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西風飄一葉,
庭前颯已涼。
風池明月水,
衰蓮白露房。
其奈江南夜,
綿綿自此長。
新秋
西風 一葉を 飄(ひるが)へし,
庭前 颯(さつ)として 已(すで)に 涼し。
風池 明月の水,
衰蓮 白露の房。
其(そ)れ 江南の夜を 奈(いか)んせん,
綿綿として 此(こ)れより 長からん。
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◎ 私感註釈
※白居易:中唐の詩人。772年(大暦七年)〜846年(會昌六年)。字は楽天。号は香山居士。官は武宗の時、刑部尚書に至る。平易通俗の詩風といわれるが、詩歌史上、積極的な活動を展開する。晩年仏教に帰依する。
※新秋:新たに訪れた秋を詠う。
※西風飄一葉:秋風が一枚の葉を落とし。 ・西風:秋風。 ・飄:〔へう;piao1○〕落とす。風に漂う。ひるがえす。 ・一葉:一枚の葉。
※庭前颯已涼:庭先には、風がさっと吹いていて、すでに涼しい(秋が来ている)。 ・庭前:庭先。 ・颯:〔さつ;sa4●〕風がさっと吹くさま。風がさっと吹く音。 ・已:とっくに。すでに。 ・涼:(秋の訪れで)涼しい。
※風池明月水:風が吹いてさざ波が立つ池に、澄みわたった月が、水面を照らしている。 ・風池:風が吹いてさざ波が立つ池。 ・明月水:澄みわたった月が、水面を照らしているさま。
※衰蓮白露房::秋口になって衰えてきたハスに、透き通って耀く露。 ・衰蓮:秋口になって衰えてきたハス。 ・白露:透き通って耀く露。 ・房:蜂の巣状の蓮の花托。中に実がついている。≒蓮房。
※其奈江南夜:一体どうしようか、江南の夜を。 ・其奈:一体どうしようか。 ・其:一体。発語の助辞。その。それ。 ・奈:〔な、だい;nai4●〕いかん。いかんせん。いかんぞ。 ・江南:長江下流の南岸部。風光明媚な豊饒の地。
※綿綿自此長:ずうっと、これからは、夜長になっていくのだ。 ・綿綿:長長と続いて、絶えないさま。どこまでも続いているさま。また、かすかなさま。 ・自此:これより。今後。 ・長:秋の夜長になることを謂う。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「涼房長」で、平水韻下平七陽。次の平仄はこの作品のもの。
○○○●●,
○○●●○。(韻)
○○○●●,
○○●●○。(韻)
○●○○●,
○○●●○。(韻)
2005.8.28 8.29 8.30 |
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