同樂天登棲靈寺塔 | |
劉禹錫 |
歩歩相攜不覺難,
九層雲外倚闌干。
忽然笑語半天上,
無限遊人舉眼看。
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樂天と同に棲靈寺の塔に登る
歩歩 相ひ攜へれば 難きを覺えず,
九層の雲外 闌干に倚る。
忽然として 笑ひて語る 半天の上,
無限の遊人 眼を舉げて看る。
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◎ 私感註釈
※劉禹錫:中唐の詩人。772年(大暦七年)〜842年(會昌二年)。白居易や柳宗元との詩の応酬も多い。白居易とともに『竹枝詞』や『楊柳枝』を作る等、前衛的、実験的なことに取り組む。字は夢得。監察御史、太子賓客。
※同樂天登棲靈寺塔:白居易とともに大明寺の棲霊塔に登った。 ・同:…とともに。…といっしょに。 ・樂天:白楽天のこと。楽天は白居易の字。 ・棲靈寺:現・江蘇省揚州市の北側すぐにある大明寺のこと。九重塔の棲靈塔がある。蛇足になるが、この大明寺は、奈良の唐招提寺に祀られている鑑真(鑒真)和上のいたお寺。鑑真和上が来朝した時は754年なので、この詩は鑑真和上が去ってより数十年後のことになる。
※歩歩相攜不覺難:一歩一歩と、手を携(たずさ)えあって登れば、難儀とは感じることはなく。 ・歩歩:一歩一歩と。 ・相攜:手を携(たずさ)えあう。 ・不覺-:…とは感じない。
※九層雲外倚闌干:九重(九階建て)になっている棲霊寺(せいれいじ=大明寺)の塔の雲よりも上の方で、欄干(らんかん)に寄りかかっている。 ・九層:九重の塔。九階。九層。 ・雲外:雲よりも上。雲の彼方。雲の向こう側。 ・倚:〔い;yi3●〕よりかかる。 ・闌干:らんかん。手すり。
※忽然笑語半天上:半(なか)ば天の上で、急に笑い声をあげて話し出したら。・忽然:〔こつぜん;hu1ran2○○〕不意に。たちまち。突然。 ・笑語:談笑する。 ・半天上:半(なか)ば天の上。
※無限遊人舉眼看:数限りない旅人が、見上げてきて見つめている。 ・無限:数限りない。 ・遊人:旅人。 ・舉眼看:見上げて見つめる。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「難干看」で、平水韻上平十四寒。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
●○●●●○●,
○●○○●●○。(韻)
2008.11.21 11.22 |
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