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紅楼の悪夢/R.ファン・ヒューリック

The Red Pavillion/R.van Gulik

1964年発表 和爾桃子訳 ハヤカワ・ミステリ1752(早川書房)

 三十年前の事件の、夕焼けによる現場(及び犯人の服装)誤認トリックはよくできています。また、それを成立させるための紅堂楼という舞台設定も見事です。

 余談ですが、これと同じようなトリック(あるいは(以下伏せ字)逆のパターン、すなわちもともと赤い服を、夕焼けに染まった白い服だと誤認するトリック(ここまで)だったかもしれません)をどこかで目にしたような記憶があるのですが、作品名が思い出せません(*)。どなたか心当たりのある方はご教示下さい。

 二転三転する事件ですが、最後に李進士を登場させることによる解決は鮮やかです。序盤(本文23頁)に姿を見せた時点で、後々重要な役割を果たす人物であろうことは予想できたのですが……。李進士が妓女・琅娘のかつての恋人として登場した時点で、すべてがぴったりと納まった印象を受けます。

*(2015.08.28追記) カーター・ディクスン『時計の中の骸骨』の中で、可能性の一つとしてこれが検討されていました(ハヤカワ文庫版135頁~136頁)

2004.06.15読了