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      春風 

                 白居易

春風先發苑中梅,
櫻杏桃梨次第開。
薺花黄莢深村裏,
亦道春風爲我來。

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春風
                       
春風 先
(ま)づ 發(ひら)く  苑中の梅,
櫻杏 桃梨  次第に 開く。
薺花
(せいくゎ) 楡莢(ゆけふ)  深村の裏(うち)
(また)(い)ふ  春風 我が爲に來れりと。

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◎ 私感註釈

※白居易:中唐の詩人。772年(大暦七年)〜846年(會昌六年)。字は楽天。号は香山居士。官は武宗の時、刑部尚書に至る。平易通俗の詩風といわれるが、詩歌史上、積極的な活動を展開する。晩年仏教に帰依する。

※春風:天下に春を齎す春風を詠う。春風が春の現象を齎す、という発想で作る。

※春風先發苑中梅:春風が、先ず一番に咲かせるのは庭園の梅の花であって。 ・先發:一番に咲かす。先ず開かしめる。 ・苑中梅:庭園の梅の花。禁中の梅の花。

※櫻杏桃梨次第開:(その次には)櫻(ユスラウメ)、杏(アンズ)、桃(モモ)、梨(ナシ)の花と、次第に咲いていく。 ・櫻:ユスラウメ。 ・杏:アンズの花。 ・桃:モモの花。 ・梨:ナシの花。 ・次第:だんだんと。次から次へと。白居易『觀幻』「有起皆因滅,無不暫同。從歡終作,轉苦又成空。次第花生眼,須臾燭過風。更無尋覓處,鳥跡印空中。」、後世、晩唐の杜牧は『過華清宮絶句』「長安回望繍成堆,山頂千門次第。一騎紅塵妃子笑,無人知是茘枝來。」と使う。 ・開:咲く。「開」は○で使い、前出「發」や「著」「咲」「笑」は●で使う。ここは当然○で、韻脚でもある。

※薺花楡莢深村裏:(前述の花に対して)ナズナの花やニレの実は、田舎にあっての風物で。 ・薺花:ナズナの花。これは、菜の花ではなかろうか。 ・楡莢:ニレの実。春の風物という。 ・深村:奥深い村里。人里から遠く離れた村落。 ・裏:なか。…に。前出「中」と同じ用法だが「裏(裡)」は●のところで、「中」は○のところで使う。

※亦道春風爲我來:なんとまた言うことには、春風がわたしのために(春を運んで)来てくれた、と。 ・亦:…もまた。やはり。なんと。 ・道:(ことばを)言う。ものを言う。「言」は○で使い、「道」は●のところで使う。ここは●とすべきところで「道」が相応しい。 ・爲我:わたしのために。

               ***********




◎ 構成について

韻式は、「AAA」。韻脚は「梅開來」で、平水韻上平十灰。次の平仄はこの作品のもの。

○○○●●○○,(韻)
○●○●●●○。(韻)
●○○●○○●,
●●○○●●○。(韻)

2007.5.22

漢詩 填詞 詩餘 詩余 

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