恬靜.雁羣飛過 荒蕪的處女地 老樹倒下了,然一聲 空中飄落着鹹渋的雨 |
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愛情
靜かである.雁の群が飛び去ってゆく
荒れはてた処女地
老いた木が倒れてきて,ガラガラと音をたて
空(そら)から 塩辛くて渋い雨が 漂い落ちてきた
◎ 私感註釈 *****************
※北島:文革期と文革終焉時の詩人。本名は趙振開。浙江省湖州の籍。北京生まれ。この作品は、『天安門−知識分子与中国革命』史景遷(Jonathan D.Spence)原著。尹慶軍漢訳。版次:1998年北京・中央編訳出版社)の最終部分に引用される北島の一連の詩の一。詩の総題目は『太陽城札記』で、このページのものは『愛情』と題されている。当該書は漢語訳のため、『北島詩選』新世紀出版社1986年版21〜25頁によるとする。北島の作品は民国時代の詩と同様、韜晦である。不安定な時代がそうさせたのだろう。 ・太陽城:太陽のまち。 ・札記:読書時のメモ。剳記。文化大革命の始まった頃に、廖沫沙、呉ヨ、ケ拓の三人共著『三家村札記』が問題とされた。
※恬靜:〔てんせいtian2jing4○●〕しずかに落ち着いている。落ち着いていて静か。
※雁羣飛過:カリのむれが飛び去っていく。 ・雁羣:カリのむれ。 ・飛過:飛び去る。飛び過ぎて行く。
※荒蕪的處女地:荒れはてて、雑草が生い茂っている未開墾の土地(の上を)。 ・荒蕪:土地が荒れはてて、雑草が生い茂っている。 ・的:二音(二字)形容詞と名詞の間にあって、名詞を修飾する辞。 ・處女地:未開墾の土地。まだ人によって利用されていない、自然のままの土地。
※老樹倒下了,然一聲:歳をとった樹が、ガラガラと音を立てて倒れてきた。 ・老樹:歳をとった樹木。ここでは、毛沢東の死去を謂う、と見るのが自然。 ・倒下:たおれる。 ・了:…てきた。完了や完成、変化を表す辞。 ・然:〔かつぜん;ga1ran2●○〕ガラガラと。がくんと。擬声語。 ・一聲:一音をあげる。一度、音を出す。動詞。
※空中飄落着鹹渋的雨:空には塩辛くて渋い雨が漂いながら落ちてきた。 ・空中:空中を。空中に。 ・飄落:〔へうらく;piao1uo4○●〕舞い落ちる。飛び散る。ただよう。ただよい落ちる。 ・…着:…ている。動詞の後に附き、動作の継続、進行を表す辞。 ・鹹渋:塩辛くて渋い。 ・雨:苦い涙のような雨になろうか。
◎ 構成について
平仄は、意識されていない。押韻していない。
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●●●●●,●○●○
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2007.2. 9 2.10 |
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