池洲翠微亭
宋・岳飛
經年塵土滿征衣,
特特尋芳上翠微。
好水好山看不足,
馬蹄催趁月明歸。
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。
池洲の翠微亭
經年の 塵土 征衣に 滿ち,
特特 芳
(はな)
を 尋ねて 翠微に 上
(のぼ)
る。
好水 好山 看れども足らず,
馬蹄 月明に 趁
(のり)
て 歸るを 催す。
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◎ 私感訳註:
※岳飛:宋代相州湯陰の人。抗金の英雄。主戦派。そのため、講和派の秦檜の讒言により、罪を得て謀殺される。漢民族の英雄とされる。
※池州翠微亭:池州の翠微亭。 ・池州:現・安徽省の長江南岸の貴池市。黄山の北西、李白の『秋浦歌』
で有名な秋浦河の近く。 ・翠微亭:貴池市の斉南山の翠微(中腹・八合目)にある。普通名詞「翠微の亭」の感がある。なお、晩唐の杜牧はここの斉山に登った詩を遺している。『九日齊山登高』「江涵秋影雁初飛,
與客攜壺上
翠微
。塵世難逢開口笑,菊花須插滿頭歸。但將酩酊酬佳節,不用登臨恨落暉。古往今來只如此,牛山何必獨霑衣。」
そこでの「翠微」とは、山の中腹・八合目の意。
※經年塵土滿征衣:年来(の戦闘で)チリと土が軍服に満ちて。 ・經年:一年中。幾年も過ごすこと。年来。平年。 ・塵土:チリと土。汚れたもの。 ・滿:いっぱいになる。 ・征衣:軍服。
※特特尋芳上翠微:わざわざ(/(馬に乗って)パカパカと)花を探し求めて、翠微亭にのぼった。 ・特特:わざわざ。故意に。特に。また、擬声語として馬の蹄(ひづめ)の音「パカパカ」。 ・尋芳:花を探し求める。 ・上:のぼる。 ・翠微:山の中腹・八合目の意だが、ここでは、翠微亭の意になる。
※好水好山看不足:すばらしい川の流れや山の眺めは、いつまで見ても見飽きない。 ・好水好山:すばらしい川の流れや山。 ・看不足:見飽きない。いつまで見ても充分でない。
※馬蹄催趁月明歸:馬蹄の音が、月明かりにの内に帰ることを促している。 ・馬蹄:馬のひずめ。ここでは、馬蹄の音になる。 ・催:うながす。 ・趁:…に乗じて、…の内に。乗る。 ・月明:月明かり。
◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「餘孤書」で、平水韻上平六魚(書余)七虞(孤)。次の平仄はこの作品のもの。
●●○○●●○,(韻)
○○●●●○○。(韻)
●●●○○●●,
○○●●●○○。(韻)
2003.10.23
10.24完
2010. 6. 8補
2019. 7.27
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