遊長寧公主流杯池二十五首之十五 | |
上官婉兒 |
攜琴侍叔夜,
負局訪安期。
不應題石壁,
爲記賞山時。
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長寧公主の流杯池に遊ぶ 二十五首之十五
琴を攜へて 叔夜に侍じし,
局を負ひて 安期を訪ふ。
應に 石壁に題すべからざるも,
爲に記す 山を賞せし時を。
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◎ 私感註釈
※上官婉兒:〔じゃうくゎん・ゑんじ;ShàngguānWǎn'ér〕「上官」は複姓の一。664年(麟徳元年)〜710年(景龍四年/唐隆元年/景雲元年)。唐代の女官。唐・中宗の時、昭容の職位に就く。陝州陝県(現・河南省)の人。上官儀の孫で才媛。後に、政変のため殺された。『中国大百科全書 中国文学U』693ページには「Shangguan Wan'er」と載っている。(蛇足になるが、中国映画『武則天』では、則天武后は上官婉兒を「ShàngguānWǎr」と呼んでいた。)
※遊長寧公主流杯池二十五首:長寧公主の流杯池で(曲水流觴の宴で)遊ぶ。 *これはその際の二十五首の十五で、二十五首全て仙境を詠う。 ・長寧公主:中宗(李顕)の娘。中宗と韋后との間に生まれる。 ・流杯池:杯を流す池。曲がりくねった小川状の細長い池。ここで杯を水面に浮かべ、杯が自分の前を流れ過ぎてしまわないうちに詩を作る風雅な遊びをする。
※攜琴侍叔夜:琴(きん)を携えて、嵆康(けいこう)に侍(はべ)り。 ・攜琴:琴(きん)を携える。琴は隠者の嗜むべきもので、魏・嵆康はよく弾じた。 ・侍:はべる。 ・叔夜:魏・嵆康(けいかう;Ji1Kang1)のこと。叔夜は字。竹林の七賢の領袖。四言詩に巧みで、よく琴(きん)を弾じた。脱俗、孤高の隠者の風格があった。223年〜262年。譙郡(せうぐん;Qiao2(4)jun4)銍(ちつ;zhi4)(現・安徽省宿県)の人。『世説新語・容止第十四・5』に「康身長七尺八寸,風姿特秀。見者嘆曰:『蕭蕭肅肅』。山公曰:『叔夜爲人也,岩岩若孤松之獨立;其醉也,傀俄若玉山之將崩。』」とある。
※負局訪安期:将棋盤を背負って、安期生の許を訪れた。 ・負局:将棋盤を背負う。 ・安期:秦・安期生のこと。薬を海辺に売り、学を河上丈人に受け、長寿を得て、千載翁と呼ばれた。秦の始皇と共に語り合った。琅邪阜県の人。
※不應題石壁:岩石の絶壁に、詩歌を書きしるさなくてもよい。 ・不應:…しなくてよい。…べきでない。 ・題…壁:…の壁に詩歌を書きしるす。 ・石壁:岩石の絶壁。
※爲記賞山時:山をめでた時のことを記憶しているから。 ・爲:…のゆえに。…に対して、…のために。 ・記:記憶する。 ・賞:ほめあじわう。めでる。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「期時」で、平水韻上平四支。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●●,
●●●○○。(韻)
●○○●●,
●●●○○。(韻)
2009. 1. 5 1. 6 |
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