宮中詞 | |
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唐 朱慶餘 |
寂寂花時閉院門,
美人相並立瓊軒。
含情欲説宮中事,
鸚鵡前頭不敢言。
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宮中詞
寂寂 たる花時 院門 を閉ざし,
美人相 ひ並びて瓊軒 に立つ。
情を含み 宮中の事を説 かんと欲っすれども,
鸚鵡 の前頭 に敢 ては言はず。
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◎ 私感註釈
※朱慶餘:中唐〜(?)の詩人。生歿年不詳。名は可久。字は慶餘。越州(現・浙江省紹興)の人。宝暦二年(826年)の進士で、官は秘書省校書郎に至る。
※宮中詞:宮廷の中の詩。『宮詞』ともする。 ・宮中:宮廷の中。宮殿の中。禁中。
※寂寂花時閉院門:花の(華麗に咲く)時候であるのに、寂しげで、宮殿の門は閉ざされて。 ・寂寂:〔せきせき;ji4ji4●●〕さびしいさま。静かなさま。晩唐〜・韋莊の『晏起』に「爾來中酒起常遲,臥看南山改舊詩。開戸日高春寂寂,數聲啼鳥上花枝。」とある。 ・花時:春、色々な花の咲く季節。花期。花候。 ・院門:垣をめぐらした宮殿の門。
※美人相並立瓊軒:女官は、立派な窓のある長廊下に並んで立っている。 ・美人:女官の身分の一。また、顔かたちの美しい女性。 ・並:ならぶ。 ・瓊軒:美しく立派な窓のある長廊下(/ひさしの間・小さな部屋・欄干・のき・ひさし・てすり)。
※含情欲説宮中事:宮中の出来事を思いを込めて色っぽく言おうとする(が)。 ・含情:思いを込める。色っぽく。五代・和凝の『河滿子』に「正是破瓜年幾,含情慣得人饒。桃李精神鸚鵡舌,可堪虚度良宵。卻愛藍羅裙子,羨他長束繊腰。」とある。 ・欲:…しようとする。また、…たい。ここは、前者の意。 ・説:言う。
※鸚鵡前頭不敢言:(人の言う言葉を覚えて真似る)オウムの前では、(うっかりとは喋るのは不都合で、)(勇気がなくて)言えない。 ・鸚鵡:〔あうむ;ying1wu3○●〕オウム。人語をまねる愛玩用の鳥。前出・五代・和凝の『河滿子』に「正是破瓜年幾,含情慣得人饒。桃李精神鸚鵡舌,可堪虚度良宵。卻愛藍羅裙子,羨他長束繊腰。」とある。 ・前頭:まえ。前の方。 ・-頭:名詞形の接尾字。ここでは、〔方位(「前」)+「頭」〕で方位詞(「前頭(まえ)」)を作る。 ・不敢-:…する勇気がない。よう……しない。あえて(は)…せず。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「門軒言」で、平水韻上平十三元。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
○○●●○○●,
○●○○●●○。(韻)
2018.5.21 5.22 5.23 5.25 |
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