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南陵水面漫悠悠,
風緊雲輕欲變秋。
正是客心孤迥處,
誰家紅袖凭江樓。
南陵道中
南陵の 水面 漫 悠悠として,
風 緊(きつ)く 雲 輕(かろ)やかに 秋に變ぜんと欲す。
正(まさ)に是(こ)れ 客心 孤(ひと)り迥(はる)かなる處,
誰(た)が家の 紅袖ぞ 江樓に凭(よ)るは。
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◎ 私感註釈
※南陵道中:南陵への途上にて。 ・南陵:現・安徽省南陵。安徽省東南部の長江の南にある町。町中を北流して長江に注ぐ支流が通っている。この作品は、おそらくこの川を長江の方から上って行ったときのものになるだろう。
※南陵水面漫悠悠:南陵への川面は、水が広々、悠々としている。 ・漫悠悠:ゆったりと広がっている。ABB型の表現。 ・漫:水が広々と広がっているさま。
※風緊雲輕欲變秋:風がきつく、雲が軽やかに流れて、(季節の巡りは)秋になろうとしている。 ・風緊:風がきつい。後世、宋・秦觀が『如夢令』「遙夜沈沈如水,風緊驛亭深閉。夢破鼠窺燈,霜送曉寒侵被。無寐,無寐,門外馬嘶人起。」と使う。 ・雲輕:(風が強いために)流れていくさまをいう。
※正是客心孤迥處:ちょうど旅情がひとりはるかなところへ思いを馳せているとき。 ・正是:ちょうど。 ・客心:旅をしたときの思い。旅情。 ・迥:はるかな。遠い。
※誰家紅袖凭江樓:どこのうら若い女性だろうか、川沿いの建物(の欄干)に寄り添って(思いに耽って)いるのは。 ・紅袖:赤く美しい袖のある着物を着た若い女性。歳若い女性の喩え。 ・凭:よりかかる。もたれる。よる。「凭欄」、「凭樓」は、高い建物に登って遠くを眺めやってにもの思いに耽っていることをいう。詞では、祖国の現状に思いを致して慨嘆したり、離れたところにいる恋人に思いを致すときに、屡々使う。 ・江樓:川沿いの(旅館などの)建物。現代風にいうと、港町のホテル。
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◎ 構成について
五言絶句。平起。韻式は、「AAA」。韻脚は「悠秋樓」で、平水韻。次の平仄はこの作品のもの。
○○●●●○○,(韻)
○●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
○○○●○○○。(韻)
2003.2.10完 2007.4.19補 |
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