洛陽陌上春長在,
昔別今來二十年。
唯覓少年心不得,
其餘萬事盡依然。
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洛陽の春
洛陽の陌上(はくじゃう) 春 長(とこし)へに 在(あ)り,
昔 別れ 今 來(きた)る 二十年。
唯(た)だ 覓(もと)むるに 少年の心のみ 得ず,
其の餘は 萬事 盡(ことごと)く 依然たり。
◎ 私感註釈 *****************
※白居易:中唐の詩人。772年(大暦七年)〜846年(會昌六年)。字は楽天。号は香山居士。官は武宗の時、刑部尚書に至る。平易通俗の詩風といわれるが、詩歌史上、積極的な活動を展開する。晩年仏教に帰依する。
※洛陽春:東都・洛陽の春。
※洛陽陌上春長在:洛陽の街には、春が永遠にある。 ・洛陽:唐の東都。 ・陌:〔はく;mo4●〕みち。街。街路。 ・「洛陽陌」で洛陽の街。中唐・孟郊の『再下第』に「一夕九起嗟,夢短不到家。兩度長安陌,空將涙見花。」とある。 ・長:とこしえに。永遠に。長く。 ・在:ある。
※昔別今來二十年:昔、(洛陽の春に)別れて去って、今、二十年ぶりに帰ってきた(ら、やはり洛陽は春であった)。 *作者が出立した時と帰着した時とが、ともに春であったことから、洛陽を称える気持ちも手伝って「洛陽は、いつも春である」と誇張して表現している。 ・昔別:昔(洛陽)に別れて去った。ここは、「惜別」ともする。その場合は「(昔、洛陽の春に)別れを惜しんだ」の意になる。 ・今來:今、(洛陽に)帰ってきた。 ・二十年:ここでは、二十年ぶりの意のことになる。
※唯覓少年心不得:(天地の間の春景色は、二十年の間、不変であったが、)ただ、(わたしの)若かった頃の心(の華やぎは)さがしもとめることができなかった。 *自然には変化がないが、わたしには大きな変化があった。 ・唯:ただ…だけである。後世、北宋・沈存中(沈括)は『歎老』で「唯覓少年心不得,當時感舊已潸然。情懷此日君休問,又老當時二十年。」と使う。 ・覓:〔べき;mi4●〕もとめる。さがしもとめる。 ・少年:わかもの。ここでは、作者が年若かった時代のことをいう。 ・−不得:動詞の後について…することができない。…られない。「心不…」:心に…できないの意で、「覓(少年心)不得」で「覓不得」の意。
※其餘萬事盡依然:(わたしの若さ)以外は、すべてのことがことごとく、変わらないで、もとのままである。 *「人」と「天」(「地」)とを対比させ、移ろいゆくものと不変であるものとを強調している。 ・其餘:その他。その外。 ・萬事:すべてのこと。あらゆること。 ・盡:ことごとく。 ・依然:〔いぜん;yi1ran2○○〕もとのままである。変わらないで、同じである。
◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「年然」で、平水韻下平一先。次の平仄はこの作品のもの。
●○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
○●●○○●●,
○○●●●○○。(韻)
2006.3. 5完 2009.3.24補 2011.1.31 |
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