春愁難遣強看山, 往事驚心涙欲潸。 四百萬人同一哭, 去年今日割臺灣。 |
春愁
春愁 遣 り難 く強 ひて山を看れば,
往事 心を驚かして 涙潸 たらんと欲す。
四百萬人 同一に哭 す,
去年の今日臺灣 を割 く。
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◎ 私感訳註:
※丘逢甲:清末、台湾の詩人。教育家。同治三(1864年)〜1912年中国。台湾苗栗県の人。漢文教師の子と して台湾に生まれる。字は仙根。号して倉海、仲閼。光緒十五年の進士。日清戦争による日本の台湾占領に際し、台湾巡撫らと台湾民主国を建て独立を宣し、義勇軍を率いて抗日戦を行なったが、敗れて大陸に逃れた。以後、広東にあって教育に努め、維新派・革命派の詩人と交わった。
※春愁:春の物思い。詩中のことから、作者は大日本帝国と清王朝との日清戦争の日清講和条約(=下関条約/馬関条約)に調印した日の一周年目、すなわち、1896年(明治二十九年/光緒二十一年)の4月17日に作ったことになる。
※春愁難遣強看山:春の愁(うれ)いがなかなか追い払えないので、強(し)いて山を見た(が)。 ・難:むずかしい。 ・遣:(うさを)晴らす。おいはらう。やる。 ・強:無理に…する。しいて。
※往事驚心涙欲潸:過ぎ去った昔の出来ごとに心を驚かせて、涙がながれようとする。 ・往事:過ぎ去った事柄。昔のこと。過ぎ去った昔の出来ごと。 ・驚心:心を驚かす。 ・欲:…しようとする。ほっす。 ・潸:〔さん;shan1◎〕涙の流れるさま。また、雨の降るさま。ここは前者の意。南宋・陸游の『識媿』に「幾年羸疾臥家山,牧竪樵夫日往還。至論本求編簡上,忠言乃在里閭間。私憂驕虜心常折,念報明時涕毎潸。寸祿不沽能及此,細聽只益厚吾顏。」とある。
※四百万人同一哭:四百万人(の台湾の人口)が皆、声をあげて泣く。 ・四百万人:当時の台湾の人口で、閩(=福建)籍と粤(=広東)籍を合わせたもの。台湾島の住民は、漢民族や台湾原住民。 ・哭:声をあげて泣く。
※去年今日割台湾:(それは)去年の今日、台湾が(日本に)割譲された(からなのだ)。 ・去年今日:一年前の今日この日。つまり、1895年(明治二十八年)4月17日(光緒二十一年3月23日)のこと。この日に大日本帝国と清王朝との日清戦争の日清講和条約(=下関条約/馬関条約)に調印した日。 ・割:割譲する。わる。さく。分け与える。 ・台湾:(以下、wikipediaより要旨を抜粋)かつては「フォルモサ」 (ポルトガル語: Formosa, 「麗しの島」) として知られた台湾島は、漢民族が同島に移住し始めた17世紀における大航海時代のオランダ及びスペインの殖民まで、台湾原住民が主に居住していた。1662年、明朝再興派の支持者である鄭成功はオランダを追放し、同島初の政治的実体である東寧王国を設立した。清は後に東寧王国を破り、台湾島を併合した。台湾は1683年(康熙二十二年)以降、清朝による統治がされていた。
◎ 構成について
2020.9.17 9.18 9.19 9.20完 2021.1.24補 |
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