詠紅柿子 | |
劉禹錫 |
曉連星影出,
晩帶日光懸。
本因遺采掇,
翻自保天年。
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紅き柿子を詠む
曉には 星影の出づるに 連なり,
晩には 日光の懸るを 帶ぶ。
本 采掇に遺るに 因るも,
翻って自ら 天年を保つ。
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◎ 私感註釈
※劉禹錫:中唐の詩人。772年(大暦七年)〜842年(會昌二年)。白居易や柳宗元との詩の応酬も多い。白居易とともに『竹枝詞』や『楊柳枝』を作る等、前衛的、実験的なことに取り組む。字は夢得。監察御史、太子賓客。
※詠紅柿子:赤いカキの実を詩にうたう。 *ここで詠われた「枝に残ったカキの実」とは作者自身の姿でもある。中央の政界から追放され、冷遇されたが、そのことが却って作者の天寿を全うさせることになった、という感慨の詩。 ・詠:詩や歌を作る。 ・紅柿子:赤いカキの実。「柿子」はカキの実。
※曉連星影出:明け方には、(枝の柿の実は)星影の出ているのと並び。 ・曉:夜明け。あかつき。
※晩帶日光懸:夕方には、(枝の柿の実に)日光が射しかかる。
※本因遺采掇:本々(もともと)は、摘(つ)み忘れられたためなのだが。 ・本因:本来…のために。 ・遺:〔ゐ;yi2○〕のこる。わすれる。 ・采掇:〔さいてつ;cai3duo2●●〕ひろいとる。採取。採掇。「掇」を「摘」ともする。
※翻自保天年:そのため却(かえ)って、自然と天寿を全うすることができた。 ・翻:ひるがえる。ひるがえす。 ・天年:天から授けられた寿命。その人にあらかじめ定めて与えられた命の長さ。天寿。定命(じょうみょう)。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「懸年」で、平水韻下平一先。この作品の平仄は、次の通り。
●○○●●,
●●●○○。(韻)
●○○●●,
○●●○○。(韻)
2009.1.10 |
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