贈別崔純亮
唐 孟郊
鏡破不改光,
蘭死不改香。
始知君子心,
交久道益彰。
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。
崔純亮に贈別す
鏡 破れて 光 改まらず,
蘭 死して 香 改まらず。
始めて知る 君子の心,
交わり 久しくして 道 益
(ますま)
す 彰
(あきら)
かなるを。
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◎ 私感訳註:
※孟郊:中唐の詩人。751年(天寶十年)〜814年(元和九年)。字は東野。貞曜先生と私謚された。湖州武康(現・浙江省コ清)の人。賈島とともに苦吟詩人の代表とされる。
※贈別崔純亮:崔純亮の旅立ちに詩を贈る。 ・贈別:人の旅立ちに詩を餞別として贈る。人を見送る。 ・崔純亮:『舊唐書・列傳・崔玄亮』では、崔玄亮の弟。山東磁州の人。一族には兄の「崔玄亮字晦叔,山東磁州人、…弟純亮、寅亮相次升進士科,藩府辟召,而玄亮最達。玄亮孫貽孫,位至侍郎。」と記録が残されている。
※鏡破不改光:鏡が割れても、(その)輝きは変わることがなく。 ・鏡破:鏡が割れる。 ・不改:変わらない。 ・光:輝き。
※蘭死不改香:蘭が枯れることがあっても、(その)香りは変わることがない。 ・蘭死:ここでは、蘭が枯れることになる。 ・蘭:フジバカマ。菊科の草本で、秋に薄紫の花を著ける。気節の芳しいことをもいう。
『楚辞』「離騒」に「
朝飮
木蘭
之墜露兮
,夕餐秋菊之落英。」
、陳子昂『感遇三十八首』其二に「
蘭
若生春夏
,
蔚何青青。幽獨空林色,朱
冒紫莖。遲遲白日晩,嫋嫋秋風生。歳華盡搖落,芳意竟何成。」
と気節の高さを表すものとしても使われている。 ・香:かおり。
※始知君子心:君子の交わりについての心がけがやっと分かった。 ・始知:やっと分かった。 ・始:やっと。はじめて。 ・知:分かる。知る。 ・君子心:徳のある人の交わりは、水のようにあっさりとしているが、長く変わらない、ということ。『莊子・山木』に「且君子之交淡若水,小人之交甘若醴。君子淡以親,小人甘以絶。」とある。『論語・子罕篇』には「子曰:歳寒,然後知松柏之後彫也。」とある。
※交久道益彰:交際が長くなればなるほど、その人物の美徳が一層明らかになってくるものだ。(そのように、今後は離れていても、偕に「君子淡以親」の精神を顕彰し続けよう)。 ・交久:交際が長くなる。 ・交:交わり。 ・久:長い。久しい。 ・道:人の践(ふ)みおこなうべき道筋。人の行為や生き方について規範とすべき筋道。聖賢の訓え。 ・益:ますます。いよいよ。副詞。 ・彰:〔しゃう;zhang1○〕顕れる。あきらかになる。顕著になる。あらわす。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「光香彰」で、平水韻下平七陽。次の平仄はこの作品のもの。第三句末が「心」(○)となるのは、めずらしい。
●●●●○,(韻)
○●●●○。(韻)
●○○●○,
○●●●○。(韻)
2005.5.15
5.16
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