呉興雜詩 | |
清・阮元 |
交流四水抱城斜,
散作千溪遍萬家。
深處種菱淺種稻,
不深不淺種荷花。
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呉興 雜詩
交 はり流るる四水 は城 を抱 きて斜めに,
散じて 千溪と作 りて 萬家に遍 し。
深き處は菱 を種 え 淺きは 稻を種 え,
深からず淺からざるは荷花 を種 う。
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◎ 私感註釈
※阮元:清の経学者、政治家。乾隆二十九年(1764年)〜道光二十九年(1849年)。字は伯元。号して芸台 (うんだい)。儀徴(現・江蘇省)の人。乾隆五十四年の進士。高官を歴任した。終生読書・著述を廃したことがなく、経史・小学・天文・暦算・輿地・金石・校勘等に深い造詣があった。
※呉興雑詩:(現・浙江省)呉興での様々な詩。 *農民の農業に対する姿勢が画一的な対処ではなくて、情況に応じて柔軟に対応しているさまを詠ったもの。後世、そこに教訓を見出した。 ・呉興:〔ごかう(ごこう);Wu2xing1〕地名。現・浙江省北部の湖州市内。東苕渓(とうてうけい(とうちょうけい))と西苕渓とが合流し、北は太湖に面した要衝。
大きな地図で見る浙江省湖州市呉興(「吴兴」と表記)区
※交流四水抱城斜:まじわりあいながら流れる四周の四本の川は、城市(=まち)を抱(だ)きかかえる(ように)、斜めにかたむいて(流れ)。 ・交流:こもごも流れる。まじわり流れる。 ・四水:(東苕渓(とうちょうけい)、西苕渓…といった)四本の川。また、四周の川。まわりの川。 ・抱城:城市(=まち)を抱(だ)きかかえる(ように…といった)さま。 ・斜:〔しゃ;xie2○〕ななめである。かたむいている。ゆがんでいる。
※散作千渓遍万家:(四水は)枝分かれして、多くの谷川となって、極めて多くの家々にあまねく行きわたっている。 ・散作:散って…となる、の意。 ・千渓:極めて多くの谷川。 ・遍:〔へん;bian4●〕あまねく行きわたる。 ・万家:極めて多くの家々。
※深処種菱浅種稲:(水辺の湿原の)深いところにはヒシを植えて、浅いところにはイネを植えて。 ・深処:(水辺の湿原の)深いところ。「深処種菱浅種稲」は「深処種菱+浅種稲」といった句中の対の構成で、「深処」は「浅」と対。七言「□□□□+□□□」に収めるため、二字と一字という違いがある。 ・種:〔しゅ(しょう);zhong4●〕うえる。種を播く。動詞。蛇足になるが、「たね」(名詞)の意では〔しゅ(しょう);zhong3●〕。 ・菱:ヒシ。水草の一。ここでは、菱の実を食用として栽培されている。 ・稲:イネ。
※不深不浅種荷花:深くも浅くもない(中間の)ところには、ハスを植えている。 ・不深不浅:深くも浅くもない。深くも(なく、また)浅くもない。 ・不…不…:同類で反対の意味を示す語(ここでは「深」「浅」)の前に「不」を用いて、「…でなく、また…でもない」意を表現する形式。 ・荷花:ハス。ハスの花。ここは、前者の意。
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◎ 構成について
韻式は、韻式は、「AAA」。韻脚は「斜家花」で、平水韻下平六麻。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
○●●○●●●,
●○●●●○○。(韻)
2012.5.29 5.30 |
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