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春日偶成 | |
南宋~元・鄭思肖 |
百萬胡兒犯大朝,
奔南狩北恨迢迢。
我非辧得中興事,
一點英靈死不消。
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春日偶成
百萬の胡兒 大朝 を犯 し,
奔南 狩北 恨 み迢迢 。
我 中興 の事を 辧じ得 るに非ずんば,
一點の英靈 死すとも消 せず。
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◎ 私感註釈
※鄭思肖:(ていしせう/ていししょう;Zheng4Si1xiao)宋末~元初の儒生、画家、詩人。霊宝派の閣皂宗の道士。南宋・理宗淳祐元年(1241年)~元・延祐五年(1318年)。原名は之因。字は憶翁。号して所南。又た号して三外野人。連江(現・福建省福州連江県)の人で、南宋滅亡の後、一人で蘇州に隠生し、生涯独身を通した。
※春日偶成:春の日に偶然に出来上がった詩。
※百万胡児犯大朝:極めて多数の異民族(ここでは、モンゴル人)が南宋の王朝を侵略して来て。 ・百万:極めて多数を謂う。 ・胡児:えびす(=異民族)を軽んじて謂うことば。(児:「…の子供」の意は無い)。ここでは、モンゴル人の元(げん)のことになる。 ・大朝:(我が)りっぱな王朝。ここでは、南宋の王朝のことになる。 ・大:りっぱな。偉大な。
※奔南狩北恨迢迢:(天子が災難を避けて)北や南へと逃れたことについて、恨みは遥かである。 ・奔南狩北:天子が災難に巻き込まれることを避けて、北や南へと逃れること。天子が逃げることをはばかって、逃げるではなく狩りに行くと言っていたことから。 奔:〔ほん;ben1/ben4○/●〕走る。駆ける。 ・恨:(民族的な・公的な)うらみ。 ・迢迢:〔てうてう(現・ちょうちょう);tiao2tiao2○○〕遠いさま。遥かなさま。
※我非辧得中興事:わたしが衰えた国を興(おこ)すことをやり遂げなければ。 ・非:是非とも…ねばならぬ。(後に否定の語を続ける)「非…死不消」。 ・辧得-:…をやりとげる。…をやれる。…ができる。 ・中興:衰えていたのが再び盛んになること。
※一点英霊死不消:些かの英霊は、死んでも死にきれない。 ・一点:ごく僅(わず)か。少し。 ・英霊:優れた人の霊魂。 ・死不消:死んでも死にきれない。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「朝迢消」で、平水韻下平二蕭。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●○,(韻)
◎○●●●○○。(韻)
●○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2021.12.13 12.15 12.17 12.19完 2022. 2.16補 |
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