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  鷄 

                                    
清・袁枚
                        
養鷄縱鷄食,
鷄肥乃烹之。
主人計固佳,
不可使鷄知。



                             
           
    **********************
                (にはとり) 

(にはとり)()ひて  鷄をして(ほしひまま)()せしめ,
鷄 ()えなば  (すなは)(これ)()ん。
主人の計  (もと)より()けれども,
鷄をして ()使()()からず。

            ******************




◎ 私感訳註:

※袁枚:清代の詩人。1716年(康煕五十五年)〜1797年(嘉慶二年)。字は子才。号して簡齋。別号に隨園老人ともいう。銭塘(現・浙江省杭州)の人。乾隆年間の進士で、県令の任につく。やがて官を退き、江寧(金陵=現・南京附近)小倉山の隨園(別号に基づく)に隠棲する。詩では性霊説を唱えて、格調説に論駁する。

※鶏:にわとり。雞は本字。この詩は、後出・『論語・泰伯』に「子曰:民可使由之,不可使知之」に因る諷刺詩なのだろう。「鶏」とは『論語・泰伯』中の「民」に該当しよう。

※養鶏縱鶏食:鶏(にわとり)を飼うのには、鶏が喰うのに任(まか)せ。 ・養:飼う。やしなう。 ・縱:〔じゅう;zong4●〕放任する。勝手にさせておく。ほしいままにさせる/する。 ・食:〔
;si4●〕くわせる。くらわす。また、やしなう。育てる。=飼。ここは、前者の意。

※鶏肥乃烹之:鶏が肥えれば、そこで、これ(=鶏)を煮る。 ・肥:〔ひ;fei2○〕こえる。 ・乃:そこで。すなわち。上をうけて下文をおこす助字。 ・烹:〔はう;peng1○〕調理する。煮(に)る。 ・之:これ。鶏を指す。

※主人計固佳:(飼い)主のはかりごとは、もとより好いが。 ・主人:鶏の飼い主のことになるが、*『論語・泰伯』の句を参照すれば、君主・統治する人のことでもある。 ・計:はかりごと。たくらみ。計略。 ・固:もとより。もともと。 ・佳:よい。好い。=好。

※不可使鶏知:(それを)鶏に分からせてはいけない。  *『論語・泰伯』に「子曰:民可使由之,
不可使知。」とある。なお、「不可使鶏知」と「不可使知之」とは、発音が極めて似通っており、ここの詩句を読めば、自然と『論語』のこの句が思い起こされるようになっている。  ・不可-:…してはいけない。…べからず。 ・使-:(…に…を)させる。(…をして…)しむ。






◎ 構成について

韻式は「AA」。韻脚は「之知」で、平水韻上平四支。次の平仄はこの作品のもの。

●○●○●,
○○●○○。(韻)
●○●●○

●●●○○。(韻)
2016.7.20
     7.21
     7.22

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