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私感訳注:
※この作品は『花間集』巻一にある。女性の目から見た好ましい男性の姿である。
※手裏金鸚鵡:(その男性は)手の中には、黄金製の鸚鵡杯を(持ち)。 ・手裏:手の中に。 ・金鸚鵡:杯。黄金製の酒器、「鸚鵡杯」のこと。李白の『襄陽歌』や駱賓王に「鸚鵡杯中浮竹葉,鳳凰琴裏落梅花。」と使われる。
※胸前綉鳳凰:(その男性の)衣服の前面には、ホウオウの縫いとりがしてある。 ・胸前:衣服の前面に。・綉:刺繍がしてある。縫いとりがしてある。 ・鳳凰:ホウオウ。前出、駱賓王の詩でも「鸚鵡」といえば「鳳凰」と返している。対句の常套表現でもある。
※偸眼暗形相:こっそりと様子をうかがい盗み見る。 ・偸眼:盗み見る。 ・暗:ひそかに。こっそりと。 ・形相:〔けいさう;xing2xiang1〕みつもる。目算する。 人相。顔かたち。姿。ここは、前者、動詞の意。後者は:〔けいしゃう;xing2xiang4〕。
※不如從嫁與:嫁いで(夫婦となった)方がいい。 ・不如:…た方がいい。…に及ばない。しかず。 ・從嫁與:…に嫁ぐ。 ・從:…にしたがう。…につく。従軍、従父の従。 ・嫁:とつぐ。 ・與:〔動詞+與〕…に。
※作鴛鴦:夫婦となる。 ・作:…となる。・鴛鴦:夫婦。めおと。
◎ 構成について
単調 二十三字。温庭のこの作品が単調の南歌子の最初のものになる。詞牌は唐の教坊の曲名よりおこる。同調異名がきわめて多い。仄韻一韻到底。韻式は「AAA」。韻脚は「凰相鴦」で詞韻第二部七陽。「相」は両韻で、ここは○の意。下の詞調はこの作品のもの。
●●○○●,
○○●●○。(韻)
○●●○○,(韻)
●○○●●,
●○○。(韻)
となる。
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