集靈臺 其一 | |
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唐 張祜 |
日光斜照集靈臺,
紅樹花迎曉露開。
昨夜上皇新授籙,
太眞含笑入簾來。
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日光 斜めに照らす集靈臺 ,
紅樹 花は曉露 を迎へて開く。
昨夜上皇 新たに籙 を授 ければ,
太眞 笑 みを含みて簾 に入 りて來 る。
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◎ 私感註釈
※張祜:〔ちゃうこ;Zhang1 Hu4〕〜晩唐(?)の詩人。785年〜849年頃。字は承吉。河北道清河郡(現・河北省邢台市清河県)の人。清河の名族に生まれ、張公子と呼ばれた。
※集霊台:唐代、天の神をまつる台の名。長生殿をいう。驪山の華清宮にある。白居易の『長恨歌』に「臨別殷勤重寄詞,詞中有誓兩心知。七月七日長生殿,夜半無人私語時。在天願作比翼鳥,在地願爲連理枝。天長地久有時盡,此恨綿綿無絶期。」とある。これは『其一』で、楊貴妃を詠う。『其二』「虢國夫人承主恩,平明騎馬入宮門。卻嫌脂粉汚顏色,淡掃蛾眉朝至尊。」はこちら。
※日光斜照集霊台:(朝の)太陽の光が集霊台(長生殿)を斜めに照らして。 ・斜照:斜めに照らす、意。早朝の陽光の射すさまを謂う。
※紅樹花迎暁露開:赤い(花の)樹木の花は、朝方の露(つゆ)に開いた。 ・紅樹:赤い花を著けた木。 ・暁露:朝方のつゆ。あさつゆ。
※昨夜上皇新授籙:昨夜、玄宗は、新たに道教の秘文を(まもなく道士となる楊玉環(=後の楊貴妃)に)与えて(楊玉環を女道士としたが、その時)。 ・上皇:ここでは、玄宗を指す。≒皇上。平仄の関係上「上皇」(●○)とはできても、「皇上」(○●)とはできない。(ここは「○○」(●○)とすべきところ故。 「至尊」「聖明」とするのは可。「聖上」は不可)。本来の意は:天帝。天子の父。譲位した天子の敬称。伏羲。 ・授籙:道教での、朱文字で書かれた秘文を間もなく道士となる者に与えること。ここでは楊玉環を女道士に封じて太真とした文書を指す。 ・籙:〔ろく;lu4●〕道家の秘文。また、かきもの。ふみ。未来記。預言書。ここは、前者の意。
※太真含笑入簾来:太真(=楊玉環・楊貴妃の道士名)は、笑(えみ)を浮かべて、御簾(みす)に入ってきた。 ・太真:楊貴妃の道士としての名。楊玉環のことで、やがて貴妃となる。=楊貴妃。元は、玄宗の皇子・壽王・瑁の妃であったが、俗世の因縁を避けるべく、女冠(=女道士)とした。(719年〜756)。 ・含笑:ほほえむ。笑いを浮かべる。 ・入簾来:御簾(みす)に入ってきた、の意。 ・簾:みす。すだれ。后妃の居室を暗示する。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「臺開來」で、平水韻上平十灰。この作品の平仄は、次の通り。
●○○●●○○,(韻)
○●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2018.5.25 5.27 5.28 |
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