乾坤能大, 算蛟龍、元不是池中物。 風雨牢愁無著處, 那更寒蟲四壁。 槊題詩, 登樓作賦, 萬事空中雪。 江流如此, 方來還有英傑。 堪笑一葉漂零, 重來淮水, 正涼風新發。 鏡裏朱顏都變盡, 只有丹心難滅。 去去龍沙, 江山回首, 一綫青如髮。 故人應念, 杜鵑枝上殘月。 |
江月******************
乾坤 能(か)く 大なれば,
算(かんが)ふるに 蛟龍、 元々 是れ 池中の物にあらざらん。
風雨 牢愁 著く 處 無く,
那(なん)ぞ 更に 寒蟲 四壁するを。
槊(ほこ)を たへ 詩を 題し,
樓に 登り 賦を 作るも,
萬事 空中の雪たり。
江流 此(か)くの如く,
方(まさ)に 還(な)ほ 英傑の來(あらは)るる 有らん。
笑ふに堪へん 一葉 漂零し,
重ねて 淮水に 來(きた)れば,
正に 涼風 新たに 發せんとす。
鏡裏の 朱顏 都(すべ)て 變じ盡くし,
只だ 丹心の 滅じ難きが 有るのみ。
龍沙に 去り去らんとし,
江山に 首(かうべ)を回(めぐ)らせば,
一綫 青きこと 髮の如し。
故人 應(まさ)に念(おも)ふべし,
杜鵑 枝上の 殘月を。
2003.10.10 10.11 10.12 10.13完 2005.10.30補 2007. 3. 5 2019. 6.20 |