江村晩眺 | |
南宋・戴復古 |
江頭落日照平沙,
潮退漁船閣岸斜。
白鳥一雙臨水立,
見人驚起入蘆花。
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江村 の晩眺
江頭 の落日 平沙 を照らし,
潮 退 きて 漁船 岸に閣 かれて斜めなり。
白鳥 一雙 水 に臨みて立ち,
人を見て 驚き起 って蘆花 に入 る。
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◎ 私感註釈
※戴復古:南宋の詩詞人。1167年〜(没年不詳)。字は式之。号は、故郷の南塘の石屏山に隠棲したことに因み、石屏と称する。天台黄岩(現・浙江省)の出身。江湖派の詩人として有名。江湖派とは、南宋中期、後期の詩歌流派の一で、江湖を流離った人々、つまり、進士試験の落第生や野にある知識人で、時の中央の詩壇に対して、下層社会(江湖)の中に出来あがった、社会の下層知識人の詩壇であると謂える。名の由来は、陳起が江湖(世間)の作品を集めて『江湖集』をはじめとして、『江湖×集』『江湖○集』という具合に、出版を続けたことによる。詩人は、本サイトに出てくる人物では、劉過、姜、劉克荘 、そしてこのページの戴復古などである。作風は、その社会的立場を反映して、中央政権や社会の中の矛盾には批判的な面を持ったものを、或いは、社会の第一線から身を引いて隠棲し、斜に構えた態度でのものが多い。
※江村晩眺:川辺の村の夕暮れの眺(なが)め。 *中唐・司空曙に『江村即事』「釣罷歸來不繋船,江村月落正堪眠。縱然一夜風吹去,只在蘆花淺水邊。」がある。 ・江村:川辺の村。川に沿った村。 ・晩眺:夕暮れの眺(なが)め、の意。
※江頭落日照平沙:川のほとりに日が落ちて、果てしなく広がっている砂原を照らして。 ・江頭:長江のほとり。曲江のほとり。(南方の)川のほとり。 ・平沙:果てしなく広がっている砂原。
※潮退漁船閣岸斜:潮が引いて、漁船が岸に斜めに置かれている。 ・潮退:潮が引く、意。 ・閣:〔かく;ge2●〕措(お)く。とどめる。やめる。船を岸につける。停泊する。=擱。
※白鳥一双臨水立:白鳥が一つがい、水辺に立っていた(が)。 ・一双:一つがい。二つで、ひと組みをなすもの。
※見人驚起入蘆花:人に見られて、おどろいて飛び立って、アシの花(の間)に入っていった。 ・驚起:おどろいて飛び立つ。また、おどろいて。 ・-起:方向補語で、物が動作によって下から上に向かって移動することを表す。 ・蘆花:アシの花。薬用にする。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「沙斜花」で、平水韻下平六麻。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●●○○,(韻)
○●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2018.7.23 7.25 7.26 2019.7.23 |
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