禮讓
張英
千里修書只爲牆,
讓他三尺有何妨。
長城萬里今猶在,
不見當年秦始皇。
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。
禮讓
千里 書を修するは 只だ牆の爲,
他
(かれ)
に 三尺を讓るも 何ぞ妨
(さまた)
げ有らんや。
長城 萬里 今 猶ほ在るも,
見えず 當年の 秦始皇。
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◎ 私感訳註:
※張英:清代の官員。郷里で屋敷の境界を繞っての諍いがあり、都で官員になっている張英に、掩護を求めてきた。それに対しての返事の詩。この詩の意を解した郷里では、塀を三尺さげた。その行為に対して、隣家でも塀を三尺後退させた。結果、道幅は幅広い一丈六尺となり、その徳行が称えられたという、故事の詩。
※千里修書只爲牆:はるばると手紙を書いて(寄こした)のは、ただ土塀のためだけ(だったのか)。 ・千里:長大な距離をいう。はるばると。 ・修書:手紙を書く。 ・只:ただ…だけ。 ・爲:…のため。 ・牆:〔しゃう;qiang2○〕かきね。土塀。
※讓他三尺有何妨:そちらさんに一メートルばかり譲るのが、いったいどのような妨(さまた)げとなるのか。いったい、どんな困ることがあるというのか。 ・讓:ゆずる。 ・他:彼。三人称。 ・三尺:約一メートル。清代の1尺は、32cm。 ・有何妨:いったいどのような妨(さまた)げとなるのか。どんな困ることがあるというのか。 ・妨:妨(さまた)げ。じゃま。
※長城萬里今猶在:長城の万里(の規模)は、今もなお存在しているが。 ・長城:万里の長城。 ・萬里:果てしもない長さ。 ・猶:なおも。今に到るまでずっと。 ・在:存在している。
※不見當年秦始皇:(それを造った)そのかみの秦の始皇帝の姿は見えなくなっている。万里の規模を造れる者でさえ、人の営みははかないものなのだ。ましてや、僅かな土塀で愚かしいことを言うな。 ・不見:いなくなる。見あたらなくなる。 ・當年:〔たうねん;
dang1
nian2○○〕往時の。当時の。その頃の。そのかみの。 ・秦始皇:秦の始皇帝。ここでは、万里の長城を築いた者の意で使われている。
◎
構成
について
韻式は「AAA」。韻脚は「牆妨皇」で、平水韻下平七陽。次の平仄はこの作品のもの。
●●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○○●○。(韻)
2006.5.7
5.9
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