい(→HMV)。1,300円!!! 『グルダ・ノン・ストップ』も安く出直すし(→HMV)、平均律も輸入盤で出直す(→HMV)(日本盤は、買えても高い盤しか見つからないっぽい)。『ピアノ・アンコール』(→HMV)というのも出る(再発)。
11/11(木)
W・H・オハンロン、M・マーチン著 宮田敬一監訳 津田秀夫訳『ミルトン・エリクソンの催眠療法入門』金剛出版,2001
(→Amazon)を読み終わる。ミルトン・エリクソンの弟子、オハンロンによるワークショップの様子。うさんくささなどはない。催眠の適応基準として「不随意的・自動的な活動に関する訴え」を挙げていて、具体的には「医学的治療の効かない身体的・生理的問題」「強迫的・自動的思考」「感情的な問題」「幻覚・フラッシュバック」、恐怖症の人を症例にしたものも載っている。文字が太字になっていたり小さくなっていたりして、言葉で働きかけるってことを感じ、なるほどなあ、と思いながら読んだ。たしかに、ワークショップを読んだからって何が変わるわけではない。でも、読んでいて「なるほど」と思えることが書かれているというのはストレスがなくていいです。「嘘っぽいな」とか「けっ、馬鹿馬鹿しい」と思わなかったから。「答えは自分の中にある」という考えが貫かれているからかもしれない。
11/10(水)
来年の手帳はこれ(こちらと迷った)。思っていた以上に細長く大きく感じられて、面白い見栄えです。てちょーぅ、って感じ。
そういえば、木曜日夜の『黒革の手帖』は見ています。最初から録画して残してたりする。釈由美子にあの役やらせるのは、ちょっと不満(好きなので)。柳葉敏郎は、あんまりうまくないなあ(好きじゃないからか)。
11/9(火)
『ハイドシェック/ベートーヴェン:悲愴・月光・熱情』(TECC-28082)(→Amazon)を安価で手に入れることができ、嬉しく聴きました。1989年9月の宇和島ライヴ盤です。宇和島の南予文化会館とそこに置いてあったヤマハのCFIIIに惚れこんだらしいですね。うーん、とっても素敵です。テンペストが入っている盤もあって探し中(→Amazon)。ていうか、ヤフオクで競り合い、相手も相当欲しそうだと思って諦めた(負けた)のですが、無理してでも買っておくべきだったかも、と後悔。
ウィリアム・ハドソン・オハンロン著 森俊夫・菊池安希子訳『ミルトン・エリクソン入門』金剛出版,1995 (→Amazon)を読み終えた。面白いやら感心するやら尊敬するやら患者が羨ましいやら!!!
11/7(日)
ロベルト・ロッセリーニ『イタリア旅行』(伊=仏・1953)。風景が心の鏡となり目に映る。それによって妻は、一度客観的に自分の気持ちを見つめることができたのかもしれない。それがますます彼女を意固地にしていったような気がした。観客である私も、彼女と同じ目で風景を眺める。しかし、最後の怒涛のようなシーンでは客観化するような時間がなく、だからこそ彼女は頭で考えこまずに行動できたのかもしれない。
11/4(木)
昨晩から鼻がつまると思ってたら今朝からは逆の状態と熱が少々。色気度外視でトイレットペーパーをひとまき、手元に置いて使いまくる。もうずいぶんと細くなってまいりました。時々ぶぇくしょん!
とくしゃみする。私の風邪は鼻から!
11/3(水)
昨日、知人からのメールで、「TVでIQテストやるよ」と言われて、「なにそれ?」と聞いてみると、テレビ朝日でそういう番組があるらしかった。祝日の今日も出勤だったので会社のみんなでTV見ながらやるかも、などと言う。ちょっと面白そうだと思って調べてみたら、「テスト・ザ・ネイション」という番組で、昨年もやっていたみたいだ。解答用紙をダウンロード、印刷し、TV見ながらやろうと用意していたら、知人から帰宅したとメール。テストの合間やCM中に、できたできなかった意味わからん、とやりとりしながら回答。結果は、IQ129でした。結構どきどきして面白かった。その後、「前田さんのマジックやっているよ!」と続いてメールが来たので、チャンネル回して見ています。大統領選はブッシュっぽいし。前田さんと、NHKニュース10に出ている若い男のアナウンサーの人って似てるよね。
11/2(火)
石原俊『いい音が聴きたい−実用以上マニア未満のオーディオ入門』岩波アクティブ新書(→Amazon)を読み終わる。楽しそうに語ってます。
榛野なな恵『ピエタ』(1)(2)集英社ヤングユーコミックス(→Amazon)。音楽をかけながら読んでいて、理央が「目が覚めたとき そばにいてくれる?」というシーンでちょうどブラームスのOp.118-2が流れ始めた。こんな美しすぎる環境に、「ぐおー、タイミングできすぎだろうよー」と酔いつつ泣きそう。苦手な描写(自傷行為)にはあわてて目をそらして避けたというのに、それを除いてもやたらと心臓がバクバクする物語でした。落ち着いて読めなかった。ピリピリとゆったりが化学反応を起こして未来へ歩みはじめる。北風と太陽? 番外編で崖に立った理央が「こわい」と言ったのがとっても印象的だった。死が近しいものではなくなったことのあらわれだろうか、以前の彼女では考えられないセリフ。
11/1(月)
角川書店「本の旅人」11月号、出久根達郎「記憶の本を」。筑摩書房「ちくま」11月号、なだいなだ「試験という重圧」が良かった。同「ちくま」の岸本佐知子「ネにもつタイプ」はいつにも増してめっぽう面白い!!!
斉須政雄『十皿の料理』朝日出版社(→Amazon)が届いたのを、最初からきちんと読まずそばにおいて時々開いてはそこを読むというふうにつきあっている。