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半朽臨風樹,
多情立馬人。
開元一株柳,
長慶二年春。
勤政樓西の老柳
半朽なり 風に 臨む樹,
多情なり 馬を立つる人。
開元 一株の柳,
長慶 二年の春。
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◎ 私感註釈
※白居易:中唐の詩人。772年(大暦七年)〜846年(會昌六年)。字は楽天。号は香山居士。官は武宗の時、刑部尚書に至る。平易通俗の詩風といわれるが、詩歌史上、積極的な活動を展開する。晩年仏教に帰依する。
※勤政樓西老柳:玄宗皇帝が創建した勤政楼の西にある老いた柳を眺めながら、開元の治の盛時を憶い、懐旧の情に耽っていることを詠う。「勤政楼」「老柳」「開元」と、古き良き時代を偲ぶ言葉が並んでいる。 ・勤政樓:唐代、長安の宮城の西域にあった楼。玄宗が創建、そこで政治を執り行った。位置は故宮で謂えば、武英殿あたりになろうか。 ・老柳:年老いたヤナギ。
※半朽臨風樹: ・半朽:〔はんきう;ban4xiu3●●〕半ばは朽ちている。朽ちかけた。 ・臨風:風に吹かれている。風に当たって(枝を動かしている)。 ・樹:ここでは、ヤナギの木のことになる。
※多情立馬人: ・多情:感情に富む。感受性が多い。移り気(な)。気まぐれ(の)。 ・立馬:馬をとどめて立てる。馬をとどめる。 ・立馬人:馬をとどめて立ちどまっている作者自身のこと。
※開元一株柳: ・開元一株柳: ・開元:開元元年(713年)〜開元二十九年(741年)。作者が詠った時代から80年ほど遡る、開元の治の盛時をいう。我が国で謂えば、明治大正の往時を懐かしむようなものになるか。 ・一株:一本の。
※長慶二年春: ・長慶二年:この作品が作られた時。822年。作者は51歳になる。
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◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「人春」で、平水韻上平十一真。偶体絶句で、唐・王王之渙『登鸛雀樓』(白日依山盡)同様、第一聯が対に、第二聯も対になって、四句全てが対になっているものの一になる。次の平仄はこの作品のもの。「株」字が苦しい。
●●○○●,
○○●●○。(韻)
○○●○●,
○●●○○。(韻)
2005.8.28 |
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