上官婉児上官婉兒遊長寧公主流杯池二十五首之十六　詩詞世界　碇豊長の詩詞：漢詩 Shangguan Wan'er

遊長寧公主流杯池二十五首之十六
	上官婉兒

泉石多仙趣，
巖壑寫奇形。
欲知堪悅耳，
唯聽水泠泠。

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長寧公主の流杯池に遊ぶ　二十五首之十六
　　

泉石　　仙趣　多く，
巖壑がんがく　　奇形を寫す。
耳に悅よろこばすに堪たふるを　知らんと欲ほっせば，
唯ただ　水の泠泠れいれいたるを　聽くのみ。

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◎　私感註釈

※上官婉兒：〔じゃうくゎん・ゑんじ；ShàngguānWǎn'ér〕「上官」は複姓の一。６６４年（麟徳元年）～７１０年（景龍四年／唐隆元年／景雲元年）。唐代の女官。唐・中宗の時、昭容の職位に就く。陝州陝県（現・河南省）の人。上官儀の孫で才媛。後に、政変のため殺された。『中国大百科全書　中国文学Ⅱ』６９３ページには「Shangguan Wan'er」と載っている。（蛇足になるが、中国映画『武則天』では、則天武后は上官婉兒を「ShàngguānWǎr」と呼んでいた。）

※遊長寧公主流杯池二十五首：長寧公主の流杯池で（曲水流觴の宴で）遊ぶ。　*これはその際の二十五首の十六で、二十五首全て仙境を詠う。　・長寧公主：中宗（李顕）の娘。中宗と韋后との間に生まれる。　・流杯池：杯を流す池。曲がりくねった小川状の細長い池。ここで杯を水面に浮かべ、杯が自分の前を流れ過ぎてしまわないうちに詩を作る風雅な遊びをする。

※泉石多仙趣：山水の景色好いところは仙界のおもむきに富んでおり。　・泉石：山水の景色好いところ。　・仙趣：仙界のおもむき。

巖壑寫奇形：岩と谷は、めずらしい形を写しだしている。　・巖壑：〔がんがく；yan2huo4○●〕岩と谷。岩屋。　・寫：写す。　・奇形：めずらしい形。変わった形。

欲知堪悅耳：耳で（聴いて、）満足してよろこばしく感じることを知りたいと願うならば。　・欲：…たい。…う。…よう。ほっす。　・堪：ものにこらえられる。たえる。　・悅：気に入って悦（よろこ）ぶ。心に満足して嬉しく思う。

唯聽水泠泠：ただ水の清らかで盛んな音を、耳をすまして聴くことだ。　・唯：ただ…だけ。　・聽：耳をすまして聴く。　・水：川の流れ。　・泠泠：〔れいれい；ling2ling2〕水や風の音の清らかなさま。音声の盛んなさま。清らかで涼しいさま。

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◎　構成について

韻式は、「AA」。韻脚は「形泠」で、平水韻下平九青。この作品の平仄は、次の通り。

○●○○●，
○●●○○。（韻）
●○○●●，
○○●○○。（韻）